映画コラム

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2021年01月15日

自分勝手で不器用な恋の行方をモチーフにしたラブストーリー2作品

自分勝手で不器用な恋の行方をモチーフにしたラブストーリー2作品


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2021年1月15日に公開となる『43年後のアイ・ラヴ・ユー』は、70歳の演劇評論家(ブルース・ダーン)が、かつての恋人で今はアルツハイマーを患った女優(カロリーヌ・シロル)に会いたいと願い、自分も同じ病気のふりをして施設に入所するという老いらくのラブストーリー映画です。

年齢も性別も身分も問わず、恋愛にはさまざまな形がありますね。

そこで今回は、ある意味自分勝手ながらもどこか不器用な恋の行方をモチーフにした作品を2本ご紹介します。

不可思議な男女の三角関係を描いた
『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』



まずは、ちょっとこじれた大人の不可思議な三角関係を描いた2015年のハートフル・ラブ・コメディ映画『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』から。

ニューヨークを舞台に、再婚した夫(イーサン・ホーク)を前妻(ジュリアン・ムーア)のもとへ戻そうとするアラサー・ヒロイン(グレタ・ガーウィグ)の不思議な三角関係が描かれていきます。

主演のグレタ・ガーウィグは『レディ・バード』の監督としても注目されている才人。

これにイーサン・ホークとジュリアン・ムーアといった芸達者が絡み合い、女と男と女、ちょっと不思議な三角関係が奏でられていくのでした。

監督は『50歳の恋愛白書』(09)などを手掛け、グレタ・ガーウィグと同じように『ウインズ』(92)『めぐり逢い』(94)などで女優としても活躍中のレベッカ・ミラーが務めています。

また撮影監督のサム・レヴィは『フランシス・ハ』『ミストレス・アメリカ』『レディ・バード』とグレタ・ガーウィグが絡んだ作品を多く担当しています。

あくまでもロマンティック・コメディとしての演出がなされつつ、総じてなかなか大人になりきれない女と男のリアリティは、見る人それぞれの人生観や恋愛観によって共感も反感も生むかもしれません。

ただし、見る人それぞれにわが身を振り返らせる要素があるのが本作のユニークな点でもあるでしょう。

自分の恋愛観を確認する意味でも、ご覧になる価値は大いにありです。

自殺幇助の代理店と契約してしまった
恋する男女の逃避行『素敵なサプライズ』




本作『素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店』は、2015年度のオランダ映画で、ブラックでナンセンスなドタバタ・ラブコメディです。

主人公は、何不自由ない生活を送りながら、生きる意味が見出せず死にたがっている大富豪ヤーコブ(イェルン・ファン・コーニンスブルッヘ)。

そんな彼がたまたま訪れたベルギーの店は、何と自殺を幇助してくれる、いわゆる自殺代理店!

つまり、死にたがっている人を事故に見せかけて殺してくれるお店だったのです。

さっそく富豪はおまかせコースを選んで契約するのですが、まもなくして彼は同じコースを選んだ女性アンナ(ジョルジナ・フェルバーン)と恋に落ちてしまった。

もう死にたくない!

しかし契約はもう取り消すことはできません。
(まあ、自業自得と言われてしまえば、それまでですかね……)

かくしてヤーコブとアンナは、代理店が差し向ける殺し屋から逃れるべく旅に出ますが……。

オランダは古くから地続きの近隣諸国との争いに巻き込まれる悲劇に見舞われることが多く、それゆえか、オランダ映画もどこかシニカルな死生観が漂うことが往々にあります。

その意味では本作も、淡々としたおとぼけメルヘン的な味わいがコミカルに醸し出されていく中、そういった死生観や生きる渇望みたいなものまで感じられる作品なのでした。

監督は『キャラクター 孤独な人の肖像』で第70回アカデミー賞外国語映画賞を受賞したマイク・ファン・ディム。

 (文:増當竜也)

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