『ナタ転生』レビュー:中国3DCGアニメの飛躍を示唆する伝奇バトル・ファンタジー!
■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT
日本では2019年の初秋に限定上映された「白蛇:縁起」(19/今夏、日本語吹替版が劇場公開予定)の中国スタジオ追光動画が4年の歳月を費やして制作した振る3DCGアニメーション伝奇バトル・アクション大作。
バイク好きな青年・李雲祥が、ひょんなことから徳一族の御曹司に絡まれたことから、己がナタの生まれ変わりであることを知り、家族や仲間、やがては市民を護るために決死の戦いを繰り拡げていきます。
ナタとは中国古代小説「封神演義」に登場する少年神で、敵対する東海龍王の一族ともども3000年前から幾度も転生しながら戦い続け、その因果がこうして現代にも及んでしまったわけなのでした。
こういった過去の伝承と現代を結び付けたファンタジック・アクションものは、かつて香港映画が得意とするジャンルでもありましたが、今は中国アニメーションも積極的に採り上げるようになってきたようです。
(先ごろ日本でクリーンヒットとなった『羅小黒戦記』も、妖精たちの伝承ファンタジーを現代に導入しながらユニークな世界観を構築していました)
また、現代が舞台とはいっても本作の世界観はかなりサイバーパンクなもので、冒頭から『AKIRA』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』などを中国風に巧みに置き替えたかのようなオリエンタル・ファンタジック色あふれる設定にニンマリ。中盤の重要な舞台となる崖の中にそびえるに病院などの美術背景の妙にも唸らされます。
CGそのものは荒っぽいところもありますが、とにかく勢い重視でガンガン攻めまくってくれるので、2時間弱の上映時間をいささかも飽きさせるところがありません。
少なくとも3DCGアニメに関して今や中国は日本より秀でていて、そのうちハリウッドを凌駕するのではないかと思われるほどの勢いが、本作や『白蛇:縁起』からは感じられます。
女性キャラが総じてさりげなくも艶っぽく描出されているあたり、どこの国のアニメーターもこういうところへ妙に力を入れたがるものだなあと変に感心してみたり、細部の細部まで楽しめる要素は満載。
「羅小黒戦記」のヒットの際も感じさせられましたが、近々中国アニメーション映画の世界的ブームが到来するのではないかと予感させられずにはいられないほど、パワフルな勢いに圧倒されるとともに堪能できる逸品です。
(文:増當竜也)
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(C)Light Chaser Animation Studios