変身ポーズ誕生秘話!藤岡弘、演じる初代『仮面ライダー』【篠宮暁の特撮辞典・第22回】
【オジンオズボーン・篠宮暁の特撮辞典・第22回】
日本を代表するヒーローがテレビに出現
1971年4月3日、のちに日本を代表するヒーローがテレビに現れました。
そのヒーローは、馴染みのなかった言葉「変身」をスタンダードなものにし、変身ポーズの発明で日本中の子どもを虜にし、半世紀が経とうかという現代になっても今だに輝き続けています。
その名は、仮面ライダー。
まず最初に私的な話から。
当然ですが、僕はリアルタイムでは見ていません。最初に『仮面ライダー』を見たのは、4歳か5歳の時、叔父からもらった『仮面ライダー』のビデオでした。
ギリザメスやギラーコオロギ、エレキボタルの回が入ってるビデオだったんですが、リアルタイムで見ていた『仮面ライダーBLACK』は、しなやかなスピード感あるアクションだったのに対し、1号のアクションは力強く迫力があり、ブラックとは別の魅力を見せつけられ、さらに「仮面ライダー」にハマっていったのを強烈に覚えています。
平成ライダーが始まり、大人もハマる特撮が制作されるなか、初代『仮面ライダー』がどれだけ子ども騙しだったかを見てみようと見返してみると、実は初代こそ大人に向けたドラマだったと気づかされます。
改造人間にされてしまった悲しみだったり、今では考えられない命知らずのアクションだったり。
僕は急いで心の中で謝り、自分の認識を改めました。
仮面ライダーの変身ポーズ、最初はなかった!
『仮面ライダー』は奇跡の連続で、作品を見ると、今でもその奇跡の端々を確認することができます。
『仮面ライダー』の主役と言えば、言わずと知れた藤岡弘、さんですが、最初の『仮面ライダー』では変身ポーズをとっていません。
では、どうやって変身していたか。
バイクに乗り、風の力をベルトに当てて変身しています。
では、いつから変身ポーズが出てきたのか?
10話のラスト、ものすごい勢いで本郷猛役の藤岡さんがバイクで駆け抜けるシーンがあるんですが、実はこのシーンで藤岡さんは転倒してしまい大怪我を負います。
放映開始してすぐに訪れたこの危機に、度重なる会議の末、もう1人のライダーを登場させることになりました。
これが仮面ライダー2号の誕生です。
怪我の功名!? 危機がもたらした奇跡
このタイミングで生まれたのが、日本舞踊と殺陣の二刀流を組み合わせた変身ポーズだったのです。
作風や仮面ライダーのカラーが明るいものとなり、“変身ブーム”なるものも起こり、ライダー人気は爆発。
40話で藤岡さんが怪我から復帰し、ダブルライダーが共闘するシーンは視聴率30パーセントを超えたそうです。
『仮面ライダー』という作品が生み出した変身ポーズは、その後の特撮作品になくてはならないものとなりました。
藤岡さんが事故を起こしていなければ、変身ポーズもなかったかもしれないし、変身ベルトも販売されなかったかもしれないし、「仮面ライダー」もシリーズ化してなかったかもしれません。
今なお続く、「仮面ライダー」シリーズの原点を今こそ見直してみるいいキカイダー、いやいい機会だと思います。
このあたりの制作エピソードは様々な本に書かれてますので、いずれそちらもご紹介できたらなと思います。
(文:オジンオズボーン・篠宮暁)
※この記事は、WEBサイト「WB」にて以前連載していたものを、再編集したものです
以前の記事はこちらから
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