反戦映画の傑作『人間の條件』6部作、一挙上映!



小林正樹監督の演出の弁


『人間の條件』を映画化したいと思った最大の理由は、私も梶と同じように戦中派の人間だからです。青春を戦争の中で送り、自分の意思に反して戦争に協力するという形でしか、あの時代を生き延びる事が出来なかった不幸な経験を、梶という人間像の中でもう一度確かめてみたいと思うからです。
愛する者との生活を守るために、進んで侵略戦争に協力するということ、被害者でありながら加害者であるということとの矛盾に引き裂かれながら、その立場の二重性を一つのものにしようと梶は努力するわけですが、結局、自分が被害者にならなければ、加害者である事を止められないのだという事態を、身をもって実証しなければならなくなります。
梶の中で悲劇として現われざるを得なかったこの二重性は、殆どの日本人が戦争の中で多かれ少なかれ経験した筈ですが、戦後の今、若い世代の観客にそれがどれだけの重さで感じとって貰えるかという事に、この作品の成否がかかっていると言えます。
戦争という非人間的なものに向いあいながら、それを人間的なもので越えようとして戦った梶という人間に共感することの中から、「戦争はいやだ」という単なる勘定を越えた確固とした戦争否定の立場を汲み取っていただきたいと思います。
(『人間の條件』80年代リバイバル時のパンフレットより転載)

■「キネマニア共和国」の連載をもっと読みたい方は、こちら

(文:増當竜也)





戦後70年、今だから伝えたいことがある…
「日本のいちばん長い日」、こちらの作品もぜひご覧ください!



第二弾ポスタービジュアル

©2015「日本のいちばん長い日」製作委員会

■「日本のいちばん長い日」


公開日:2015年8月8日
出演:役所広司 本木雅弘 松坂桃李 堤真一 山崎(たつざきになります)努
原作:半藤一利「日本のいちばん長い日 決定版」(文庫刊)
監督・脚本:原田眞人
制作:松竹
製作:「日本のいちばん長い日」製作委員会
配給:アスミック・エース、松竹

■作品紹介
日本映画界が誇る豪華キャスト総出演。昭和史の大家・半藤一利の傑作ノンフィクションを完全映画化。

戦後70年を迎える今、伝えたい。
日本の未来を信じた人々、
その知られざる運命の8月15日―。

太平洋戦争末期、戦況が困難を極める1945年7月。連合国は日本にポツダム宣言受諾を要求。
降伏か、本土決戦か―――。
連日連夜、閣議が開かれるが議論は紛糾、結論は出ない。
そうするうちに広島、長崎には原爆が投下され、事態はますます悪化する。
“一億玉砕論”が渦巻く中、決断に苦悩する阿南惟幾(あなみ これちか)陸軍大臣(役所広司)、国民を案ずる天皇陛下(本木雅弘)、
聖断を拝し閣議を動かしてゆく鈴木貫太郎首相(山崎(たつざきになります)努)、ただ閣議を見守るしかない迫水久常書記官(堤真一)。
一方、終戦に反対する畑中健二少佐(松坂桃李)ら青年将校たちはクーデターを計画する。
日本が破滅へと向かう中、平和への礎を築くために苦悩し、身を挺した人々の壮絶なドラマ。
原田眞人監督(「クライマーズ・ハイ」「わが母の記」)が挑む、歴史超大作。

■公式サイト
http://nihon-ichi.jp/

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

RANKING

SPONSORD

PICK UP!