『トイ・ストーリー4』完結の“その先”を描けた「5つ」の理由

1:いなくなった“ボー・ピープ”を活躍させることに意義があった!

『トイ・ストーリー4』の制作発表のニュースを聞いた時、こう疑問に思った方も多いのではないでしょうか。「前作で見事に完結したじゃないか」「続きを作る必要があるのか?」「蛇足になるのではないか?」と。それほどに『トイ・ストーリー3』は“終わり”を思わせる内容であり、そのラストカットは1作目の冒頭とつながるという“円環”の構造にもなっていて、物語としても映像表現としても「これ以上は語る必要がない」と思える着地であったからです。

しかしながら、その『トイ・ストーリー3』には解決されていない問題も残されていました。それは“ボー・ピープ”という、電気スタンドの陶器製人形のキャラクターの存在です。彼女はこれまで主人公のウッディの恋人のポジションとして登場していたのですが、“制作上の都合”により『トイ・ストーリー3』では活躍ができなかったのです。ここに後味の悪さを覚えたという方も少なくはないでしょう。

※『トイ・ストーリー3』についてはこちらの記事も参照してください(ネタバレ注意)↓
□『トイ・ストーリー3』の結末等に納得できない方へ

そのボー・ピープがウッディの人生に再び現れるというアイデアが、今回の『トイ・ストーリー4』の企画の発端になっています。シリーズの全ての脚本を手がけているアンドリュー・スタントンは、『トイ・ストーリー3』のプロジェクトのすぐ後にそのアイデアを探索する短いプロットを書き、そのアイデアがシリーズを続けるに値するものであるかどうか、1作目『トイ・ストーリー』に関わったスタッフも集結し、検討を重ねていたのだそうです。

つまりは、「前作で完結したのにまた続編を作る必要があるのか」というファンが感じている疑問は作り手側も当然承知のことであり、その疑問を覆すほどの、誰もが納得できる、そして感動できる物語を完成させることを目標にしていたのです。ピクサーでは物語の大部分からディテールまで議論や意見交換を何度も行い、極限までブラッシュアップしていくという作品作りをしているのですが、今回は「完璧だった前作の続編を作る意義」を最初にしっかり問い直していたと言っていいでしょう。とにかく、『トイ・ストーリー4』は商業的な目的優先の粗製乱造されている続編やスピンオフとは違う、ピクサーのスタッフたちの信念と情熱により世に送り出されているということを、まずは知ってほしいのです。

ちなみに、『トイ・ストーリー4』の制作が発表された当時では「ウッディとボー・ピープのラブストーリーになる」との報道がされており、実際に当初の脚本はその2人のロマンティック・コメディに近い内容だったそうです。しかし、「ボー・ピープというキャラクターをきちんと掘り下げるべきだ」「ウッディとの関係にも決着をつけるべきだ」という発想が生まれ、時間をかけてその物語は大幅に書き換えられることになりました。

その結果、2人の関係は単純な恋愛にとどまらず、ボー・ピープはウッディに“広い世界を見せる存在”へと変わって行ったのだそうです。制作には4年の歳月がかけられたのですが、実際の本編のようにウッディが物語の中心になったのはなんと2年前のことだったのだとか……ピクサーやディズニーでは作品を根幹からひっくり返して作り直すこともよくあるのですが、今回の『トイ・ストーリー4』は企画の当初から検討が重ねられた上に、その後に大部分を見つめ直して再構築するという、ほぼほぼ“ちゃぶ台返し”と言える経緯があったとも言えるでしょう。

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