俳優・映画人コラム
その男ドニー・イェン!“宇宙最強”の魅力を徹底的に語り尽くす!
その男ドニー・イェン!“宇宙最強”の魅力を徹底的に語り尽くす!
かつてこれほどの“ドニー・イェン・フィーバー”が巻き起こったことがあっただろうか? 2月1日に「金曜ロードSHOW!」で地上波初放送となった、ギャレス・エドワーズ監督の『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』。劇中に登場する盲目の僧侶チアルート・イムウェを演じたドニーが、“チアルート”の名とともにツイッターのタイムラインやトレンドを大いに賑わせたのだ。
香港を代表するアクション俳優であり、“宇宙最強”の異名を持つ男ドニー・イェン。その名前によってまさかここまでのお祭り騒ぎになろうとは。否、むしろようやくドニーの名が映画ファンの枠を超えて認知されるに至ったのか──。長かった。いちドニー・イェンファンとして、ここまでの道のりは本当に長かった。今回はそんな宇宙最強の男ドニー・イェンのフィルモグラフィーについて、じっくりと紹介していきたいと思う。
デビュー~1990年代
現在55歳のドニー・イェンだが、彼がデビューしたきっかけとして大きく貢献しているのが、香港だけでなく世界に名が知れ渡っているアクション監督ユエン・ウーピン(袁和平)だ。ウーピンは香港作品に加え『マトリックス』『キル・ビル』などのハリウッド作品でもアクション指導を務めたアクション・マスターだが、一方で監督として『スネーキーモンキー/蛇拳』『ドランクモンキー/酔拳』といった大ヒット作も生み出している。言うなればジャッキー・チェンをスターダムへとのし上げた人物であり、そんなウーピンが監督の立場からドニーを主演に大抜擢し、ドニーの記念すべきデビュー作となったのが1984年の『ドラゴン酔太極拳』だ。その後、ウーピン監督は現代アクションへと舵を切りながら自身の作品にドニーを起用し続け、『クライム・キーパー 香港捜査官』や『タイガー・コネクション』などを製作。ドニー自身もウーピン監督と彼の「袁家班」のもとで、アクションのノウハウを培っていくことになる。
そんなドニーにとって(あるいはウーピン監督にとっても)1つの節目となったのが、1992年のツイ・ハーク監督作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱』だった。『少林寺』で一躍人気者となったリー・リンチェイ(のちのジェット・リー)を主演に据え、実在の武術家・黃飛鴻(ウォン・フェイホン)を描いた“ワンチャイ”シリーズの2作目にあたる作品だ。同作でウーピンが武術指導を務め、ドニーが初の悪役となるラン提督に扮した。同作はウーピンお得意のワイヤーアクションを時として過剰なほどふんだんに取り入れたカンフーバトルが魅力であり、またリンチェイのマーシャル・アーツの美しさが際立つ作品でもあった。そんな作品でドニーはリンチェイと棒術や布を棒状にまとめ上げた棍術で、目にも止まらぬハイスピードバトルを展開。中盤でホン・ヤンヤン演じるクン大師との壮絶なバトルもさることながら、ドニーが終盤で見せる現実的なアクションにしっかりと彼の持ち味が現れることになった。実をいうと筆者にとって“初ドニー作品”となったのだが、これまで観てきたカンフー映画では体験できなかった興奮を覚え、リンチェイと互角のバトルを繰り広げる悪役・ドニーから溢れんばかりの魅力を感じた瞬間でもあった。
そんなドニーでも、90年代は決してヒット作に恵まれたと言えるような時代ではなかったのも事実。ドニーのフィルモグラフィーを振り返る上で触れなければいけないのは、ドニーが自らメガホンを握った『ドラゴン危機一発'97』だろう。ドニーはこの作品で監督・主演のほか製作・脚本・アクション監督も務めるほどの入れ込みようだったが、残念ながら本国・香港で興行不振に終わってしまったのだ。とはいうものの、カンフーバトルに関してはとんでもない熱量を帯びていることは確かでもあり、低予算で目立つ粗をアクションでカバーしようとでも言うかのように、怒涛のバトルの釣瓶打ちになっている。もはやドニーの繰り出す攻撃が早すぎるあまり、効果音とタイミングが合っているのかすら分からないほどで、森の中での集団戦やラストの1対1の打ち合いはもはや人類の領域をはるかに凌駕しているのではないかと思えてしまう。なおドニー人気急騰のおかげで本作を運よくスクリーンで鑑賞する機会に恵まれたが、カンフーバトルが目で追いきれなくなって思わず笑ってしまったことをよく覚えている。そんな経験は初めてだった。
改めて注目を集めた2000年代
そんな不遇の1990年代を過ごしたドニーだったが、2002年にチャン・イーモウ監督の武侠大作『HERO』に出演。中国と香港による合作で、ジェット・リーやトニー・レオン、チャン・ツィイー、マギー・チャンら錚々たるキャストの一員として出演し、槍の使い手・長空を好演。イーモウ監督のビジュアルセンスも光る中でリー扮する無名と一騎打ちを展開しており、チン・シウトンによるアクション指導のもと『天地大乱』以来久しぶりにリーと対峙することになった。ちなみに本作は衣装にワダ・エミ、音楽にタン・ドゥンとオスカー受賞クラスのスタッフを擁した力作に仕上がっていて、日本国内ではカンフー武侠モノとしては異例となる40.5億円もの興収を記録している。
それから2002年はドニーにとってはもうひとつ、『ブレイド2』への出演があった。監督はいまやハリウッドのみならず日本の映画ファンからも熱い信頼を寄せられているギレルモ・デル・トロであり、ドニーはゴシックスタイル風の戦士・スノーマンを演じている。役柄としては大きくなくもアクションを披露しているドニーだが、一方で本作は自身が香港で培ってきたアクションにおける一連の作法とは全く別のものであり、ハリウッドシステムに組み込まれた形式的なアクションに落胆したとも言われている。結果的にドニーのハリウッド出演は翌年のジャッキー・チェン主演作の『シャンハイ・ナイト』を最後に2016年の『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』まで途切れることになっってしまった。
話を香港へと戻すと、2000年代はドニーにとってまさしく上り坂であったことがフィルモグラフィーから伝わってくる。2005年には『天地大乱』のツイ・ハーク監督と久しぶりにタッグを組んだ『セブンソード』に出演。香港カンフー映画の重鎮であるラウ・カーリョンと共演を果たしていて(カーリョンは本作の武術指導も兼ねている)、結果的にカーリョンの遺作に花を添える形となった。
また同年のウィルソン・イップ監督作『SPL/狼よ静かに死ね』は、ドニーのフィルモグラフィーにおいて転換点になった作品なのではないかと感じている。サモ・ハンがキャリア初の悪役を演じた本作ではドニーがアクション監督も務めており、ノワール感の漂う作品でカンフーというよりは総合格闘技(MMA)に近いアクションを設計。ラストのドニーvsサモ・ハンによるバトルはまさしく新旧アクション俳優の“激突”が実に魅力的なものだったが、その直前に用意された、ドニーと殺し屋を演じたウー・ジンによる路地裏でのバトルも特筆すべきアクションになっている。左右を壁に囲まれた路地で警棒を扱うドニー、そして短刀を振るうウー・ジンは左右・上下への動きが制限されながら、前か後ろかのライン上で描かれた一進一退の極限アクションが展開したのだ。
翌2006年には再びウィルソン・イップ監督と組み、主演とアクション監督を務めた『かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート』が公開となったが、こちらは新たな香港ノワールを追求した『SPL/狼よ静かに眠れ』から一転。原作がカンフー漫画であることを踏まえて演出は明らかにコミックテイストが意識されていて、ドニーのビジュアルも前髪で顔がほとんど隠れてしまうような(下手をすればギャグにもなりかねない)ものだった。ドニーは本作でなんと二十歳の役を演じ、さらにどこからともなく吹く風が思わせぶりに髪を揺らす、一歩間違えればギャグになりかねないキャラを絶妙な演技力で乗りきっている。アクションもカンフースタイルへと戻し、ニコラス・ツェー、ショーン・ユーとイケメン3ショットで過剰なほどの(もはやファンタジーにも近い)肉弾戦を展開。さらにドニーのアクションチーム「甄家班」の主要メンバーであるユー・カンを、ラスボスとして表舞台に引っ張り上げたドニーの功績も大きい(といっても常に仮面をつけて顔は映らないが)。
さらにウィルソン・イップ監督×ドニーのタッグは、2007年に『導火線 FLASH POINT』を放つ。『SPL~』で総合格闘技に舵を切ったと思えば『かちこみ!~』でカンフーに戻し、『導火線』では再び総合格闘技を組み込んでいるが、パンチの切れや蹴り技のバリエーションなどアクションの内容は『SPL~』から格段の進化を遂げている。なかでも『マトリックス』シリーズのセラフ役で注目を浴びたコリン・チョウとのラストファイトは、ドニーのベストバウトのひとつとして挙げたい。良い意味で「いつ終わるんだ」と思わせるほどの長尺でたっぷりとリングもゴングもないファイトシーンが見られ、両者血まみれの攻防が延々と続くのだ。正直なところ『マトリックス』への出演があったとはいえ、“コリン・チョウ”という俳優の知名度は日本で今ひとつかもしれないが、香港アクションを語る上でドニーvsチョウの壮絶なバトルは必見だといえる。
そしてウィルソン・イップ監督×ドニーのタッグは2008年に、カンフーアクション史に残る傑作をものにする。それが今やドニーのライフワークであり、詠春拳の達人にしてブルース・リーの師を描いた『イップ・マン 序章』だ。ブルース・リーといえばドニーにとっての“スター”であるが、その師匠であるイップ・マンをドニーが演じるという意味において、そしてドニーのキャリアにとってもひとつの到達点になった作品ではないだろうか。清廉な人格のなかに圧倒的な強さを秘めるイップ師父の魅力は、冒頭に用意されたルイス・ファンとの対決でいきなり炸裂する。逆に怒りがその身から溢れ出し、1人で10人の日本軍兵士を相手にした組み手では神がかり的な強さを見せる場面は、ドニーの卓越したアクション技法を目の当たりにする瞬間でもある。
のちに『イップ・マン』はシリーズ化され、『イップ・マン 葉問』『イップ・マン 継承』が同じ監督・主演コンビで公開されている。序章と葉問においてはアクション監督をサモ・ハンに一任しており、葉問では出演を兼ねたサモ・ハンとドニーの直接対決が実現。円卓上での高速連打の応酬は撮影技巧も相まってとんでもないファイトシーンへと仕上がっている。継承ではユエン・ウーピンがアクション監督を務め、ドニーには大きく分けて造船上の闘い、ムエタイの使い手との闘い、マイク・タイソンとの闘い、そしてマックス・チャンとの闘いが用意された。どのパートも至高のファイトシーンが楽しめるが、圧巻なのは「袁家班」出身のマックス・チャン演じる張天志との同門(詠春拳同士)対決だ。六点半棍戦・八斬刀戦・拳法戦と詠春拳の戦法を明確化したラストファイトは、カンフーマスターの域すら超えた超人同士のバトルになっていて、まさにシリーズの真骨頂ともいえる。いずれにせよ『イップ・マン』シリーズはドニーのスター性よりも、武術家イップ・マンという人間性そのものを描いた、稀にみるドラマチックなカンフー映画なのだ。
ドニー・イェン人気が大爆発した2010年代
2010年代のドニーは『イップ・マン』シリーズに加え、金城武と共演を果たした『捜査官X』や『西遊記』シリーズの第1作目となる『モンキー・マジック 孫悟空誕生』、そして先達や香港映画界そのものへの賛歌となった『カンフー・ジャングル』など、多くのヒット作を生み出している。まさに“全盛期”真っただ中と呼べる状態だが、2010年代後半はさらなる転機にも立つことになった。それが冒頭に記した『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』への出演だ。
ドニー・イェンという名を爆発的に広めるきっかけとなった作品だが、一方でそんなブロック・バスタームービーだからこそ拠点である香港を長期間あけなければならず、当初はオファーを受けるか迷っていたというのだから驚きだ。どれだけ家族好きのナイスパパなのだと言いたいところだが、逆に自身の子どもたちに背中を押されて出演を決めたのは有名な話。さらに自ら盲目の設定を申し出て、チアルート・イムウェというキャラクター造形においてドニー自身が大きな役割を果たすことになった。
フタを開けてみればチアルートは映画の中で、スター・ウォーズという世界線にぽろっと登場したアジア人などという立場ではなく、俳優ドニー・イェンが演じるチアルート・イムウェという確固たる存在感を放った。ファンからは「ドニーさんならフォースを使わなくてもベイダー卿を倒せる」との声もある中(筆者もそう思っていた)、ドニーは個を抑えつつ、あくまでチアルートというキャラクターの表現に徹して物語を彩った。それでも杖1本でトルーパーたちを華麗にしばき倒してしまう強さも見せつけ、“ドニー・イェンここにあり”とでも刻むような爪痕をしっかりと残している。
ドニー・イェンが『スター・ウォーズ』に登場した。その事実だけでも長年のファンとしては感涙ものの出来事だったが、さらにドニーの飛躍は続く。なんと彼は、あのトリプルXだったのだ──。もちろん2017年のD・J・カルーソー監督作『トリプルX:再起動』のことであり、ドニーは本作でシリーズに復帰したヴィン・ディーゼルとがっぷり四つの共演を果たした。こちらで演じたエージェントのジャンもチアルートばりに、いやそれ以上に常人離れした能力を見せつける。ビルからビルへと飛び移って防弾ガラスを粉砕し、或いはバイクチェイスで文字通りビッグウェーブに乗ったかと思えば、敵組織のチームをにこやかにフルボッコにしていく……。さすがドニー・イェン、それでこそドニー・イェン。そんな魅力がぎゅっと濃縮された作品であり、敵チームを壊滅する際に腕を振り回しながら「やろうぜ」と口にするドニーの笑顔がなんと輝かしいことか。ジャンというキャラクターを飛び越えて、なんだか「ドニーさん、心からハリウッド作品を楽しんでるのかな」とついつい嬉しくなってしまうほどだ。
ドニー・イェンと日本の関わり
多くの作品でアクション監督としての実績を残しているドニーだが、そんな彼が唯一邦画作品でアクション監督を務めた作品がある。2001年公開の釈由美子主演『修羅雪姫』だ。それまでグラビアアイドルとして活躍し不思議系キャラで人気を博していた釈が突如としてソードアクションを披露し、アクションヒロインとしての才能を開花させた作品である。日本刀アクションに加えドニー仕込みの開脚キックなど、立体的な肉弾戦アクションも展開されており、邦画にして異質な(それこそ香港アクションのニュースタイルのような)オーラをまとった作品へと昇華した。
それにしても『修羅雪姫』は、ドニーを筆頭に豪華クレジットが並んでおり、監督は『図書館戦争』や『いぬやしき』、4月公開の『キングダム』が控える佐藤信介。ドニーをサポートするスタント・コーディネーターに、『るろうに剣心』シリーズの谷垣健治と『RE:BORN』監督の下村勇二。特技監督には『シン・ゴジラ』監督の樋口真嗣、そして音楽には『イップ・マン』シリーズや押井守作品でおなじみの川井憲次と、現在邦画界の第一線で活躍するスタッフ陣が脇を固めているのだ。この作品を通してドニーは川井との接点を持ち、のちにツイ・ハーク監督に紹介して『セブンソード』の音楽を依頼。よほどドニーは川井サウンドに魅せられているようで、その後も『かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート』および『イップ・マン』シリーズの音楽で川井と組んでいる。
またドニーと谷垣・下村両氏は香港作品でも共闘しており、下村はドニーに師事して谷垣とともに『導火線 FLASH POINT』、『モンキー・マジック 孫悟空誕生』にスタント・コーディネーターとして参加している。また「香港動作特技演員公會」会員でもある谷垣は、1995年にスタントマンとして参加したドニー主演のドラマ『精武門』以来、ドニー作品ではスタント・コーディネーターとして『ドラゴン危機一発'97』『新・ドラゴン危機一発』『ドニー・イェンin COOL』『SPL /狼よ静かに死ね』など数多くの作品でドニーのバックアップを務めている。
ちなみにそんなドニーの遺伝子が遺憾なく発揮されたのが、谷垣がアクション監督を担当した大友啓史監督の『るろうに剣心』シリーズだ。例えば1作目の終盤で、佐藤健演じる緋村剣心が観柳邸の庭園で低姿勢で弧を描くような軌道を描きながら、敵陣を駆け抜ける場面がある。これは谷垣も参加した『レジェンド・オブ・フィスト/怒りの鉄拳』の冒頭で、ドニーが敵からの銃撃や砲撃をかわしながら見せた斜め走りと同じアクションだ。また2作目の『京都大火編』の終盤に土屋太鳳演じる操が、ドニーの得意とする空中蹴りを披露しているのも見どころになっている。そもそも大友監督が『るろうに剣心』で“ワンチャイ”を目指したということもあり、ドニーアクションの継承者的存在の谷垣が起用されたのも大いに納得のできるところだろう。
これからのドニー・イェン
さて気になるのは2019年のドニーの新作だが、国内公開作品の現状としては“2019中華最強映画まつり”の1本に組まれた『アイスマン 宇宙最速の戦士』のみとなっている。本作ではドニーvs和製ドラゴンこと倉田保昭による時空を超越したソードバトルが実現しており、互いに一歩も引かないアクションが最大の見せ場となっていた。
本国での公開待機作としてはなんといっても『IP MAN 4(原題)』に大きな期待が寄せられている。これまでのシリーズと同様にウィルソン・イップが監督を務め、前作に続いてユエン・ウーピンがアクション監督を担当。前作ではマイク・タイソンの特別出演が話題を呼んだが、今回はイギリス生まれのハリウッドアクション俳優スコット・アドキンスが共演に名を連ねている。
それから谷垣健治とウォン・ジンを共同監督に据えた『Enter The Fat Dragon(原題)』も気になるところ。こちら中国語タイトルは『肥龍過江』となり、サモ・ハン主演でヒットを記録した『燃えよデブゴン』の原題と同じものになる。実際に本作でドニーは太っちょの特殊メイクを施されているのだが、実はかつて中国の寝具メーカーのCMにドニーが出演した際1人2役に挑戦。片方が特殊メイクで太っちょドニーに変身しており、2人のドニーがちょっとしたバトルを繰り広げる内容だった。このときにアクション監督を務めたのが谷垣で、今回はさらに共同監督としてドニーに大役を任されたことになる。なお本作はドニーが来日して東京などで撮影が敢行されており、先日は『SPL/狼よ静かに死ね』で見せたウー・ジン戦を模したような? ロケーションショットが公開されたばかり。いやはやどのような作品に仕上がるのか楽しみであり、ぜひとも日本公開に漕ぎつけてほしいところ。
ほかにも本国で公開済みの作品にアンディ・ラウ共演の『追龍(原題)』、教師役に挑戦したアクション『大師兄(原題)』があり、いずれも日本未公開。またアクションゲーム『スリーピングドッグス 香港秘密警察』の映画化が現在プリ・プロダクション進行中とされている。そして何より楽しみなのが再びハリウッドに戻っての最新作であり、ディズニーアニメーション『ムーラン』を実写化するニキ・カーロ監督の『MULAN(原題)』だ。リウ・イーフェイを主演に迎えた本作では、共演にジェット・リー、コン・リー、ジェイソン・スコット・リーの名前が挙がっており、アメリカ本国では2020年の公開が予定されている。
最後は駆け足になってしまったが、ドニー・イェンのこれまでの作品はどれも(タイトルをを挙げきれなかったものも含め)“宇宙最強”の名に相応しいアクションと魅力が詰め込まれている。最近は「ついに時代が追いついた」感もあるが、ドニーならそうと分かった途端お得意の“ドニー走り”でうんと先へと駆けだしてしまうのだろう。しかしだからこそ、改めて「それでこそドニー」と思えてしまう魅力がある。ファンとしてはその姿を追いつつ、時に振り返ってこちらににこやかな笑顔を見せるドニーに魅了され、そしてこの先も憧れ続けるのだ。
(文:葦見川和哉)
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