『ライブリポート』レビュー:警官とメディアが組んで驚異の捜査生配信!
主演ふたりの魅力を引き出しつつ
現代SNS社会を巧みに描出
本作はまずペニーのキャラクターをさりげなくも魅力的に見せこんでいきます。
白人警官による黒人迫害が深刻な問題となって過激化していく今のアメリカ警察界隈の中、黒人の少年にも温かく接するペニーは、より好もしく映えます。
しかし、どこかしら影を落とす彼の憂いは、伏線とまではいかないものの、後々のフック的な要素にもなっていきます。
一方で、スクープを求めて外へ飛び出したエイヴァの、どこか危なっかしくも応援したくなる風情。
アーロン・エッカートとコートニー・イートンのデコボコ・コンビが織り成す魅力が、そのまま64分で少女を救出できるか否かのサスペンスと直結していくのが本作の本領ともいえるでしょう。
本作のランニングタイムはおよそ99分ですが、少女の水責め映像が映し出されてからは(ここまではおよそ24分)、上映時間がそのままリアルタイムとなって描かれていきます。
正直、ここからの展開を今語るのも野暮というか、ばりばりのネタバレになってしまうので避けておきますが、多少乱暴で荒々しい展開もあったりはするものの、それでも手を変え品を変え、見せ場の構築に怠りなくあれよあれよとクライマックスに突入していく手腕は大いに買いたいところです。
監督のスティーヴン・C・ミラーは『エクストラクション』(16)などでブルース・ウイリスと、『キング・ホステージ』(17)でニコラス・ケイジと、『大脱出2』(19)でシルヴェスター・スタローンと仕事をし、サスペンス・アクションの中からスターの魅力を引き出す術を心得ているようで、今回も主演ふたりの魅力を大いに引き出しながら64分を一気に駆け抜けていくのでした。
また、何よりもSNS時代の今に呼応した配信そのものがもたらす良くも悪くもの脅威をエンタテインメント性豊かに描いていくあたり、今の映画ならではのものと納得させられます。
現代性とプログラムピクチュア的気さくさを両立させた作品です。ぜひ智主演ふたりとともに64分の決死の捜査にお付き合いください!
(文:増當竜也)
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