最新作「天の茶助」公開前にチェックしておきたいSABU監督初期作品6選
こんにちは、編集部公式ライターの岡部です。
2015年6月27日に全国公開されるSABU監督の最新作「天の茶助」が、ベルリン国際映画祭のコンペティション部門への出品が決定し、早くも注目が集まっているようです。
今回は個人的に大好きなSABU監督をフューチャーして「天の茶助」公開までにチェックしておきたい、SABU監督の初期の6作品を紹介します。
1.弾丸ランナー
1996年公開のSABU監督の監督デビュー作品。
田口トモロヲさん演じる「銀行強盗を計画する男」を、ダイアモンド ユカイさん演じる「薬物中毒のコンビニ店員」と、堤真一さん演じる「組長を殺されて失意のヤクザ」の3人の男たちが街中を走り回りながら繰り広げるスピード感あふれるストーリー。
暴力団同士の抗争と、それを一網打尽にしようとする警察が入り乱れる現場に3人の男たちが思いがけず乱入することで、混沌さが増す終盤のシーンは壮絶でありつつも、映画全体を通じてコミカルに描かれいます。観終わった後には奇妙な爽快感が残る作品です。
(C)1996 日活
2.ポストマン・ブルース
堤真一さん演じる「日常に嫌気が差していた郵便配達員」が、ヤクザになった学生時代の友人と再会することで非日常の世界に足を踏み入れることで物語が展開します。犯罪事件に巻き込まれ、挙句の果てに命まで狙われることになる物騒な展開に。ところが、最終的にはファンタジーに仕上がっている不思議な作品です。
物語中盤から登場する、大杉漣さん演じる「殺し屋」の「殺し屋」とは思えないユーモアあふれる設定も、とても印象的でした。
(C)1997 日活
3.アンラッキー・モンキー
堤真一さん演じる「思いがけず強盗犯になってしまった男」と、不運な3人のヤクザを軸に繰り広げられるブラック・コメディ。
あり得ないほどの偶然の積み重ねによって展開する不思議なストーリーは予測不能。現実と妄想も入り乱れ深く考えるのがバカバカしくなるほど、純粋に楽しめるエンターテイメント性の高い作品だと思います。
初期のSABU監督作品の常連である、大杉漣さんと田口トモロヲさんが魅せるコミカルさと凄みが共存した演技も一見の価値ありです。
(C)1997 松竹富士
4.MONDAY
堤真一さん演じる「ごく普通のサラリーマン」が恋人にフラれ、酒に酔った勢いで連続殺人事件を起こし、さらなる大騒動も繰り広げる、ブラックユーモア満載の作品です。
途中、酔いからさめて自らが犯した罪の大きさに苛まれて遺書を書くシーンがあります。書いている内容自体は至って真面目なのですが、犯罪を犯しているシーンとのギャップがあまりにも露骨で真面目過ぎて、鑑賞していて思わず声を出して笑ってしまうほどでした。
ちなみに、第50回ベルリン国際映画祭では「国際批評家連盟賞」を受賞しています。
(C)2000 シネカノン
5.DRIVE
SABU監督の特徴的な作風のひとつである”偶然が織りなすストーリー”の集大成のような作品だと思います。
堤真一さん演じる「神経質で真面目過ぎる営業マン」の運転する車が、大杉漣さん・安藤政信さん・寺島進さんの3人が演じる強盗犯にジャックされることで大きく動き出すストーリー。
途中、さまざまな「縁」によって、それぞれ新たな道へ踏み出す3人の強盗犯の姿が印象的。特に寺島進さんが絶叫するライブハウスのシーンでの展開は予想外過ぎました。
(C)2001 日本ヘラルド映画
6.幸福の鐘
寺島進さん演じる「突然、失業した工場作業員」が、失意の中で行くあてもなく街をさまようことで遭遇する非日常的な出来事を通じて、本当の幸せに気付くまでの姿が描かれている、ファンタジー要素も盛り込まれた心温まる作品です。
そんな寺島さんを優しく迎える妻役の西田尚美さんの全てを包み込むような優しい演技がとても印象的でした。
そいうえば、第53回ベルリン国際映画祭で「NETPAC賞」を受賞しています。
(C)2002 日本ヘラルド映画
まとめ
というわけで、今回はSABU監督の初期の6作品をピックアップしてみたのですが、気になる作品はありましたか?
どの作品も物騒なテーマが多いのですが、コミカルに仕上げられていますので、深く考えずに純粋に楽しむ映画としてはオススメだと思いますよ。
とりあえず、筆者自身も過去のSABU監督作品を観直しながら、6月公開の「天の茶助」の公開を楽しみに待とうかなと思います。
ではでは。
(文・岡部照将)
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