映画コラム

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2015年09月25日

美しくも勇気ある映画『草原の実験』は 見逃し厳禁たる今年の大収穫!

美しくも勇気ある映画『草原の実験』は 見逃し厳禁たる今年の大収穫!



美少女の域すら超えたヒロインの存在感


シネマスコープの構図をさりげなくも巧みに活かした映像は、草原の大自然を見事に捉えつつ、古びたトラックやサイドカー、翼のないプロペラ機、ラジオなどの“文明の利器”をどこか神秘的なアイテムとしながら、人間のちっぽけさと、それゆえの愛しさを描出していきます。

また、アップとロングを交錯させた編集の妙もあって、台詞がなくても退屈させることはなく、とにかく終始画面に引き込まれ続けていくのみです。
草原の実験


ロシアの現代音楽家アレクセイ・アイギによる音楽も効果的で、時にメロディアスに、時にノイジーに、画と音との融合を果たしています。

そして何よりも素晴らしいのが、ジーナを演じるエレーナ・アンの類い稀なる美しさそのもので、韓国人の父とロシア人の母の間に生まれたという彼女は、もはや天使すぎる美少女の域すら越えて、この映画のための申し子としか言いようのないほどの存在感をもって、映画全体の世界観まで決定づけているといっても過言ではないものがあります。

こういった映像そのものの詩的な美、大自然の美、淡いラブ・ストーリーとしての美、音楽や音響がもたらす美、そして少女の美……こういったさまざまな美が、クライマックスでおぞましくも美しい究極の美として集約され、炸裂します。

そして、その後に訪れるラストの太陽にも注目してください。
(これ以上はネタばれになるので、もう何も言いません)

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