特撮向上委員会
史上最高のスーパー戦隊映画だった「ルパパト」とハードルを悠々と超えた劇場版「ビルド」を語る
史上最高のスーパー戦隊映画だった「ルパパト」とハードルを悠々と超えた劇場版「ビルド」を語る
上堀内監督と大森プロデューサーへのインタビューや『仮面ライダージオウ』の制作発表などがあり、書くのが遅くなりましたが、お盆過ぎた今、改めて言わせてください。
やっぱり、夏映画最高!
夏に東映特撮の映画が公開されるのが恒例になって17年。
内容は変われど、絶対に変わらないのが映画の構成。最初にスーパー戦隊作品を30分ほど、そして後半に仮面ライダー作品が60分ほどのだいたい90分。
ライダーは尺をじっくりかけて、テレビでは見られない作品を見せてくれるのに対して、スーパー戦隊はテレビの豪華版というイメージがあります。
面白いのに、見終わって思い返してみると、出てくるのはライダーのシーンばかりで、これは特撮ファン失格だなと思った年もありました。
劇場版「ビルド・ルパパト」製作委員会 (C)2018テレビ朝日・東映AG・東映
ところが今年、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー en film(アン・フィルム)』は『劇場版 仮面ライダービルド Be The One(ビー・ザ・ワン)』に喰ってかかる勢いの面白さで、「ルパパト」のテレビシリーズのよさを最高の配分で混ぜ合せた内容。
史上最高のスーパー戦隊映画をついに見ることができた、という印象。
ファンが最も見たかったであろう、ルパンレッドとパトレン1号の共闘が今作最大の見どころなんですが、本音を言うと共闘は見たくないんです、僕は。
それをやってしまうと「ルパパト」の根幹が崩れてしまうし、安易にそしてチープに共闘しようものなら、僕はもう「ルパパト」を見られなかったかもしれません。
劇場版「ビルド・ルパパト」製作委員会 (C)2018テレビ朝日・東映AG・東映
しかしスタッフさんもそこを絶対にわかっているからこそ、安くならない共闘の仕方を探し、その結果、最高の共闘になったんではないかと思います。
個人的に必須条件だった、「仕方がないから共闘」というのが丁寧に描かれていました。
仕方がないという要素は、まだ本編中盤の「ルパパト」には欠かせないもので、コンパで好きでもない男に持ち帰られる女の子の「終電ないから仕方がない」、「強引に言われたから仕方がない」という、理由があればオッケーっていうアレと一緒です。
…一緒か?
例えが安くてすみません。
信頼はしないけど信用してもいい、とお互いの心の距離が近づいていくところはグッときますし、でもけっして交わりはしないところが「ルパパト」らしくて最高でした。
劇場版「ビルド・ルパパト」製作委員会 (C)2018テレビ朝日・東映AG・東映
30分という尺しかないなか、共闘以外の見どころもてんこ盛り。
もはや杉原輝昭監督の代名詞といっても過言ではない、アクションのぐるぐるカメラワーク、そして個人的には余裕でハリウッド映画を超えてると思う、CGをふんだんに使った躍動感バリバリのロボ戦。
なにより激アツだったのは、「パトレンジャーは融合するのに、なんでルパンレンジャーはレッドが3人になるだけやねん」とヤキモキしてたファンを喜ばせたルパントリコロール。
「ルパパト」の魅力がギュッと詰まった、濃厚な30分をありがとうございました。
劇場版「ビルド・ルパパト」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK・ 東映
そこからの「Be The One」は、ハードルを悠々と超える期待通りの仕上がり。
テレビシリーズが最高過ぎるので、正直、映画を楽しめるか不安でしたが、全く問題ありませんでした。
3000人のエキストラを使ったシーンは圧巻でしたし、上堀内監督がインタビューの時におっしゃってた、撮りたかったシーンを堪能しつつ、ヒーローがとことん追われる逃走劇は、特撮ではあまり見たことのない画の連続で、全く休憩させてくれません。
劇場版「ビルド・ルパパト」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK・ 東映
戦兎と万丈もテレビと変わらぬ絆の強さを見せつけて、さらに戦兎と葛城巧の関係を今作でさらに掘り下げ、テレビ本編の冒頭から戦兎が掲げていたラブ&ピースの出所が判明した時にはグッときました。
まさに「Be The One」以上にマッチするタイトルはないと言えるほど「Be The One」だった、劇場版「ビルド」。
これを経て、もうすぐ迎える「ビルド」の最終回。
しかと見届けましょう。
劇中の、かずみんと幻徳の土下座めっちゃ笑ったけど、今見たら泣いちゃいそうだなぁ。
(写真:井嶋輝文、文:篠宮暁)
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