映画コラム

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2020年10月01日

『浅田家!』レビュー:ファンが映画で見たかった二宮和也の魅力がここに!

『浅田家!』レビュー:ファンが映画で見たかった二宮和也の魅力がここに!



二宮和也の陽性の魅力が
好もしく描出!


とにもかくにも見る側を楽しく温かい気持ちにさせてくれる作品です。

https://www.youtube.com/watch?time_continue=1&v=msDczM53k4I&feature=emb_title

こんな風に明るい絆で結ばれた家族って本当に存在するのか!? などと正直驚きつつ、それはひとりひとりがちょっとした気配りや気遣いなどで、十分実現可能なことを知らしめてくれることでしょう。

何よりも主人公・政志を演じる二宮和也=二ノの、TVバラエティ番組などで良く見せてくれている屈託のない笑顔や明るいキャラクターがここではフルに、そして好もしく活かされています。

正直なところ、映画におけるニノは熱演型のシリアスな作品が多かったように思え、それはそれで魅力的ながらも、時には陽性のコメディも見てみたいと常々思っていただけに(実は以前、彼に取材させていただいた折、あなたのコメディ映画を見たいと言ったら「いやあ、コメディは難しいですよ」と笑顔で返されたことがありました)、今回の彼を見て実に我が意を得たり!

また彼に振り回されながらもまんざらでもない家族の面々の個性の描出もさりげなくユニークかつ着実に成されていて、彼らの存在あればこそのニノの魅力もさらに引き立つという相乗効果をもたらしているあたりも見逃せません。

その他、最初は彼と気づかないほど役にはまっている菅田将暉や、政志の写真を最初に認める出版社の酒飲み社長役の池谷のぶえの豪快さ、そしてときに優柔不断な政志を厳しくも優しくリードする恋人役の黒木華など、キャストのすべてが映画に貢献しているといっても過言ではないでしょう。

こうした成果は3・11以降の描写でも大いに活かされ、それゆえに後半はもう優しい感動の涙で画面が曇って見にくくなること必至。

監督の中野量太は『チチを撮りに』(12)『湯を沸かすほど熱い愛』(16)『長いお別れ』(19)など、一貫して家族の絆を通して人の生き死にを描くことに長けた才人ですが、今回も3・11というモチーフを背景にしながらも、持ち前ともいえる陽性であると同時に繊細でもある描出の数々によって、前向きな人間讃歌として屹立させてくれています。

個人的には今のところ本作が中野監督のベスト・ムービーではないかとまで思えてしまったほどでした。

一方では秋の到来とともにしっとりと落ち着いた雰囲気に浸りたい方々にもフィットする作品にも成り得ています。

日本はもちろんのこと、世界中の家族に大いに受け入れられることであろうコミカル&ヒューマン&ファミリー映画の快作として、ニノ・ファンはもちろんのこと、全ての世代に分け隔てなく気持ちの良い後味の感動を与えてくれる快作です!

(文:増當竜也)

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