50年前に現れた“本家本元”ヒーロー『ウルトラマン』【篠宮暁の特撮辞典・第25回】
【オジンオズボーン・篠宮暁の特撮辞典・第25回】
50年以上前に登場した“銀の巨人”
1966年、日本に銀の巨人が現れました。
無表情な顔に、余計な物を削ぎ落としたかのような美しいボディライン。手を交差させて放つ必殺技は、時代を超えて未だに子ども達が真似しています。元祖というテーマで『ウルトラマン』を語らずして、何を語りましょうか。
とは言ったものの、『ウルトラマン』のことを書くのは、ものすごく躊躇してしまいます。
なぜなら、僕が小さい頃、「ウルトラマン」シリーズは何も放映されていない状態。下敷きのないまま、『ウルトラマン』を何度ビデオで見てみても、ただ古い作品にしか見えず、どうしても東映特撮作品びいきになってしまった幼少期があるからです。
高学年になって見たときにやっと面白さに気づき、そのままの流れで『ウルトラセブン』を見た時には、もちろん感動したのですが、三つ子の魂百までとはよく言ったもので、どうしても、物心ついた時から見ている「仮面ライダー」シリーズや「スーパー戦隊」シリーズと比べてしまう自分がいて、あまり声を大にして「『ウルトラマン』面白い」とは言えずに、年月を重ねてしまいました。
娯楽色も社会派も…中毒性の高い作品
しかし今回は、声を大にして言います。
「ウルトラマン」、面白い!
東映ファン目線の書き方になってしまいますが、そこは浅学非才なので許してください。
まず、50年前の作品とは到底思えません。先見の明があったのか、現代に通じるテーマがすでに描かれています。
東映作品とはカラーが違い、誤解を恐れずに言えば、外国の映画を見ているような感じ。
「仮面ライダー」は当初、怪奇色強めと言われていましたが、それでも娯楽作品というベースは崩していません。しかし、「ウルトラマン」は娯楽色がありつつ、社会派な作品も多く、なんともスッキリしない回もあったりします。
そこが何度も見たくなる中毒性のある部分だったりします。この違いを是非見比べてみてください。
日本の特撮を発展させた制作陣の“熱”
「ウルトラマン」をヒーロー番組と呼ぶのは、間違っているのかもしれません。上質な人間ドラマが描かれています。
子ども番組だからと手を抜いている箇所は全くなく、その制作の熱がきっとあったからこそ、50年経った今でもオッチャン達が居酒屋で「あの怪獣好きだった」とか、「ジャミラの回はマジ泣けた」などと話せているのかなと思います。
この元祖ならではの熱は、『仮面ライダー』、『秘密戦隊ゴレンジャー』、『仮面ライダークウガ』にも通じるところがあり、この熱が日本の特撮を発展させる要因になったのではないでしょうか。
「ウルトラマン」は監督ごとに作品の色が違うのですが、実相寺昭雄監督の回がやはり好きです。
かなりぶっ飛んでいて、20分見ただけで、まるで2時間映画を見たかのような不思議な感じになる回が多いです。
この機会に、あなたのそのツブラヤ瞳で見てみてください。
『仮面ライダー』のおやっさんと『ウルトラマン』のムラマツ隊長は、共に小林昭二さんが演じられているのですが、シビれるシーンには何故か必ず小林昭二さんがいる気がします。
(文:オジンオズボーン・篠宮暁)
※この記事は、WEBサイト「WB」にて以前連載していたものを、再編集したものです
以前の記事はこちらから
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