『るろうに剣心 最終章 The Final』レビュー:シンプルな図式の中で展開される壮絶アクション!土屋太鳳の殺陣も見られる!
■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT
大友啓史監督による映画『るろうに剣心』シリーズの最終章・2部作がいよいよスタート。まずは映画版ストーリーそのものの決着をつけると思しき『The Final』が2021年4月23日より公開されます。
思えばシリーズが開始されたのが2012年。およそ9年の流れの中、個人的評価を簡潔につけるとしたら、第1作『るろうに剣心』(12)が〇、第2作『京都大火編』(14)が◎、第3作『伝説の最期編』(14)が△。
即ち、本シリーズに対するシンパシーが一度ガクンと落ちてしまっていたもので、今回の最終章も鑑賞前はかなり期待が薄れていたことを正直に白状しておきます。
……が、今回は前作の物足りなさを補って余りあるほどの面白さ!
主人公・剣心(佐藤健)に憎しみを抱き、彼だけでなく周囲の者たちすべてを破壊しようとする雪代縁(「ゆきしろ・えにし」と読みます/新田真剣祐)の天誅ならぬ〈人誅〉のすさまじさと、それに対する剣心チームの猛反撃!といったシンプルな図式によって、総じてチャンバラ・アクションとしての殺陣の醍醐味が前面に打ち出されているのが妙味といえるでしょう。
特に後半はシリーズ10年近い流れの中、キャスト陣それぞれが大きく役者として成長してきたことの実績が、殺陣そのものにも見事反映されているあたりも見逃せない好要素です。
特に、操(みさお)役の土屋太鳳の殺陣をようやく久々に見ることが出来て、感無量!
本来アクションができるスキルを身に着けていながら、どうしても青春キラキラ系作品群での人気が先行してしまい(それはそれで可愛らしくて良いのですが)、なかなかアクション・ジャンルへの出演が叶わない土屋太鳳の颯爽たる立ち回りを目の当たりにしながら、彼女を含むアクションができる日本の女優たちを総動員したガーリー・アクション映画を誰か企画してくれないものか! と、発狂しそうなくらい願わずにはいられませんでした。
佐藤健や新田真剣佑などメインどころの己の肉体を駆使した壮絶極まる魅力の描出に関しても、もはや「見てください」としか言いようのない優れもの!
特に日本の時代劇の殺陣に革命を起こしたアクション・チームに喝采を送りつつ、映画シリーズとしての真のファイナルになる『The Biginning』(2021年6月4日公開)を期待値マックスで待ち望みたいところです。
(文:増當竜也)
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(C)和月伸宏/集英社 (C)2020映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会