初めての人にとって衝撃的―『ラブ&マーシー』公開記念トークショー



萩原氏は「この映画はポール・ダノが演じていた60年代とジョン・キューザックが演じていた80年代が同時進行でパラレルワールドみたいに描かれるんですが、僕もリアルタイムで60年代のブライアンがどういう悩みを抱いて曲を作っていたなんて当時は知らなかったんです。80年代にどんな苦労をしてたのか知ってきた頃に同時に60年代の頃の悩みについて知ったり、この映画の描き方は僕にとっては納得がいくんです」と語る。

ラブ&マーシー



本作の再現の忠実性について、萩原氏は「ブライアン・ウィルソンはロスのゴールド・スターというスタジオをよく使ってたんですけど、このスタジオはもうないんです。それでこの映画では再現したんです」と切り出すと、トークの内容に合わせて本作の場面写真が次々とスクリーンに映し出され、萩原氏は「我々が見たことある写真っていうのは、後ろに写ってるこのカメラマンが撮ってる、間違いなくこの位置からのものなの。本当に芸が細かい!」など、マニアさえ唸らせる要素が多くちりばめられていることを興奮気味に説明。

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また、萩原氏はポール・ダノへの演技コーチを担当したダリアン・サハナジャ(ブライアン・ウィルソンバンドのキーボーディスト)と本作について詳しく話したことがあるといい、ピアノの鍵盤やベースの弦の抑える位置に至るまで詳しく教え「彼は若いし最初はそんなにビーチ・ボーイズのことを知ってた訳じゃないんだけど、今回勉強してすごくハマったらしくて、映画ができる前に“ポール・ダノがすごくいい!”と聞いてました」と彼に期待を寄せていたという。具体的には、ブライアンのピアノの弾き方のクセなどまで訓練をしていたのだそう。続けて「ダノの演技がすごくいいんです。ブライアン本人はかわいいと言えばかわいい人だけれど、どう受け止めたらいいのか分からない複雑さもある。ダノが演じることによってそういう内面がすごく分かりやすく伝わってくる」と説明した。

萩原氏は、この映画の大きな魅力として「60年代と80年代という2つの時代を交互に描きながら、もうひとつ現実の世界として今でもツアーに回っているブライアンがいるということがあって、3つの世界を同時に感じることができて、そこが面白いんです。」と語り、高田氏も「本人に似てる似てないを超えて、次第に違和感なく入ってくるんです」と付け加えた。

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