オマー・シャリフの死から連想していく 日本映画に出演した海外スターたち


日本映画への出演からも広がる道



東京裁判と東条英機を描いた衝撃作『プライド 運命の瞬間(とき)』(98)に出演したロニー・コックスは『脱出』(72)『タップス』(81)『ビバリーヒルズ・コップ』(84)『トータル・リコール』(90)などに出演した名優ですが、彼はオファーがあった際、監督にみならず撮影監督の仕事をビデオでチェックした上で出演を決めたと、私に語ってくれました。なるほど、彼にとって未知数でもあった日本映画に出演するにあたり、撮影監督の画そのもので判断するという意見には感服させられます。また彼はアメリカ人ですが、オーストラリア人の裁判長を演じるにあたり、ごく自然にオーストラリア訛りの英語でしゃべっていたことに感心したと、映画を見た外国人記者から聞かされたものでした。
また日本人戦犯を追い詰めるキーナン検事を演じたのは、ロバート・アルドリッチ監督の名作『傷だらけの挽歌』(71)に主演したスコット・ウィルソンですが、彼はこのときの仕事が縁となったのか、その後『パール・ハーバー』(01)や『ラストサムライ』(03)、韓国映画『グエムル 漢口の怪物』(06)などアジアを舞台にした作品にやたら出演するようになったのも面白い事象です。
最近は中国や韓国などアジアの俳優が日本映画に出演したり、逆に日本人俳優も多くアジア進出を果たすようになってきています。こういった交流こそが映画そのものを豊かにするとともに、各国の政治的対立などを文化の力で凌駕させる糸口にもつながっていくのではないでしょうか。
海外スターに注目しながら日本映画を鑑賞する。これもまた楽しい見方のひとつです。予算その他の関係で、往年のスターや渋めの存在が多いのも事実ではありますが、こういった名優たちにも注目することで、映画は俄然面白くなっていく。そのことを大スター、オマー・シャリフの死から改めて教えてもらえた気がしています。

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(文:増當竜也)

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