青春に“あるある”と共感!涙を流すより上の感情を味わった『レディ・バード』



キャラクター設定、衣装、セット、照明、どれもが主張しすぎず役に寄り添っているような、見事なバランスを保っているように感じました。

なにより台詞がいい。



(C)2017 InterActiveCorp Films, LLC.


監督が演劇が好きなこともあるかもしれませんが、丁寧かつ無駄な説明を省いたことが効果的でした。時に家族の説明なしな部分。観ていたら自然と「ああ、なるほど養子かな」と分かっていく観客心理も、自然とシームレスに操られている感じがするほどでした。(レディバードと兄ミゲルの関係。)

出演は、クリスティン(レディ・バード)役にシアーシャ・ローナン。レディ・バードと口論を重ねながらも、深い愛を感じる母マリオンにローリー・メトカーフ。母娘の間に挟まれながらも中立を保ちつつ、優しげな眼差しを送る父にトレイシー・レッツ。親と喧嘩せずに過ごしているが、大学卒業後に陥りがちな闇の中にいる兄ミゲルにジョーダン・ロドリゲス。最初の彼氏ダニー役にルーカス・ヘッジ。知的なイケメンバンドマン・カイル役に、ティモシー・シャラメ。親友ジュリー役に、ビーニー・フェルドスタイン。

個性豊かで実力派な面々です。監督自ら直談判したりオーディションで選んだこの配役は、それぞれの個性にピッタリはまっていて、どの役者も魅力的に映っていました。我ら(誰らだ?)がティモシー・シャラメは、知的な雰囲気は『君の名前で僕を呼んで』同様ふんだんに醸し出し、今作はちょっぴりプレイボーイな青年を好演。

レディバードと母。レディバードと父。レディバードと親友。

これらのシーンは何度も観たいと思えるほどのシーンでした。

特にプロム当日のカイルの元から去り、親友ジュリーの所へ戻り、2人で会場に向かう流れ、胸が熱くならない筈がありません。涙を流すより上の感情を味わわせてもらいました。

間違いなく傑作。

間違いなく心に残る1本になることでしょう。

レディ・バードを是非映画館で。

以上、今回も橋本淳が、おこがましくも紹介させていただきました。
(サントラを聴きながら)

(文:橋本淳)

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