キャスト達の思う、平和を表す一文字は?『日本のいちばん長い日』大ヒット御礼舞台挨拶
平和への思いを表す一文字
登壇者がそれぞれ考える、”平和への思い・願いを表す一文字”を書いた紙を貼った提灯を灯す企画も行われました。
役所さんは「知」。
「戦争だけでなくて、いろんな国やその歴史を知るということ。やはり、世界のいろんな国の人を知ることが平和につながると思って、この字にしました」
本木さんは「祈」。
「国を思い、世界の平和を願っていた昭和天皇を演じさせていただきましたが、願うという字よりも祈るという字から感じるものはより慎ましく、厳かな感じがあるのでこちらにしました。祈念、祈祷などそういった響きは日本のみならず、世界に通じる言葉だと思います。自分でも、平和を祈るという思いを忘れないように過ごしたいという思いです」
松坂さんは「人」。
「平和を壊すのも、作るのも、守るのも、これから先、平和な時代を築き上げていくのも、僕たち”人”だと思ったので、その祈りを込めてこの字を選びました」
原田監督は「命」。
「”命”というのは、映画のセリフの中にも入れようと思っていたんですが、平和を考えるとき、奪われた命だけでなく、奪った命のことも両方考えなくてはいけないと思うんですね。そういう意味で”命”を選びました。文字がにじんで見えるのは、失敗して何回も書いたので、それを重ねて貼っています。いくつもの命というつもりです」
四者四様に選び、書かれた一文字には、登壇者それぞれの思いが込められていました。
どこから来て、どこへ行くのか
「ああいう提灯を作ったりして、宣伝部も必死です(笑)」と客席の笑いを誘った役所さん。
「8月15日に向かって、テレビ、新聞でいろいろな特集が組まれて、身につまされることが多々あります。戦争について表現するということは、デリケートで難しいことがたくさんあると思いますが、この映画のバックグラウンドには戦争や飢えに苦しんでいる人たちがたくさんいるということをあらためて感じることができました。この映画を観て、そういうところまで感じていただけると、この映画が豊かな映画になると思います。今後ともこの映画をかわいがってください」と、作品への愛情を感じさせる挨拶となっていました。
原田監督は、言葉足らずで1967年に岡本喜八監督が作った『日本のいちばん長い日』をけなしているように受け取られたところもあるかもしれないと話しつつ、岡本監督が“やりたいけど当時出来なかったこと”を受け継いで作っていきたいと考えていたことを明かします。
さらに、今作の段階では語れなかった昭和天皇を囲む状況も描く、もうひとつの『日本のいちばん長い日』が10~15年後頃に登場するであろうということをふまえ、「この作品についてだけでも、どこから来て、どこへ行くのかをみんなで考えて伝えていかなくてはいけない。また、今の日本映画で描けない部分について、いろんな形で議論できる社会になってほしいですね。軍を無くして国を残すという決断をした、この意識だけは全うしつつ、この映画がひとつの指針となって、次の『日本のいちばん長い日』が作られる時代が来るように祈っています」と今作に続く作品に期待を込め、挨拶を締めくくりました。
『日本のいちばん長い日』は現在全国ロードショー中です。
また、今回の舞台挨拶の会場にもなった新宿ピカデリーでは、作品をより深く理解できるパネルも展示されていますので、ぜひ足を運んでみてください。
(文・写真:大谷和美)
https://www.youtube.com/watch?t=66&v=LxEWiHiiCkk
(C)2015「日本のいちばん長い日」製作委員会
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