『ジャッカー電撃隊』主役を食う!? 強烈な追加戦士の始祖【篠宮暁の特撮辞典・第38回】
■オジンオズボーン・篠宮暁の特撮辞典
暗くハードで重い作風のスーパー戦隊シリーズ第2作目
スーパー戦隊シリーズ第2作目の『ジャッカー電撃隊』。大ヒット作品、『秘密戦隊ゴレンジャー』の直後の作品ということで、どうも狭間に埋もれているような印象があるのですが、そんなことはありません。
この場を借りて『ジャッカー電撃隊』の魅力を伝えたいと思います。
「ゴレンジャー」の明るい作風から一転して、『ジャッカー電撃隊』は暗くハードで重い作風となりました。特に序盤の10話くらいまでは、最近の作品では絶対にないような描写があったり、ドキッとするようなシーンも結構あります。
敵組織“クライム”も、なかなかな残虐な作戦を仕掛けてきます。そんなシーンに当時の子ども達は戸惑ったかもしれません。
実際、僕も幼少期に再放送で見た時には凄く大人な感じがして、よくわからない場面もありましたが、物事が多少理解できる年齢になってから見てみると、とても魅力的な作品だと感じるようになりました。
サイボーグならではの独特感が魅力
「ジャッカー」はメンバー全員がサイボーグです。クライムと闘うためにサイボーグに改造しました。その悲哀が漂う感じが、実はヒーローヒーローしていてとても好きです。
敵との闘いで攻撃を繰り出すときも、サイボーグなので独特の機械音がします。その音も僕は「ジャッカー」の魅力だと思います。変身の仕方も戦隊シリーズの中で群を抜いて特殊で、最近の作品みたいに携帯やブレスレットなんかでは変身しません。
なんと、わざわざ強化カプセルに入って変身します。その場で手っ取り早く変身とはいかないのです。変身しにカプセルに戻らないといけないのです。その面倒くさい設定も、ジャッカーの独特の空気をかもしだすことに一役買っています。
“ミスターヒーロー”が演じる追加戦士の始祖
ハードな作風は評判が悪かったのか、後半にいくほどその色は薄まっていきます。前半の感じが好きな僕にとっては、あまり好きなテイストではなくなっていくのですが、何も悪いことばっかりではありません。
追加戦士の始祖、ビッグワンが登場することになるからです。よくビッグワンがジャッカーのメンバーを食う活躍をしたという風に言われることが多いのですが、全然そんなことはなく、むしろジャッカーを引き立てる役に徹しています。
僕が推測するにそんな風に言われる原因は、ビッグワンに変身する番場壮吉を演じた宮内洋さんのインパクトが非常に強かったからだと思われます。
宮内洋さんといえば“ミスターヒーロー”の異名で知られていまして、前作「ゴレンジャー」のアオレンジャーこと神命明、仮面ライダーV3こと風見志郎、怪傑ズバットこと早川健などを演じ、ニヒルでキザでクールで熱いヒーローを演じさせたら右に出る者はいないという方なのですが、その宮内洋さんがジャッカーでも活躍されます。
しかし、その活躍の仕方が他の作品とは一線を画していまして、二枚目のイメージしかなかった宮内さんが、「ジャッカー」では目を疑う程の三枚目の演技をこれでもかと見せてくれるのです。あんなメイクこんなメイク、あんな声こんな声を使い分け、でも番場壮吉の白スーツ姿になるとビシッとしめる。
そんな宮内さんの貴重な演技が見られるジャッカー電撃隊、一人暮らしの方もジャッカ暮らしの方も是非見てみてください。
(文:オジンオズボーン・篠宮暁)
※この記事は、WEBサイト「WB」にて以前連載していたものを、再編集したものです
以前の記事はこちらから
【オジンオズボーン・篠宮暁の“特撮”向上委員会】も連載中!
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