「当たり前の日々に感謝できるように」映画『八重子のハミング』レビュー
(C)Team『八重子のハミング』
皆さま!お久しぶりです。3年ぶりにシネマズに戻ってきました、ナオです!
突然ですが、先日両親が結婚30周年を迎えました。“真珠婚”と呼ぶそうです。そんな二人も間もなく還暦を迎えます。
18歳で上京し、4年間大学に通わせてもらい、今もこうして好きなことを継続出来ている背景には、父と母が健康でいてくれるからだと思います。二人には感謝してもしきれないですが、なかなか“ありがとう”と素直な気持ちを伝えることが出来ません。
いつでも言えるし大丈夫だろうと…今の生活を当たり前だと思っているのかもしれません。
2017年5月6日(土)公開の映画『八重子のハミング』は、そんな当たり前だと思って過ごしている日々が、実はかけがえのない日々だと教えてくれる作品です。
メガホンをとったのは、『チルソクの夏』『ツレがうつになりまして。』の佐々部清監督。山口県萩市を舞台に、4度のがん手術から生還した石崎誠吾と若年性アルツハイマーとなったその妻、八重子の12年間の介護と夫婦愛を描いた物語です。
(C)Team『八重子のハミング』
想い出の地を巡る、誠吾(升毅)と八重子(高橋洋子)
主人公 誠吾を演じるのは、NHK朝ドラ「あさが来た」でヒロインの父親役を演じた升毅さん、八重子には本作で28年ぶりに銀幕復帰される、高橋洋子さんがキャスティングされました。
内閣府が発表した平成28年度版高齢者白書によると、現在の日本の高齢者率は過去最高の26%となり、今では四人に一人が65歳の高齢者とされます。
本作は、近い将来日本が直面する“老老介護”に真正面から切り込んだ作品でありますが、私はこれからの日本を背負う、若い世代に是非オススメしたい作品です!
先の見えない介護をする上で、最も気をつけなければいけないことは介護する側の人間の精神的負担をいかにして軽減できるかだと思います。本作でも誠吾を支える多くの仲間、そして娘たちが登場します。
(C)Team『八重子のハミング』
今作が映画初主演となる升毅さん
中でも、長女の千鶴子は今の私と同世代。結婚し二人の子どもを育てている彼女は八重子の発病をキッカケに、両親と共に暮らすことを選択します。
まだ幼いからといって甘やかすことなく、自身の子ども達にも八重子の介護を手伝わせる姿は“家族で乗り越える”という石崎家の長女としての覚悟を感じることができるシーンです。
(C)Team『八重子のハミング』
石崎家の食卓
アルツハイマーと認知症は似ている様で、全く異なります。介護の第一歩は相手の病状を正しく理解することですが、どれだけ相手に尽くしてもその思いが報われることはありません。一体このやるせない思いをどこに吐き出せはいいのだろうか・・・。
そんな中、八重子を介護していた12年間を振り返る場面で誠吾が、次のような言葉を残します。
「“怒り”に限界はあるけれど“優しさ”には限界はない」
正直、こんなに夫から愛されている八重子さんがとても羨ましくも感じ、きっと八重子さん自身も優しさに溢れていた人だったのでしょう。そんな人に私もなりたい。
(C)Team『八重子のハミング』
次女の百合子(安倍萌生)の結婚式にて
本作を見終わり自分自身に置き換えたとき、そもそも私は、両親を介護しなければならないという現実を受け止めることができるのだろうか・・・きっと受け入れるまで時間がかかると思います。
一方で、今という時間を大切に生きたいと思うようになりました。人はどうしても失ってから気付くことが多い生き物。当たり前だと思うのではなく、周りに感謝することを忘れず、日々懸命に過ごしたいと思いました。
試写会からの帰宅途中、久々に両親へ電話しました。とりわけ話題があった訳はなかったので、両親に不信がられる節がありましたが、二人の声はどことなく嬉しそうに聞こえました。
最近少し両親と疎遠になってしまっていると感じている方や、友人・恋人・兄弟と大切な人と一緒にご覧いただきたいです。
キャスト・スタッフ・監督始め、本作に関わった皆さんの底知れない優しさを無償の愛を感じる映画『八重子のハミング』は、2017年5月6日(土)より有楽町スバル座ほか、全国ロードショー。是非劇場に足をお運びください!
映画『八重子のハミング』公式ページ:http://yaeko-humming.jp/
映画『八重子のハミング』
監督・脚本:佐々部 清
原作:陽 信孝「八重子のハミング」(小学館)
出演:升毅 高橋洋子
文音 中村優一 安倍萌生 辻伊吹 二宮慶多 上月左知子
月影瞳 朝加真由美 井上順 梅沢富美男
(文:ナオ)
(C)Team『八重子のハミング』
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