ウイルス・パニック映画『クレイジーズ』で新型コロナ第2波に備えよ!
ゾンビ映画の変形としての
ウイルス・パニック映画
軍事兵器としてのウイルスが漏洩するパニックを描いた映画は『復活の日』(80)など多数ありますが、ここでは感染した人々が病気になるのではなく、凶暴化してしまうというのがミソ。
その姿はまさにゾンビといっても過言ではないほどですが、感染者は死者ではなく、あくまでも生者なのです。
本作のオリジナルを監督したジョージ・A・ロメロは『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(68)以降多数のゾンビ映画の名作を手掛けていますが、その変形パターンが『ザ・クレイジーズ 細菌兵器の恐怖』であったともいえるでしょう。
そしてリメイク版『クレイジーズ』は、21世紀に入って顕著となってきたゾンビによるパンデミックの恐怖を大いに意識した作りになっており、たとえば「ウォーキング・デッド」ファンにはもってこいの作品となっています。
(感染者の特殊メイクは、もうほとんどゾンビといってもいいほど!)
オリジナル版の「感染者も非感染者も、そして軍隊もまたクレイジー!」といったメッセージは正直薄まっていますが、その代わりにサバイバル映画としての色は強まっており、特に前半部のじわじわとした盛り上げ方は秀逸。
また感染者は凶暴化しても人間としての能力は保持したままなので、ある意味ゾンビより始末に悪いともいえるでしょう!?
洗車場でのバトル・シーンなどかなりの迫力。
(あと校長先生がすごいです……)
こうした作品は平和な時代と今のようなコロナ禍の時代とでは見え方がかなり変わってくるかと思われますが、いずれにしましてもこういった危機的状況に自分が置かれたら? といった心のシミュレーションとして、見ておいて決して損ではないでしょう。
また本作が気に入ったら、ロメロ監督のオリジナル版もぜひ一見をお勧めします。
P.S.現在公開中の『CURED キュアード』は、治癒に成功した凶暴化ウイルス感染者たちが非感染者たちから誹謗中傷の差別と迫害を受けるところから始まる戦慄の社会派サスペンス映画で、まさに『クレイジーズ』のその後を描いたかのような作品であり、コロナ禍の今こそ見るにふさわしい問題作です!
(文:増當竜也)
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