『エジソンズ・ゲーム』レビュー:発明王VS実業家の熱い電流覇権バトル!



発明王のプライドが覇権争いへ
直結する野心家エジソン


本作はエジソンVSウェステングハウスの電流戦争を描いたもので、その結末は歴史的事実としてちょっとググればすぐわかることでもありますが、幸運にも(?)未だに知識のない方は、ぜひこの映画を通してスリリングな行方を堪能していただければと思います。

ここでのエジソンは天才発明王としてのプライドをかけて、赤裸々なまでに覇権争いへ自ら飛び込んでいく野心的人物として描かれており、いわゆる悪人的なイメージとは少しずれたところで不可思議な人間的魅力を放っています。

対するウェスティングハウスは大らかな度量を持つカリスマ実業家であり、どちらかといえばエジソンと共闘したかったのに、それを幾度も断られたことからのプライドをもって、彼に立ち向かっていくといった構図が成されています。

ベネディクト・カンバーパッチとマイケル・シャノン、実力派俳優同士の火花散るバトルが大きな見どころではありますが、この両者、ほとんど一緒の画面に映ることはありません(何せ、エジソンは幾度もウェスティングハウスの誘いをすっぽかしてますので)。

しかし相手の姿が直接見えないがゆえに、お互いの敵対意識がエスカレートしていく過程もすこぶるスリリングに描出されています。

監督はTV『gree/グリー』シリーズのアルフォンソ・ゴメス=レホン。

劇中に映し出される電球の光の美しさが発明王VS実業家の戦いを壮麗に映し出すとともに、結果として彼らの攻防が、今に至る“電気の時代”の礎になったことまでも改めて知らしめてくれる作品です。

(もっとも個人的には、映画を発明した後のエジソンの闇を描いた映画もいつか見てみたいもので、実はこちらもかなりヤバいことをしまくっていて、エジソンの覇権争いによって追い詰められていった映画人の多くは西海岸ハリウッドへ逃げのびて、やがて独自の映画王国を築き上げていくのでした!)

(文:増當竜也)

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