乃木坂46 能條愛未、映画『ミュージアム』を語る
乃木坂週刊映画、今回は小栗旬さん主演×大友啓史監督作品『ミュージアム』について能條さんに語って頂きました。結果的に『セブン』と対象的な印象となる本作の殺人鬼の印象など、能條さんはどう思われたのでしょうか。
前回までの記事
・乃木坂46 能條愛未、『セブン』を見る その2
・乃木坂46 能條愛未、『セブン』を見る その1
・珍獣と共に過ごしたい!?乃木坂46 能條愛未 2017年の目標を語る
・乃木坂46 能條愛未、2016年を振り返る
・乃木坂46 能條愛未、映画『溺れるナイフ』の惹かれ合う二人を語る
→それ以前の記事はこちらから
映画『ミュージアム』作品概要
雨の日だけに起こる猟奇殺人事件を追う刑事の沢村久志。犯行現場に残された謎のメモや、見つけられることを前提としたかのような死体から、カエルのマスクを被った犯人像が浮かび上がる。通称・カエル男と呼ばれるようになった犯人を追い詰めていく沢村だったが、カエル男の仕組んだ残酷な罠にはまり、絶望的な状況に追い込まれてしまう。
(C)巴亮介/講談社 (C)2016映画「ミュージアム」製作委員会
カエル男の過去を知り、変わった印象
『ミュージアム』で残虐的な殺人を繰り返した犯人、通称“カエル男”。雨の日にのみカエルのマスクを被って犯行に及ぶため名付けられました。
映画の前半から終盤まで、彼はとにかく残虐的な殺人を繰り返します。小栗旬さん演じる沢村刑事にも容赦ない仕打ちをして追い詰めていきます。
これだけを見ると「何て残忍な犯人なんだ!許せない!」となりますが、映画ではカエル男がなぜカエルのマスクを被り雨の日にだけ犯行に及ぶのかが描かれています。また彼の過去についても描かれます。
つまり、それらを合わせて考えれば彼がなぜ犯行に及ぶようになってしまったのか、彼の心の中を少しだけ覗くことができるわけです。
そうは言っても彼は殺人犯。決して許すことはできませんし、同調もできません。しかし、マスクを被る理由や犯行に及ぶことになったであろう過去の原因を知ると、とてもやるせない気持ちになりました。
また、私は映画におけるグロテスクな描写はそこまで問題なく見れますが本作では「うわ…」となったシーンがありました。それはウジ虫のシーン…。グロテスクではないですが気持ち悪いなと思いました。
犯人へのやるせない気持ちやグロテスクでなくとも気持ち悪いシーンなどを味わって…この映画をどういう気持ちで整理すれば良いのか、心の中で今ももやもやし続けています。
映画において犯人の過去は“知りたい”
前回までお話した『セブン』の犯人ジョン・ドウは犯行動機が全くわかりませんでした。彼の過去も一切明かされず非常に恐ろしい印象を抱きました。
しかし、その理由がわからないからと言って「理解できない恐ろしさ」で片付けてしまいたくはありません。ジョン・ドウがあのような犯行に及んだのには必ず理由があるはず。必ず過去に何かがあったはずです。
つまり、「理解できない恐ろしさ」がそこにあるのではなく、「理解できないけれど絶対過去に何かがあった」という“疑い”を持つわけです。
過去が明かされなくても何かがあったのだろうと思ってしまい、もやもやしてしまうのです。なので、『ミュージアム』のように過去に何かがあったかは最低限でも示されている方が私は好きです。
小栗旬さんと妻夫木聡さん、それぞれの演技の巧みさ
主演の小栗旬さんと、カエル男を演じた妻夫木聡さんの演技がやはり印象に残っています。
小栗旬さんは混乱の演技が非常に素晴らしかったです。、妻と子で「どちらかに死を」という究極の選択を迫られた際や“冷蔵庫のシーン”などです。いつか自分もあのように身体の内から溢れ出る“混乱”を体現したいなと思いました。
また、妻夫木聡さんのカエル男の演技は、カエル男が妻夫木聡さんだとわかっていても途中で忘れてしまうほど豹変してカエル男そのものになっていました。
このように、恐怖や混乱の演技を学べた映画でもありました。
まとめ
「理解できない恐ろしさ」を「理解できないけれど絶対過去に何かがあった」と捉えて映画をより探求する能條さんの姿勢が素晴らしいなと編集部一同感心しきり。そしてもっと深く映画を見てみようと思うことができた今回の内容でした。
次回も能條さんには持ち前の洞察力で深く映画を語っていただきます。どうぞお楽しみに!
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(取材・構成:シネマズ編集部/撮影:MAKOTO TSURUTA)
能條愛未 プロフィール(Ami Noujo Profile)
能條愛未
1994年10月18日 神奈川県生まれ 血液型 A型
乃木坂46 一期生メンバー
月に10本は必ず見るというほどの映画好き。
映画、舞台と女優としての活動の場をひろげるほか、バラエティーでも持ち前のセンスで活躍中。
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