『空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎』は僧侶・空海の伝記映画、ではない!



©2017 New Classics Media,Kadokawa Corporation,Emperor Motion Pictures,Shengkai Film




こんにちは、八雲ふみねです。
今回ご紹介するのは、現在公開中の『空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎』。

「空海」というキーワードから食指をそそられて映画館に足を運んだ方々から「思っている映画と違った」という声を上がっているということを耳にしましたが、それは大きな誤解です!

本作を楽しむための“入り口”を、しっかりとお届けします。


八雲ふみねの What a Fantastics! ~映画にまつわるアレコレ~ vol.145




7世紀、唐の時代。若き天才僧侶・空海は、日本から遣唐使として中国・唐に渡る。

ひょんなことから詩人の白楽天と知り合った空海は、彼との交流を深めていく。

その頃、世界最大の都・長安では権力者が次々と奇妙な死を遂げるという、王朝を震撼させる事件が続発していた。

一連の事件を探るうち、約50年前に同じく唐に渡った日本人・阿倍仲麻呂の存在にたどり着いた空海と白楽天。そこには国中を狂わせた絶世の美女・楊貴妃の存在があった…。





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中国版シャーロック・ホームズ、あるいは安倍晴明?! 事件の解決なら、空海にお任せ!


空海と言えば、平安時代初期の僧で弘法大師の名でも知られる真言宗の開祖。

日本に密教を伝えたとも言われる歴史の教科書にも登場するいわば“偉〜い人”で、日本各地に空海にまつわるパワースポットが数多くあることでも知られています。

確かに、映画のタイトルが『空海』とくると、そんな日本の仏教を切り開いたお坊さまの半生記…をイメージする人もいらっしゃるかもしれませんが、この映画の原作は夢枕獏による「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」。

「陰陽師」シリーズを手がけた夢枕獏だけに、この小説で描かれている空海は、超絶天才でありながら世俗的で親しみやすい側面も持ち合わせている奥深い人物。
彼が唐王朝を揺るがす大事件と対峙していく様子をダイナミック描いた、中国伝奇小説なのです。
...というコトは、空海と白楽天のポジションは「陰陽師」で言うところの安倍晴明と源博雅?

はたまた「シャーロック・ホームズ」シリーズのシャーロックとワトソン???

いずれにしても本作は、偉大な僧侶・空海の伝記映画でも歴史にフィーチャーした作品でもなく、一大ファンタジー作品なのです。
そこを踏まえてこの映画と向き合っていただくと「あらら、思ってたのと違ったわ」という最初のボタンの掛け違えのようなストレスを感じることなく作品世界に没頭していくことが出来ますよ。



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豪華絢爛!この映像はスクリーンで観なければもったいないっ。


さて、日中共同製作プロジェクトとして史上最大の規模で製作された本作には、日本と中国を代表するオールスターキャストが集結しました。

空海役に染谷将太、白楽天役にホァン・シュアンと、日中の実力派人気俳優が揃い踏み。

そして本作の最重要人物とも言える中国唐代の皇妃・楊貴妃役には、類まれなる美貌と実力を持ち合わせたチャン・ロンロン。

さらに空海と白楽天が追う怪事件の鍵を握る阿倍仲麻呂役に、阿部寛。

そのほか、松坂慶子、火野正平など日中オールキャスト俳優が集結し、壮大な歴史ミステリーの世界に華を添えています。

そしてメガホンを取ったのは、カンヌ国際映画祭パルムドールやゴールデングローブ賞など数多くの受賞歴を誇る世界的巨匠チェン・カイコー監督。

10年前に夢枕獏の原作を読み、そこから映画化の計画をスタートさせたというチェン・カイコー監督。6年の歳月を費やして中国・襄陽に唐の都の巨大セットを建設。このセットを通して、唐とはどんな時代だったのか…を調査していったとのこと。

広大なセットで撮影された長安の都は現代人の私たちから見ても国際的な色合いが強く、煌びやか。カメラをどんなに引いてもスクリーン狭しと広がる街の風景は、まさにスペクタクル。

また王宮で繰り広げられる宴のシーンは、あまりの豪華絢爛さに思わずため息が溢れるほど。中国の歴史絵巻が動き出したかのような壮麗な映像美と、チェン・カイコー監督の美意識の高さをスクリーンを通して体感して下さい。  



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染谷将太&ホァン・シュアン、控え室で見せた微笑ましいシーン


2016年の第29回東京国際映画祭で本作の製作が明らかとなった『空海』製作報告会見。

そして昨年、第30回東京国際映画祭ではオープニングスペシャル上映。

共に司会を務めさせていただいていただけに、本作の完成と公開は個人的にもとても待ち遠しいものでした。




写真は、オープニングスペシャル上映での舞台挨拶の様子。
主演の染谷将太、ホァン・シュアン、阿部寛、シン・バイチン、松坂慶子が登壇しました。

別会場で行われたオープニングセレモニーから駆けつけての舞台挨拶。ハードスケジュールにも関わらず、登壇者の皆さんは終始笑顔、笑顔。

ホァン・シュアンさんは、ちょっぴりお腹が空いたのでしょうか。ステージ前室のテーブルに置かれていたお菓子に手を伸ばし、自分が食べるだけでなく染谷さんにも手渡し。

本作の撮影中は中国語のセリフを共に練習したり、撮影後は食事を楽しんだりと親交を深めたというお二人。ソファに並んでお菓子を食べる日中実力派人気俳優たちの姿が、なんとも微笑ましいひと時でした。

<作品情報>


空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎
2018年2月24日から全国東宝系にてロードショー
監督:チェン・カイコー
原作:夢枕獏『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』(角川文庫/徳間文庫) 
出演:染谷将太、ホアン・シュアン、チャン・ロンロン、火野正平、松坂慶子、キティ・チャン、チン・ハオ、リウ・ハオラン、チャン・ルーイー、阿部寛 ほか
©2017 New Classics Media,Kadokawa Corporation,Emperor Motion Pictures,Shengkai Film
公式サイト http://ku-kai-movie.jp/

八雲ふみね fumine yakumo


八雲ふみね

大阪市出身。映画コメンテーター・エッセイスト。
映画に特化した番組を中心に、レギュラーパーソナリティ経験多数。
機転の利いたテンポあるトークが好評で、映画関連イベントを中心に司会者としてもおなじみ。
八雲ふみね公式サイト yakumox.com

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