映画コラム

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2020年02月06日

『プロジェクト・グーテンベルク 贋札王』レビュー:チョウ・ユンファの面目躍如! これぞ香港ノワールだ!

『プロジェクト・グーテンベルク 贋札王』レビュー:チョウ・ユンファの面目躍如! これぞ香港ノワールだ!



とにもかくにも
チョウ・ユンファ!


回想に入ってから映画の前半は贋作づくりのノウハウなどがミステリ・タッチで綿密に描かれていき、見る側の興味も大いにそそられていきます。

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しかし本作はそうした作業を淡々と描く地味な作品なのかというと、これが徐々にハードなバイオレンス・アクションへと転身していき、それとともに“画家”の冷酷無比な素顔も露になっていくのが妙味。

特に後半は『ランボー』もかくやの一大スペクタクル戦闘と化し、しかも今回“画家”は二丁拳銃で敵をバッタバッタとぶち殺していく!(やはりチョウ・ユンファはこうでなきゃ!)

本作におけるチョウ・ユンファは持ち前の笑顔をさわやかに見せつけながら、次第にそれが邪悪な素顔の仮面であったことを魅惑的かつ倒錯的に示していきます。

レイ同様、最初は気を許していた観客も、もはやその狂える魅力から逃れることはできず、後はあれよあれよとジェットコースターのように転がりまくるストーリー展開に翻弄され、ついには……おっとこれ以上ネタバレしてしまうと“画家”ならずともどんな報復されるかわからないほどに大胆不敵なクライマックスが用意されているのです!
(もっとも「贋札」というキーワードは、ぜひ心の片隅に留めておくとよいでしょう)

チョウ・ユンファは本作で海南島国際映画祭2018やアジア・フィルム・アワード2019で主演男優賞を受賞。また作品自体も香港電影金像奨で作品賞など7部門を受賞。それらもすべて“亜州影帝”久々の香港ノワール復帰を祝福する香港映画人たちのリスペクトの賜物とも評されています。

現在65歳のチョウ・ユンファですが、年齢の老いなどまったく感じさせない精悍さと機敏なアクション、そして正邪双方併せ持つ笑顔の魅力!

嗚呼、チョウ・ユンファ!

とにもかくにもチョウ・ユンファ!

とどのつまり、こうとしか言いようがないほどチョウ・ユンファの魅力が満載の『プロジェクト・グーテンベルク 贋札王』は、彼のファンは当然として、未だに『男たちの挽歌』を見たことがない若い映画ファンにも必見の快作なのでした!

(文:増當竜也)

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