広瀬すず、悔しい宣言から反転攻勢!!
(C)2016 映画「ちはやふる」製作委員会(C)末次由紀/講談社
昨年の出演作「ちはやふる‐上の句-&-下の句-」「怒り」の演技で高評価を受け、年が明けた今年の春の日本アカデミー賞優秀主演女優賞、優秀助演女優賞を受賞したものの、ともに最優秀賞を逃したことを受けて、ブログ上で“今までにない悔しいという感情に出逢ったような気がする”と綴った広瀬すず。日本アカデミー賞授賞式直後に公開の「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」以降怒涛の新作ラッシュで反転攻勢に出た。
奇跡のブレイク「海街diary」
(C)2015 吉田秋生・小学館/フジテレビジョン 小学館 東宝 ギャガ
CMやドラマなどで美少女として注目を浴び、姉のモデル・女優の広瀬アリスの存在もあり注目を浴び始めました。(ちなみに広瀬アリスは「ちはやふる」ではちはやの実姉の千歳として写真出演しています)。
そんな中で2015年に出演した映画が是枝裕和監督作品「海街diary」。吉田秋生の同題コミックを原作にした本作では主役の4姉妹の末子“すず”役を勝ち取りました。原作のすずは映画化のはるか以前からあったキャラクターであり、広瀬すずもまた本名。
そんな映画の奇跡、巡り合わせが一つの映画をヒットさせ、一人の少女が日本を代表する若手女優に押し上げられた。同じ年の夏には細田守監督の「バケモノの子」で劇場用アニメの声優をデビューして、勢いを加速させました。。
同世代組の中から頭一つ抜けた2016年
翌年2016年は「ちはやふる-上の句-&-下の句-」が大ヒットし、さらに批評の面でもうるさ型を黙らせる出来栄えで、結果2018年公開予定の3部作完結編となる「ちはやふる‐結び‐」へと繋がりました。ここでは無駄美人と評される“かるたバカ”女子高生、綾瀬千早を熱演。主演として・座長として野村周平、新田真剣佑(当時は真剣佑)らとともに映画を引っ張りました。広瀬は「ちはやふる」を“今も毎日考える作品”と語っています。
(C)2016映画「怒り」製作委員会
一方、難役に挑んだ李相日監督のオールスターキャストのサスペンス映画「怒り」では自分から演じたいとオーディションを受け、実力で出演にこぎつけました。東京・千葉・沖縄の三か所で物語が進む大型サスペンス「怒り」では沖縄パートのある過酷な事件に巻き込まれる少女小宮山泉を演じています。
女性が遭遇してしまうには、あまりにも過酷な運命の中に身を置くことになってしまう役どころを10代で演じ切りました。この経験を“永遠の宝”“本当の悔しさに出会えた”“作品と監督に出会えたことが間違いなく自分を変えた”と語っています。
結果、共に作品自体も高い評価を浴びて賞レースの中心作品となり、広瀬すず自身もその名を各映画賞の受賞者・候補者に連ねました。そして、総決算となった第40回日本アカデミー賞、「ちはやふる」で優秀主演女優賞、「怒り」で優秀助演女優賞受賞しました(これは、本家アカデミー賞でいうところのノミネートにあたります)。しかし肝心の最優秀賞は「湯を沸かすほどの熱い愛」の宮沢りえ・杉咲花の母娘役コンビに敗れました。そして冒頭の“今までにない悔しいという感情に出逢ったような気がする”発言が飛び出しました。
意識変革が垣間見える演技を披露し始めた最新の広瀬すず
“悔しい発言”のあとに広瀬すずはこうも綴っています“(悔しいからこそ)私はこの世界に立っていたい、周りのすごい人たちには負けていられない”と。
そして2017年。春に「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」に主演。一日六時間の特訓を続けて華麗なダンスシーンを見せました。本作では「ちはやふる」ではまだ少し頼りなかった座長・主演としての大きな存在感を見せつけました。
長編アニメ「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」で二度目の声優業にチャレンジ。本作は岩井俊二監督の大ブレイク作のアニメリメイク版で、「モテキ」ドラマシリーズで本作を大フィーチャーした「バクマン。」の大根仁監督が脚本を担当し、「魔法少女まどか☆マギカ」シリーズの新房昭之が総監督を担当した話題作。
(C)2017フジテレビジョン アミューズ ギャガ
一転、秋の「三度目の殺人」は自身のブレイク作の「海街diary」の是枝裕和監督と再タッグ。「そして父になる」以来の是枝組に参加した福山雅治と、是枝組初参加の役所広司の間で二人に大きな影響を与える少女に扮します。映画がサスペンスなので深く語るとネタバレになってしまうのが難しいところですが、起きた事件とそれにまつわる大人たちを一人見続ける独自の視点の持ち主で、これは「怒り」の出演を経たからこその演技と言っていいでしょう。
(C)河原和音/集英社 (C)2017 映画「先生!」製作委員会
続く「先生!」では生田斗真演じる教師と禁断の恋に落ちる女子高生役。初めての恋に戸惑いながらも成長する物語というと王道のキラキラ映画のようにもみえますが、実際の映画は相手役生田斗真のトーンを抑えた演技と相まって、ヒロインの広瀬すずは静謐で穏やかな空気に包まれた中で少しずつ成長する姿を見せます。
20歳を迎える来年は「ちはやふる‐結び‐」当たり役に決着をつけ「ラプラスの魔女」ではある種の天才を演じる広瀬すず、悔しい発言から大きく変わっていく姿に目が離せません。
(文:村松健太郎)
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