映画コラム

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2021年02月04日

メキシコの女性画家・フリーダ・カーロ、彼女をめぐる2つの映画の見どころ

メキシコの女性画家・フリーダ・カーロ、彼女をめぐる2つの映画の見どころ


映画『フリーダ・カーロに魅せられて』の見どころは?



美術館やギャラリーが所蔵する数々の名作を、スクリーンの大画面で鑑賞できるのがこの映画シリーズの最大の見どころだ。『フリーダ・カーロに魅せられて』でもさまざまな作品が登場する。

現在はフリーダ・カーロ博物館となっている彼女の生家「青い家」のほか、メキシコシティの美術館やギャラリー、各国で開催された展覧会の模様も収録している。美術館の学芸員や大学教授など複数の専門家がインタビュイーとして登場し、解説や主題、技法について語るのは興味深いし、フリーダを初めて知る人にもわかりやすいだろう。

流産後に描き、この作品をもって作風が変わったといわれる石版画についての解説には特にひかれた。また写真家でフリーダの親戚という女性も登場し、生い立ちについても語っている。今シリーズはアートをグッと身近にする映画である。

こちらも観たい!伝記映画の『フリーダ』



フリーダの芸術に触れたのなら、2003年に公開された、ジュリー・ティモア監督の『フリーダ』(2002年)も、ぜひ観ておきたい。自由奔放な少女時代から、九死に一生を得た事故、ディエコ・リベラとの出会い、愛情や葛藤がフリーダ役のサルマ・ハエック、ディエゴ役のアルフレッド・モリーナなどにより、深く強く描かれる。劇中に流れるメキシコの伝統音楽をベースにしたトラックは名曲ばかりだ。躍動感にあふれかつ郷愁的で、フリーダの心の揺れに似たものを感じ取れる。ほかにも舞踊やテキーラなどメキシコ文化に多数触れられるのもいい。

フリーダはアイデンティティの象徴としてアメリカなど海外を訪問した際も、自国の伝統のテワナ衣裳を身につけていたことでも知られる。スクリーンではそんな彼女の衣裳も見どころである。ディエゴのため、いつも身なりを美しく整えていたともいわれているフリーダ。ヘアスタイルやアクセサリー、少女期の男装なども注目したいところだ。

監督のジュリー・ティモアは日本では特に『ライオン・キング』などブロードウェイの舞台や映画製作などの演出で有名だろうか。フリーダの作品をモチーフにしたスクリーン上の演出も見ごたえがある。そこには監督ならではの彼女の作品の解釈に触れることができるともいえる。
 
前述の映画『フリーダ・カーロに魅せられて』で登場する数々の作品が、今度はドラマという表現方法で描かれる。2つの映画を見ればフリーダについての理解がさらに深まるだろう。
 フリーダの絵はまるで雄弁な詩のようである。みなさんはそこにどんなものを掴みとるだろうか。

世界的な芸術を映画館のスクリーンで楽しめる本シリーズでは、レオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年記念として制作され、「モナ・リザ」、「最後の晩餐」などの傑作をハイビジョンカメラによる映像でとらえた『天才画家ダ・ヴィンチのすべて』、スペイン、バルセロナ、パリを巡りながらピカソの青春時代にスポットをあてて、彼の芸術家への道を探る『ピカソがピカソになるまで』も同日に公開される。世界的な芸術作品の数々を、美術館の現地であってもありえない近距離、またアングルで見られるまたとないチャンスをお見逃しなく。

(文:山本陽子)

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