今必見の短編映画「べー」!20歳の学生監督が邦画界に与える衝撃とは?
去る11月20日に、新宿ロフトプラスワンで開催された「第8回学生残酷映画祭」。ここで見事グランプリと観客賞をダブル受賞した注目の自主短編映画、それが今回紹介する作品「べー」だ。
(写真は審査員の白石晃士監督より、グランプリのトロフィー代わりの斧を受け取る、阪元裕吾監督)
実はこの「べー」、京都造形芸術大学映画学科3回生、製作コースに在籍する20歳の阪元裕吾監督が撮った、38分の短編映画であり、審査員の白石晃士監督をして、「自分は嫉妬しながらこの映画を観ていた」と言わしめた程の作品!
果たしてその内容と出来栄えはどの様な物だったのだろうか?
自分も一目見て、そのあまりのクオリティの高さに唸ったこの作品を、今回は是非紹介させて頂きたいと思う。
ストーリー
ある秘密の喜びを共有する恋人たち、千春と祐樹のカップル。
ところがある日、偶然その秘密を友人の陸斗に知られてしまったことから、二人の生活のバランスは大きく崩れていく。殺戮と暴力の連鎖の中で、二人が最後に取ったある行動とは?今、凶暴で純粋な愛が試されようとしていた・・・。
突発的に起こる暴力への衝動を、見事に描いた傑作!
本作のOPで展開する、何の前触れも無く突然沸き起こるかの様な、激しい暴力への衝動と殺戮シーン。
個人的に、このOP部分を見ただけで、北野武監督の処女作「その男凶暴につき」を思い出し、「これは傑作だ!」との思いを強く持った。
次ページで紹介する阪元裕吾監督への質問に対する回答にもある通り、監督自身の本作へのこだわりと粘りは半端なものでは無く、「ここはカットを割らないで撮影する!」とか、俳優に対しての肉体的・体力的な要求など、その熱意と気迫は見事に映像の中に反映されていると言っていい。
衝撃的なOPに続いて全編に展開するのは激しい暴力と、それとは全く正反対な千春と祐樹の純愛。
一見交じり合わない様に思えるこれらを、若干20歳の阪元裕吾監督は的確にまとめてみせる。
本作が果たした、今回のグランプリと観客賞のダブル受賞という快挙。その意味するところは、プロの映画人と一般の映画観客、その両者の心や感情を大きく動かしたということだ。これだけでも、本作が単なる暴力や残酷映画に終わらない、多面的な内容を持った作品だということが分かって頂けるだろう。
暴力と純愛、この二つが絶妙に交り合って迎える衝撃のラストまで、僅か38分に込められた濃密な内容を、是非機会があればご自分の眼で確かめて頂ければと思ってやまない。
実は本作を見て、その撮影の裏側についての様々な疑問や質問が出て来たため、急遽京都にお住まいの阪元裕吾監督に、作品について色々とメールで質問させて頂いた。
次ページからは、その一問一答を紹介して行こう。
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