映画コラム

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2020年03月14日

『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』レビュー:スターと少年の文通がもたらす一大スキャンダル!

『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』レビュー:スターと少年の文通がもたらす一大スキャンダル!



オシャレで気品高く
奥深い人間ドラマの秀作


本作は、カナダで子役として活躍していた8歳のグザヴィエが、憧れていたスター、レオナルド・ディカプリオに手紙を宛てたことをヒントにストーリーを構築したものです。

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スターと少年の文通とは、一見なかなか良い話ではないかと思われそうですが、それがなぜ一大スキャンダルに発展してしまうのか?

そこは本作の最大のキーポイントなのでネタバレは避けたいところですが、何とも世の偏見とは恐ろしいものであることを改めて痛感させられるとともに、それによって純粋な想いが傷つけられていく世の無情に忸怩たる想いが湧き上がってくることでしょう。

登場する俳優陣も『ポンペイ』(14)やTVドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』(11~19)で知られるキット・ハリントンと『ルーム』(15)の天才子役ジェイコブ・トレンブレイを主演に、ナタリー・ポ-トマンやスーザン・サランドン、キャシー・ベイツ、タンディ・ニュートンといった実力派女優がグザヴィエ監督作品独自の世界観に惚れ込んで助演という、なんとも贅沢かつ潤沢なキャスティング!

撮影はフィルムでなされ、中には70ミリを回したショットもあるというこだわりよう!

またアデル(今回オープニング曲を担当)などのPVなども演出してきたグラヴィエ監督ならではの映像と音楽の融合も抜群のセンス!

さらには自身「俳優や監督ではなかったらファッションデザイナーかインテリア・デザイナーになっていた」と語るほど秀逸な美術、特に衣装は素材選びから携わるという念の入れよう!

こうした画と音の力を得て、本作は一つの愛の悲劇と同時に、グラヴィエ監督作品ならではの“母と息子”のモチーフをも巧みに追及してゆきます。

オシャレで気品高く、そして奥深い優れた人間ドラマとして強くおすすめしたい秀作です。

(文:増當竜也)

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