映画コラム

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2017年04月01日

『暗黒女子』、ダークでドロドロなアンチ・キラキラ映画には頑張ってほしい!

『暗黒女子』、ダークでドロドロなアンチ・キラキラ映画には頑張ってほしい!

■「キネマニア共和国」

暗黒女子 ティザーポスター


(C)2017「暗黒女子」製作委員会 (C)秋吉理香子/双葉社



清水富美加ちゃん、出家しちゃいましたね……。実は彼女には数回取材したことがあって、そのときはすごく明るい印象を受けていたのですが、やはり誰しも他人には理解できない影の部分があるということなのでしょう……。

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.219》

まあ、そんなことはさておき、彼女が主演のひとりを熱演した『暗黒女子』を楽しむことにしましょう!

美少女たちの心の闇を鋭くえぐったイヤミス小説の映画化



映画『暗黒女子』は、読み終えるといやーんな気分になるけど、妙にはまってしまい抜けられなくなるミステリ小説=「イヤミス」のヒット作として話題を集めた秋吉理香子の同名小説を映画化したもの。

その内容は、セレブ令嬢が通う名門女子高の中で才色兼備、非の打ちどころのない美少女として全校生徒のあこがれの的であった白石いつみ(飯豊まりえ)が謎の死を遂げ、彼女が主宰していた文学サークルの仲間たちが定例会に集い、自作の物語を朗読していきます。

貧乏な家庭の特待生・二谷美礼(平佑奈)。
新人賞に輝くプロ作家・高岡志夜(清野菜名)。
老舗料亭の娘で料理好きの小南あかね(小島梨里杏)。
ブルガリア人留学生ディアナ・デチュヴァ(玉城ティナ)。

4人はそれぞれいつみとの思い出を語りながら、彼女を殺した犯人を示唆していきます。

司会進行は、いつみの親友でもあった澄川小百合(清水富美加)。

やがて4人の物語という名の推理告白が終わると、小百合がまとめに入ります……。

果たして、いつみの死は自殺か、他殺か?

他殺だとしたら、真犯人は誰なのか?



(C)2017「暗黒女子」製作委員会 (C)秋吉理香子/双葉社



表裏一体の関係性にあるイヤミスとキラキラ



本作の面白さは、ひとりひとりの少女たちが、いかに自分がいつみと仲が良かったかを強調しつつ、他者を貶めていこうと試みていく構図の中から、うわべの友愛とは裏腹に、その奥に潜む憎しみの感情などが生に描かれていくところにあります。

しかし、これもまた思春期の真実ではあるでしょう。

少女漫画のようなキラキラした理想の恋に憧れつつも、現実はもっとリアルで残酷に、繊細な想いを引き裂かれていくことだらけです。

その意味では、実はイヤミスとキラキラは表裏一体の関係性にあるのかもしれません。

そしてどちらもカタルシスを与えてくれる。

特にクライマックスはネタバレ厳禁ではありますが、困ったのは清水富美加の出家騒動に伴い、SNSなどで過剰反応した原作ファンなどが思わず本作のネタバレ書き込みをツイートしたりしていたことで(確かにあのとき書きたくなった気持ちはわからんでもないけど……)、原作未読の方はあまり予備知識を入れずに本作に接することをお勧めします。

監督の耶雲裁治は早瀬あかり主演の『百瀬、こっちを向いて。』(14)で映画デビューし、映画やドラマと活躍中の若手ですが、映画ファンには「NO MORE映画泥棒」CMの演出を手掛けた人といえば、ほぼ全員ピンとくることでしょう。

ここでは優雅な中のダークな世界観と、そこで蠢く美少女たちの息苦しいまでの呼吸を捉え、それぞれの魅力を醸し出すべく腐心しているのが見て取れます。

実際、キャラクターひとりひとりの心の闇は見事に描出しています。女優陣も大熱演といっていいでしょう。

唯一残念なのは、彼女たちから自然なセレブ感が上手く伝わってこないことで、しかしながらこれは一見貧富の差がないかのような見かけの中流社会に甘んじている現代日本の中、これを出すのは至難の業ではないかとも思われます。これは今後の若手俳優たちの課題になってくるのかもしれません。
(その意味では貧富の差が激しかった戦前戦後の昭和の時代のほうが、そういったものを巧まずに体現できる俳優は多数いました)

最後に、再び清水富美加ということでは、明るいイメージが強かった彼女に、この役をやらせたのかといった意外性と、一方では芸達者な彼女だからこそ、この役ができたのかといった納得感が共存するものになり得ています。

引退(?)前に出演していた『笑う招き猫』『東京喰種 トーキョーグール』も無事に公開の運びと聞き、よかったよかった(まあ、ちゃんとクランクアップしていれば、作品は作れますわな)。

それにしても、「仮面ライダーフォーゼ」のときの彼女、好きだったなあ……。

最近は思春期男女の可愛い恋物語などを謳ったキラキラ映画が大流行りですが、本作はそれとは真逆の、思春期であるがゆえの少女たちのドロドロとした闇の感情を吐露していくことでカタルシスを

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(文:増當竜也)

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