映画コラム

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2016年12月19日

ゆとりが「幸福の黄色いハンカチ」を観た感想「すごいタイトルオチなのにすごい泣いた」

ゆとりが「幸福の黄色いハンカチ」を観た感想「すごいタイトルオチなのにすごい泣いた」

幸福の黄色いハンカチ


©1977 松竹株式会社


こんにちは、ながちです。きゃりーぱみゅぱみゅと同い年です。

ゆとり世代のひとりの女子が、映画史に残る名作の感想をつらつらと書いていく「ゆとりですが名作観てみた」。
第4回目は「幸福の黄色いハンカチ(1977年公開)」です。

全国民が知っているオチに挑んでみた結果、号泣


第1回日本アカデミー賞最優秀作品に輝き、山田洋次監督の代表作ともいえる「幸福の黄色いハンカチ」。休日の夜、じっくりと観てみました。

恥ずかしながら、そもそもどういうストーリーなのかも知らなかったのですが、「黄色いハンカチが大量に掲げられている感動のラストシーン」は知っていました。

言わずもがなあのシーンはあまりにも有名で、何度もテレビで観た記憶があるのです。きっと高倉健さんの訃報が世を巡った2014年、当時21歳だったあの頃にでも見かけたのでしょう。
※高倉健さんの逝去の年に誤りがございました。深くお詫び申し上げます。

調べてみればDVDの表紙もそのラストシーンではないですか。
タイトルには「幸福の」ともあるので、盛大すぎるタイトルオチです。

しかし黄色いハンカチが物語に出てくるのは、2/3ほど過ぎたころ。それまでは「どうあの大量の黄色いハンカチが感動につながるか」が読めず、モヤモヤしたままでした。

ハンカチが出てくるまでは、傷心した若者たちと出所したばかりのおじさんの行きずり北海道旅行ですから……!

旅を続けているうち、勇作役・高倉健さんの過去が次々と明かされていきます。「もし妊娠してたら、竿の先に黄色いハンカチを揚げておく」ーー妻の光枝役・倍賞千恵子さんとの思い出シーンにこの一言が出てきて、ドバッときました。ああ、ようやく理解!「ハンカチってそういうやつか~~~~~~オチ分かってるから余計に泣けちゃうわ~~~~」とまさかの逆算泣きしました。

出所後の自分など待っていてはくれないだろう…と、なかなか帰る勇気の持てない健さんの背中を押すのは、欽也役・武田鉄矢さんと朱美役・桃井かおりさん。

またわたしにとっては新鮮すぎるおふたりでした。
ひょうきんでいかにもダメ男っぽい欽也、作中で感情の起伏が激しすぎてこっちが心配になる朱美。今のおふたりからは想像つかないくらい、本能的な若者の姿にうっとりです。

「もしまだ1人暮らしで俺を待っててくれるなら…鯉のぼりの竿に黄色いハンカチをぶら下げておいてくれ」ーーそうして夕張に戻ってきて、あのラストシーンです。盛大すぎるタイトルオチにも、号泣。40年以上前に全国民がしたことを、ようやっとわたしも経験できました。

『幸福の黄色いハンカチ』_場面写真main_


©1977 松竹株式会社



ファミリア、なごり雪、サッポロビール


舞台は70年代の北海道。道路の舗装もままならず、広大で開拓されきっていない北海道の大地が映されると、なんとも寂しい気持ちがこみ上げてきました。自然は傷ついた心を癒してはくれないんだなあなんて思ったり。

旅に使われるマツダの「ファミリア」しかり、国産クラシックカーがゴリゴリと映されるのは個人的にグッとくるものがありました。今のデザインとは違いなんだか色気を感じます。きっとファミリア、当時たくさん売れたのでしょう。わたしも欲しいです。

キャンディーズなど、車のラジオから流れる70年代の名曲も、時代のありのままを表していて素敵でした。「なごり雪」を口ずさむ桃井かおりさんがなんとも危うくキュート。まったく色褪せません。

ラスト以外で心に残るシーンをあげるとするなら、やはり「出所してから最初のビールを飲む健さん」ではないでしょうか。過度にありがたがるでも、ウマイウマイと言うわけでもなく、なんなら思い詰めた表情でサッポロビールを飲み下す健さん。ゆとりでも分かりました、すごい俳優さんなのだと。

納得でしかない、邦画の名作


「ゆとりですが名作観てみた」で、4回目にして初めて邦画を選んでみました。山田洋次さんが巨匠である理由も、高倉健さんが20世紀を代表する名優である理由も、なるほど納得。日本人としての常識をひとつ身につけることができた気分です。

どこかのタイミングで黒澤明監督作品に挑戦してみたいのですが、まだちょっとハードルが高いかも。ほかおすすめの邦画名作が思い当たる方いましたら、ぜひ教えてください。

(文:ながち)

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