見逃し厳禁の対テロ&レスキュー映画『ショック ウェイブ 爆弾処理班』



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この夏、『劇場版コード・ブルー―ドクターヘリ緊急救命―』が国産実写映画として久々の大ヒットを記録しています。

人気テレビドラマの映画化ということもありますが、こういったレスキュー・パニックものに対して、人はどこかシンパシーを抱くとともに、そのスリリングな成りゆきに映画的躍動感を見出すのだろうなと思わされます。

一方、海の向こうの香港でも、負けず劣らずのレスキュー・パニック的要素も含むダイナミックなサスペンス・アクション映画が大ヒットし、この夏日本にもめでたく上陸となりました。

この映画、なかなかハンパではありません……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街329》

我らがアンディ・ラウ主演『SHOCK WAVE ショックウェーブ 爆弾処理班』、海底トンネルを舞台に爆弾処理班と凶悪テロリストの壮絶な攻防が展開されていく、マジにものすごい(としかいいようのない)映画です!

海底トンネルを占拠した
テロリストとの激しい攻防



『SHOCK WAVE ショックウェーブ 爆弾処理班』は香港警察の爆弾処理班(EOD)を題材にしたものです。

主人公の警官チョン(アンディ・ラウ)は潜入捜査の結果、犯罪グループを逮捕しますが、主犯のホン(チアン・ウー)を取り逃がしてしまいました。

それから18か月後、香港にホンが帰ってきて、海底トンネルを占拠。

トンネル内の香港市民を人質に、1000キロの爆弾をトンネル内に仕掛け、チョンを交渉相手に指名し、逮捕された弟ビウ(ワン・レオズイ)の釈放を要求します。

ビウを連れてくれば100人の人質を解放するというホンですが、少しでもリミットに遅れれば人質をひとりずつ射殺するとも……。

このあたりはまだ序の口で、以後さらなる意外な展開のつるべ打ちとなっていくので、これ以上のネタバレは避けたいところですが、いずれにしましてもこの作品、香港映画ならではのエネルギッシュな力業に裏打ちされながら、およそ2時間の上映時間を一瞬たりとも秋させることなく、スリリングかつダイナミックな映画的快感をもたらしてくれる快作です。



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アジア各国で大ヒットを記録中の
究極のエンタメ快作!


特筆したいのは、やはりテロリストのボス、ホンを演じるチアン・ウーの圧倒的存在感でしょう。

ワルの魅力といった次元すら通り越した非情なまでのしたたかさとその行動力は、映画の悪役としても久々に背筋が凍るほどに秀逸な構築がなされています。

こうした究極のワルと対峙できるのは、やはり我らがアンディ・ラウしかいない!

今回アンディ・ラウはプロデューサーも兼任し、『イップマン最終章』(13)などで知られるハーマン・ヤウを監督に指名。

ハーマン・ヤウはかつて『八仙飯店之神郁饅頭』(93)など残虐恐怖映画の雄としてその名を知らしめた存在でもありますが、今回もどこかしら見る側の心を痛めつけるかのような残虐なテイストが見事に活かされていると思しいところがあります。

またトンネルを舞台にした作品として、シルヴェスター・スタローンが主演したパニック映画『デイライト』(96)などを彷彿させるものもあり、超大作としての風格も見事なものです。

(余談ですが、1972年に発表されたパニック映画の代表作『ポセイドン・アドベンチャー』の79年の続編『ポセイドン・アドベンチャー2』は、前作で転覆した豪華客船ポセイドン号の生き残りや遺族らが、訴訟を受けた船舶会社の陰謀でトンネル内に生き埋めにされるというストーリー案が当初なされていましたが、結果としては原作者ポール・ギャリコの死後78年に発表された続編小説『海底の怒り』に倣い、前作の翌日のエピソードに変更。もっとも、このときのボツ・プロットが『デイライト』に反映されていると思しき点が多分にあります)

ハリウッド映画を優に凌駕するスペクタクル感覚、アジア映画ならではの熱い諸描写、心理的恐怖に満ちた駆け引きの数々と、叡智をもって事態に取り組む主人公らのヒロイックな行動……どれをとってもエンタテインメントとして究極ともいえる第一級の快作です。

現に本作は中国で4億元(日本円で60億円)を計上する大ヒットとなり、香港でも2017年度興収第2位を記録。マレーシアやシンガポールなどアジア各国でヒットし続けています。

この夏、映画ファンなら見逃し厳禁の熱い快作として、日本での大ヒットも強く望みたいところです。

(文:増當竜也)

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