『沈黙ーサイレンスー』が100年続く映画だと思った理由。

沈黙-サイレンス- 仮メイン

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もし 、神さまにラインか電話ができるなら、「AとBでどちらを選んだら幸せになれるか 」を尋ねて、その回答がもらえるならば、人は皆、すぐにでも神さまを信じるのではないでしょうか?

ところが、神さまは、目には見えないだけでなく、祈れども祈れども「沈黙」しているのだと言うのです……。

原作は遠藤周作の「沈黙」。この小説を『タクシードライバー』などで有名なスコセッシ巨匠が28年かけて作ったと聞いて観に行きましたが、
まさか買い物帰りに立ち寄った映画館で「人間の存在の意味を考える」とは、思ってもみませんでした……。

この映画のクライマックスで、なぜ神さまが黙っていたのか?その理由を知った時、こんな自分でも、生きている意味がものすごくあるのだと、私はそう感じました。

この映画は、時代を超えて、100年経っても観られるだろうと思います。その理由を具体的にまとめてみます!

人は迷う。400年前も、今も、これからも。

江戸初期、日本が鎖国をしていた時の話です。原作の「沈黙」は映画の公開後、どの書店でも売り上げ第1位になっていますよね。

わかります!映画観てからだと余計に面白くて、私も一気に読んでしまいました。400年前の話ですが、テーマが普遍的なので、時代が変わっても深く考えさせられます。スコセッシ巨匠も、初めて読んだ時、「葛藤」ということが最もよく描かれた小説だと感じ、どうしても映画化したいと思ったそうです。

28年もかけて実現しただけあって、その「葛藤」に観る人もぐいぐいと引き込まれていきます。

「キリスト教弾圧」「踏絵」は、誰でも知っているはずですし、この物語の直前に起こった「島原の乱」は、今も昔も中高の期末テスト頻出ですよね。

しかし、それは語句を知っているのであって、本当の意味では知らなかったことを、この映画を観て思い知らされます。胸のえぐられるような弾圧と葛藤。「キリスト教弾圧」についての歴史がどんな参考書よりよくわかります。

踏絵を「踏むか、踏まないか」。どんな時代にも岐路に立たされる時はあり、人は迷う。
そして、人生は選択の連続とも言われます。

葛藤をこんなにも深く描いたこの作品は、時代が変わっても、きっと観続けられるだろうと思うのです。

あらすじ

今から400年ほど前、ポルトガルの高名な宣教師フェレイラ(リーアム・ニーソン)がキリスト教を布教しようとして長崎にやってきます。しかし幕府のすざましい弾圧にあって、信仰を棄てて日本人として暮らすことになるのです。この話を聞いた弟子のロドリゴ(アンドリュー・ガー・フィールド)とカルベ(アダム・ドライバー)が「われわれの尊敬する先生が、信仰を棄てるなんて、あり得ない!何かの間違いに違いない!」と真相をたしかめるべく日本にやってきます。
この弟子の二人はキチジロー(窪塚洋介)の案内でマカオから長崎に潜入しますが、
ここから先はもう弾圧の嵐です。踏絵を踏むか踏まないか、
すなわち、信徒の命を守るのか、信仰を守るのか、葛藤の物語となります。

この映画は、考えるエンターテイメント!

2時間40分。シリアスな題材で長時間はきついと思いきや、あっと言う間にクライマックスまで引っ張られ、とても短く感じます。

スコセッシ監督の配慮とサービスがいっぱいで「エンターテイメント」と言っていいと思います。江戸初期の貧しい農民の姿や悲惨な虐殺シーンでさえ、自然との美しい対比の中で描かれ、それでいてシリアスなテーマは伝わってきます。アカデミー賞撮影賞にノミネートされていますよね。

笑うような題材ではないはずですが、思わず笑ってしまう場面も結構あります。

拷問のリーダーシップをとるお奉行様イノウエはイッセー尾形(アカデミー賞助演男優賞のノミネート次点)ですし、片桐はいりが告悔する場面や、高山善廣が出てくる所などは絶対サービスなのでは?

キチジロー(窪塚洋介)もボロボロの貧しい恰好にもかかわらず、着物の裾をミニスカート丈まで捲し上げてやけに長い脚を出しています。

また何度も踏絵を踏むキチジローですが、終盤近くには、踏絵のお手本として、ほぼ全裸で(下帯はつけている)踏絵を踏んで、とっとこ逃げていくシーンもあります(かわいい)。

泣くところもあります。モキチ(塚本晋也)とジイサマ(イチゾウ)(笈田ヨシ)が海で磔にされて水死するシーンは壮絶です。モキチは若いから体力があるのか死ぬのに時間がかかります。時間がかかる方が苦しいのだから、本当はモキチの方が苦しいのです。しかし、隣で磔にされているジイサマが先に死にそうになった時、モキチは、ジイサマのために祈ります。自分のために祈るのではなく、隣の人のために祈るのです。すごい迫力です。

どこを切り取っても、何かしら考えさせられるものがありますし、時の流れに負けない映画だと思います。

クライマックスやラストシーンでは更にうなるものがあると思います!

次のページではネタバレに言及しています。

    ライタープロフィール

    こいれきざかお

    こいれきざかお

    広告代理店クリエイティブ局(コピーライター)を経て、取材ライター。インタビュー原稿やコラム執筆のほか、カウンセラーの資格取得に挑戦中!

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