『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』が観客絶賛の傑作となった「3つ」の理由!

© Mars Media Entertainment, Amedia, Russia One, Trite Studio 2018

戦車同士のバトル、それは全男子にとって永遠の憧れ!

第二次大戦を舞台に、ソ連軍とドイツ軍の戦車が壮絶な闘いを繰り広げる戦争アクション映画『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』が、10月25日から日本でも劇場公開された。

近年はCGを駆使したエンタメ作品でも、日本の観客に認知されているロシア映画。監督や出演キャストにあまり馴染みが無い作品も多いのだが、本作は既に観た人の間でも高い評価を得ているだけに、個人的にもかなり期待して劇場に足を運んだ次第。

ポスターや予告編からは、男同士の熱い戦いを描く戦争アクションとの印象を受けるのだが、果たしてその内容と出来は、どのようなものだったのか?

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ストーリー

第二次大戦下、ソ連の新米士官ニコライ・イヴシュキン(アレクサンドル・ペトロフ)は初めて出撃した前線で惜しくも戦いに敗れ、ナチス・ドイツ軍の捕虜となってしまう。戦車の指揮官であることがわかると、収容所で行われているナチスの戦車戦演習のため、ソ連の最強戦車T-34を操縦することを命令される。イヴシュキンは、同じく捕虜になった仲間たちと隊を組み、T-34の整備と演習への準備期間が与えられた。しかし、その演習では弾を装備することは許されず、ひたすらナチスの戦車軍から逃げ惑うことしかできない。命令に背いても、演習に出撃しても必ず死が待っているのだ。しかし、男は仲間のため、そして収容所で出会った愛する人のため、あまりにも無謀な脱出計画を実行に移す。たった4人の捕虜が、ナチスの軍勢に立ち向かう。果たして、決死の作戦は成功するのか―!?

予告編

理由1:映画の面白さ満載の練り上げられた脚本が見事!

第二次大戦を舞台に、ソ連軍対ドイツ軍の戦車対決が繰り広げられる内容から、ミリタリーの知識や戦争映画に興味の無い観客には楽しめないのでは? そう思って劇場での鑑賞を躊躇されている方も多いのではないだろうか。

でも大丈夫!

後述する通り本作には、魅力的なキャラクターが繰り広げる人間ドラマや、戦闘力で大きく劣る不利な状況の中で戦いに挑む男達の熱い想い、更には男女のラブストーリーまで盛り込まれており、正に映画の面白さを全て詰め込んだ大エンタメ映画に仕上がっているからだ。

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本作が成功した要因は、やはりその見事な脚本によるところが大きい。

例えば、頼りになる主人公や軍人として有能な悪役、更に男だらけの収容所の中で一際目立つヒロインの存在など、魅力的な登場人物と迫力ある戦闘シーンが絡み合うことで、単なる戦争アクションの枠を超えた作品が、スクリーン上に展開することになる。

加えて、主人公イヴシュキンが武器を搭載しない炊事用トラックで、ドイツ軍戦車の砲撃をかわして安全地帯まで逃げ切る描写が映画の冒頭にあることで、彼の戦略能力の高さをビジュアルで観客に理解させる、その手際のよさも実に上手いのだ。

更には、こうしたイヴシュキンの戦略能力の高さが早くから提示されることで、新型戦車とはいえ攻撃力を奪われたT-34戦車で、ドイツ軍のパンター戦車相手に彼がどう立ち向かうのか? 観客の期待も自然と高まることになる。

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ただ、チラシなどのストーリー紹介に書いてあるような、主人公側が圧倒的不利な状況下で行われる、戦車同士の訓練演習がメインの見せ場だと思っていると、その予想はいい意味で裏切られることになるのも事実。

実際、ドイツ軍側が用意した演習場内で行われる訓練演習ではなく、そこから大きく舞台を移し、最終的にドイツ軍支配下の市街地での大戦車バトルが展開することで、狭い道路や見通しの悪い曲がり道を利用した戦略、更にT-34戦車の機動力を最大限に利用して、攻撃力で勝るドイツ軍戦車と互角以上に渡り合うイヴシュキンたちの活躍に、観客も大いに感情移入して声援を送ってしまうことになるのだ。

個人的には、ドイツ軍の傲慢さや敵の兵士に対する非礼が、武器弾薬無しで訓練演習に臨むことを強要されたイヴシュキンたちに僅かな希望をもたらす展開が実に皮肉で素晴らしいと感じた、この『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』。

この不利な状況からの奇跡の逆転、更にそこからの華麗な脱走に至る興奮の展開は、是非劇場で体験して頂ければと思う。

理由2:実際の戦車が繰り広げる、迫力の戦車バトルが凄い!

今回映画の中で使用されているのは、実物のT-34戦車とレプリカのドイツ軍Ⅲ号戦車。

CGによる再現ではない実物の戦車が走り回り、相手の死角や隙を突いて攻撃する様は、正に実車ならではの迫力で観客を大いに楽しませてくれるのだが、要所で使用されているCGのクオリティの高さも、本作の成功に大きく貢献している。

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例えば、戦車の砲塔から発射された砲弾が、相手の戦車の装甲にどう着弾し、また戦車内部にどのような被害をもたらすのか? など、本作では派手な爆破や破壊を表現するだけでなく、こうしたディテールの再現にも、CGが見事に使われているのだ。

実際、狭い戦車内に着弾の衝撃が加わって、乗組員の耳が聞こえなくなったり気絶・嘔吐する様子は、思わず自分も戦車に乗っているような臨場感に襲われるほど。

中でも見どころは、終盤の市街地を舞台にした戦車バトルでの、敵のパンター戦車の弱点である床の装甲の薄さを狙った砲撃シーンだろう。

どうやって命中させるのか? 思わず観客もドキドキしながら観てしまうのだが、CGによる迫力の着弾シーンが用意されているので、ここは必見!

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その他にも、訓練演習用に整備を終えたT-34が見せる片輪(キャタピラ)走行や、その小回りの効く旋回性能をドイツ軍に見せ付けるシーンなど、戦車の凄さや美しさが存分に描かれている点も、戦争映画ファンには堪らない魅力となっているのだ。

もちろん、普段は戦車や戦争映画に興味の無い方も、きっとその魅力にハマることは確実なカッコよさなので、是非劇場でご確認を!

理由3:魅力的なキャラクターが繰り広げるドラマが泣ける!

前述した通り、実物の戦車を使ったリアルな戦闘シーンや、戦車の魅力や性能がよく分かる描写など、戦争アクション映画としても見どころ満載な本作だが、決してアクションだけに頼ったB級映画ではなく、そこに盛り込まれている魅力的な登場人物による深い人間ドラマも、本作が傑作となった大きな要因と言える。

加えてロシア製の戦争映画ということで、日本人にはあまり馴染みのない俳優がスクリーンに登場することになるのだが、主人公のイヴシュキンや、宿敵となるナチス・ドイツのイェーガー大佐(ヴィンツェンツ・キーファー)を始めとして、男性キャストの中で紅一点となる、捕虜で通訳のアーニャ(イリーナ・ストラシェンバウム)や、イヴシュキンが捕虜から選んだ戦車クルーの3人にも、終盤の戦車対決でちゃんと見せ場が用意されているなど、観客が自然と感情移入してしまう登場人物の造型も、本作の大きな魅力の一つとなっているのだ。

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個人的に一番グっときたのは、イヴシュキンがドイツ軍の戦車兵育成のための訓練演習に協力する理由が、軍人としてのプライドやソ連に対する愛国心ではなく、一人の人間として自分の良心に従った結果である点!

国家や軍という大きな部分ではなく、目の前で命を落とそうとしている一人の女性を救うことを選択した描写にこそ、このキャラクターの人間性が見事に表現されていると感じた。

こうした人間的魅力に溢れた登場人物が搭乗することで、もう一人の主人公であるT-34戦車に、無機質な鉄の塊を超えたキャラクター性が与えられることになる点も、実に見事なのだ。

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この他にも、捕虜収容所を脱出してドイツ軍支配下の町にやってきたイヴシュキンたちが、ドイツ軍の追撃が迫る緊迫した状況の中でも、食料調達の際に大ジョッキに注がれたビールを飲み干したり、洋服を調達して収容所の制服から着替える描写など、殺伐とした戦時下でも人間としての喜びを味わおうとする、彼らの人間らしい行動には、救われた気持ちがしたと言っておこう。

実際、通訳のアーニャが収容所では決して見せなかった笑顔を見せるシーンなど、登場人物たちの魅力を観客に伝える努力や工夫が詰まった脚本には、多くの方がネット上で絶賛の声を送っているのも事実。

型にはまったキャラクターではない、生身の人間として描かれた登場人物たちが挑む、自由を手にするための闘いが観客の心を打つ、傑作戦争映画『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』。全力でオススメします!

最後に

魅力的な登場人物と迫力ある戦車バトルのおかげで、全く飽きさせず長さを感じなかった本作。

ただ、エンディングがあまりに呆気なく感じられたので、欲を言えば、この主人公たちのエピローグ的な部分を入れて欲しかった、そう思えたのも事実。

実際、鑑賞前は戦車が暴れまわるアクション映画と思っていたのに、意外にもラブストーリーや人間ドラマが絡んでくる展開を観て、イヴシュキンとアーニャのその後が気になる! そう思われた方も多かったのでは?

とはいえ、戦争アクションとしての見せ場をメインに置きながら、戦車同士のバトルシーンでは俯瞰からの映像を用いることで、主人公と敵との位置関係や、これから行う作戦を観客に容易に理解させる見事な演出、前述した出演キャスト陣の素晴らしい演技、そして練りこまれた脚本など、本当に満足度100%の傑作に仕上がっている、この『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』。

戦車同士のバトルを、迫力満点のCGを交えて見せてくれるだけでなく、戦争の悲惨さや、決してくじけない主人公の軍人魂、更に仲間同士の絆にラブストーリーと、観客の感情に訴える部分を外さないのはさすが!

カップルで観に行っても十分に楽しめる作品なので、是非時間を作って劇場に足を運んで頂ければと思う。

(文:滝口アキラ)

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