4DXヒット作は、ほぼ全て!4DX映画の鍵を握る男・チェ氏インタビュー
――逆にこれは難しかった、苦労したという映画は?
2014年に担当した『ニード・フォー・スピード』というレース映画です。4DXの動きや効果を組み立てて行くスタッフは個々の体験があればこそ、よりリアルな4DX表現をすることができます。しかし、映画に登場する4〜5億超えの高価なスポーツカーを運転した経験は誰もありません。それにも関わらず、映画の製作陣より「カーレースに登場する車1つ1つの違いを説明してほしい」と、オーダーが来たので9回にかけて監修作業を行いました。9回という数字は、我々にとってとても大変で苦しかった過程の表れで、車1つ1つ、エンジンの音や動きの特性を勉強するなど、間接的なリサーチを重ね、監督や製作陣に深い感動を与えたことは、とても苦労した映画でもありましたが、記憶に残る、想い出が詰まった作業でした。
新しいチャレンジは嬉しい!日本初の4DX専用映画
――今回日本初となる4DX専用映画『ボクソール★ライドショー 恐怖の廃校脱出!』を手がけられましたが、まず映画についての感想をお聞かせください。
今までは長編映画を主に作業していたので『ボクソール★ライドショー 恐怖の廃校脱出!』のような作品に出会ったことは、特別な経験でした。特にPOV※スタイルの映像を4DXで感じ取ってもらうための作業は、すごく楽しい経験でした。
※PDV…Point of View Shot、主観ショットとも言われ、登場人物の視線とカメラの視点を一致させるようなカメラワークで撮影する手法。
映画『ボクソール★ライドショー 恐怖の廃校脱出!』より (C)2016V AUXHALLRIDESHOW
――4DX専用映画という日本の製作陣のチャレンジについてどう思いますか?
そのような試みをされていると聞いて興奮しました。新しいチャレンジは、クリエイティブ・ディレクターとしていつも嬉しいものです。いつもの映画の作業より、もっと企画的で新しいチャレンジの方が、我々がすでに持っているものを試すことができるので、常に楽しく、常に興奮するものです。
――『ボクソール★ライドショー 恐怖の廃校脱出!』の4DX演出についてのコンセプトは?
大きくわけて、4つのコンセプト要素がありました。1つ目は、POVスタイル作品の魅力を活かすべく、4DXの動きや動線をうまく組み合わせて俳優たちとの距離感を自然と共感できるようにすること。2つ目は「はっ!」と驚かせる演出の意図を倍増させるため、4DX的な効果Back Tickler(背面座席が動く)やFace Water(前席から、顔の周辺に水が吹き付けられる)などの効果を重ねました。そして、残りの2つがバランスとエキサイティングです。本作は、日常を描いた作品ではなく、映像も整えてない荒さなど、そもそも追求する表現スタイルがある作品なので、そこに4DXのエンターテイメント(風やバブルなど)を溶け込ませて、4DXとしての魅力もふんだんに味わえるようにしました。
一般的なホラー映画とは違う、独特の企画だったので、スタッフの中では話題になりました。そういったユニークな部分で大きな魅力を感じ、”もっと頑張る!”という意志をスタッフらに与えた作品だと思います。
あの名作を4DXの表現で再誕生させたい
――4DXのことを知り尽くしたクリエイティブ・ディレクターが映画を作ったらすごいことになると思うのですが、そういう野望はありますか?
もちろん、野望はあります(笑)今はすでに完成された映画に効果や動きを加えて製作していますが、車や飛行機など、主役がどんな形になるだろうと、最も4DXの魅力を発散できる演出をふんだんに入れ込んだ企画やカメラアングルなどをまとめて1つの映画にすることが最終目標です。そうなった時、”すごい!この4DX映画、今まで経験したことない最高の映画だ!”と賛辞を頂戴できたら本当にうれしいですね、私の野望、野心です。
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