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<吉岡里帆の魅力>泥臭く演じ続ける姿に注目



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吉岡里帆、映像デビューから今年で10年。

Instagramのフォロワーは300万人を超え、恋人にしたい芸能人ナンバーワンに選ばれることも多々あり、複数のCMに出演するなど、映画・ドラマと出演作品途切れることはありません。

その一方で「あざとい」という意見も散見されます。ブレイク作となった、ドラマ「カルテット」のイメージが強いのかもしれません。

しかし、改めて彼女のキャリア・演じることへの取り組み方を見ると、そこに“あざとさ”は微塵もないことがわかります。

その大きなシンボルになりそうな作品が、5月20日公開予定の映画『ハケンアニメ!』です。

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エキストラからの出発



吉岡里帆が初めて“演じた”のは2012年の映画『天地明察』。本作ではエキストラの町娘役での出演でした。

吉岡里帆が最初に扉を叩いたのが関西小劇場、学生演劇、そして自主映画。高校時代から俳優養成所に通い始め、自主映画などに出演するように。

京都橘大学では書道コースに進み、書道(8段!)を学びながら、東京の養成所やオーディションに深夜バスで通う日々を繰り返していました。

その間の費用はアルバイトの掛け持ちで賄ったそう。(多い時で4つのアルバイトを掛け持ちしていたとか……)

この辺りの話だけでも、はっきりとした下積みや地道な努力が感じられます。

2014年にはグラビアにも挑戦。この頃から小さな役や小さな作品でテレビや映画に出演、PVや小劇場の客演などを続け、2015年に映画デビューします。

連続テレビ小説「あさが来た」のオーディションではヒロイン役は逃したものも、スタッフの目の止まり終盤にレギュラー出演をするようになります。


(C)TBS

そして、ブレイクポイントとなったのが2017年の「カルテット」。 

「東京ラブストーリー」から「大豆田とわ子と三人の元夫」、映画『花束みたいな恋をした』まで、長きにわたって日本のラブストーリーを支え続ける坂本裕二脚本作品です。

松たか子、松田龍平、満島ひかり、高橋一生が演奏、生活の両面で“カルテット”を形成し、ラブストーリーからサスペンス、コメディーまで幅広いジャンルを横断した、特殊なドラマでした。

本作で吉岡里帆は、メインの4人に絡んでくるレストランのアルバイト店員の有朱(アリス)を演じました。


元地下アイドル、炎上キャラ、異性に限らず多くの人を誘惑・混乱させるテクニックを熟知していて、多くの人の人生を棒に振らせてきた過去を持つというキャラクターです。

中盤では謀り事に失敗して無職にまで転落してしまいますが、最終話では白人男性にエスコートされてドレスアップして登場、左手薬指には大きな指輪が光り「人生ちょろかった」と高笑いして見せます。

本作の強烈なキャラクターを演じ切った吉岡里帆は、一気に注目を浴びます。

この時のことを彼女は「日本中から嫌われる役だけど、演じ切った先に新しいステージを見ることができるだろう」とプロデューサーに言われたと語っています。

「カルテット」のイメージから“吉岡里帆=あざとかわいい”というイメージが固まってしまったと言えるでしょう。


さらに同年5月からあの「日清・どん兵衛」のCMがスタート。そこから約5年間に渡って続いたCMシリーズで星野源の相手役の“どんぎつね”を演じました。

また、この“どんぎつね”がキャラクターや星野源との相性の良さから評判を呼んだのですが、これがまた“吉岡里帆=男性ウケキャラ”というイメージを増幅してしまいました。

これ以降も特にCMで「明るく、癒し系」のキャラクターを披露する(求められる)ことが多く、本人の俳優としての出自から見ると、やや距離感のある“売れ方”をしていた印象です。

挑戦的な映画出演作


(C)2018「音量を上げろタコ!」製作委員会

本格的なブレイクをした後に主演したのが「時効警察」シリーズなどで知られる三木聡監督の『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然分かんねぇんだよ!!』

阿部サダヲとのW主演作であった本作で、吉岡里帆は“声が小さすぎるストリートミュージシャン”ふうかを演じました。

吉岡里帆と三木監督はその後、ドラマ「時効警察はじめました」で再タッグ。本作では三木ワールド、吉岡里帆の“意地・リベンジ魂”というような成長を感じました。

個人的に映画俳優・吉岡里帆の大きな転換点になったと考えるのは、2019年の2本の映画だった思います。


(C)2019「パラレルワールド・ラブストーリー」製作委員会 (C)東野圭吾/講談社

1本は東野圭吾の原作を映画化した『パラレルワールド・ラブストーリー』

玉森裕太、染谷将太と共に吉岡里帆がメインの3人を形成したラブサスペンスで、彼女は全く違う2つの顔を演じ分けてみせます。

同年に公開された『見えない目撃者』は、描写に遠慮のない“R15指定”のスリラー。


(C)2019「見えない目撃者」フィルムパートナーズ (C)MoonWatcher and N.E.W.

吉岡里帆は警察学校卒業の日に事故を起こし、視力を失うというヒロイン・なつめを演じています。本作では盲目というハンデを抱えた難役を演じ切りました。

見えない中で謎を解き、犯人とのアクションもこなす彼女の姿に“あざとかわいい”部分は微塵もありません。

『パラレルワールド・ラブストーリー』『見えない目撃者』を観て、ぜひ吉岡里帆のイメージを変えてください。

吉岡里帆の今


(C)2022映画「ホリック」製作委員会 (C)CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD./講談社

吉岡里帆の活躍を見ると、近年は舞台に回帰していることがわかります。

たとえば、2021年秋の劇団☆新感線の「いのうえ歌舞伎『狐晴明九尾狩』」では“狐の精”という役どころを演じました。「狐晴明九尾狩」は6月ゲキ×シネで公開されるので是非チェックしてください。

またNHKBSで放映されたドラマ「しずかちゃんとパパ」もかなりチャレンジングな役でした。笑福亭鶴瓶が演じる聾唖の父の耳と口になる娘を演じたホームコメディ。

『見えない目撃者』に続いてハンデキャップに関わる役どころ、全くの偶然だと思いますが2022年のアカデミー賞作品『Coda コーダ あいのうた』と同じテーマでした。


(C)2022映画「ホリック」製作委員会 (C)CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD./講談社

そして、蜷川実花監督作品のCLAMPのベストセラーコミック『ホリック xxxHOLiC』では妖艶な女郎蜘蛛役を熱演。「ここまで肌を出した役はなかった」という悪女役を振り切って演じました。

“妖艶さ”を出すためにポールダンサーから所作指導を受けたとのことで、新たな一面を見ることができます。

『ハケンアニメ!』今年を代表する傑作!



『見えない目撃者』以来の主演長編映画となるのが『ハケンアニメ!』です。

辻村深月の同題小説を、『君の名は。』にCGアーティストとして参加し『水曜日が消えた』で長編デビューした吉野耕平監督の最新作です。

本作は「今年を代表する1本」と言っていい快作でした。



アニメのハケン(=覇権)を争う2つの製作チーム。

片方は中村倫也演じる天才作家・王子千晴の久しぶりの復帰作です。もう一方は吉岡里帆演じる、下積みからキャリアを進めてはじめてシリーズの監督を任された斎藤瞳の作品。

事前の予想では王子作品の圧倒的優勢と思われましたが、双方の産みの苦しみの先にある結晶の輝きによる、熾烈な覇権争いに転じていきます。



中村倫也は一見すると、“飄々とした天才肌のアニメ監督”という“中村倫也らしい”役ですが、劇中では産みの苦しみ、成功を収めたうえにかかるプレッシャーに七転八倒する姿を見せ、天才もまた人間であることを表しています。

吉岡里帆演じる瞳は、実は王子(=中村倫也)作品に大きな影響受けて、アニメ業界に転職してきたというキャラクター。



下積みを続けて初めてアニメシリーズの監督を任されるというキャリア遍歴は、そのまま吉岡里帆の俳優キャリア形成に通じる部分があります。

今回の斎藤瞳役への吉岡里帆の想いが、並々ならぬものであることが伝わってくるような、大熱演を見ることができて大収穫でした。

吉岡里帆と中村倫也という全くタイプの違うアニメ監督の激突と、その双方のプロデューサーを務める柄本佑と尾野真千子の好演もさすがのものです。



「吉岡里帆=瞳」と「中村倫也=王子」も対照的でありつつコインの裏表と言った関係性ですが、柄本佑演じる行城と尾野真千子演じる有料という2人のプロデューサーもまたコインの裏表と言ったキャラクター造形になっています。



監督とプロデューサーというアニメ製作の陣頭指揮を取る2人を、分かりやすいキャラクターでチームのカラーをはっきりさせることで、その他のアニメ製作チームの曲者たちを巧く描けたのはなかなかの手練です。



また、双方が覇権を争う劇中アニメのクオリティの高さにも大注目です。

これまで多くの名作アニメを手掛けてきたProduction I.Gが本格参加した、両方の劇中アニメは単独で作品化しても全く遜色のない作りとなっています。



お仕事映画が好きな方、アニメファン、エンタメファン必見の今年の1本と言っていい作品です。



そして、その先には“あざとかわいい”というイメージとはかけ離れた、真の吉岡里帆の姿を見ることができるでしょう。

(文:村松健太郎)

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