映画コラム

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2021年06月03日

『るろうに剣心 最終章 The Final 』レビュー:原作コミックス派の人にも観てほしい実写版雪代縁

『るろうに剣心 最終章 The Final 』レビュー:原作コミックス派の人にも観てほしい実写版雪代縁



『るろうに剣心 最終章 The Final』が4月23日より公開になりました。この作品は6月4日から公開予定のThe Beginningとの二部作で、コロナによる延期を経てようやくの上映です。

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映画るろうに剣心の原作は言わずと知れた週刊少年ジャンプに連載された漫画『るろうに剣心 ー明治剣客浪漫譚ー』(和月伸宏原作 JCコミックス全28巻)です。今回上映される作品は人誅編と呼ばれる主人公・緋村剣心(佐藤健)の最後の闘いを実写化しており、原作コミックスでいうと18~28巻が該当します。

筆者はリアルタイムで原作の人誅編を読んでおり、漫画からるろ剣にはまった人間です。原作のある作品が映像化される時、作品を愛する人間が抱える恐れにも似た感覚。それは自分の大好きな作品のイメージが壊されることではないでしょうか。

自分の大切に思っている作品だからこそ、別媒体での表現で自分の持つイメージを壊されたくないと心配してしまう。しかし、今回の実写版を観て意外な形でイメージが壊されました。敵役である雪代縁(新田真剣佑)の言動がぐっと迫ってくるのです。



縁は剣心最大の敵として立ちはだかる、剣心に恨みを抱く人間です。その原因はThe beginningにも通じると共に、剣心が幕末の人斬りを経てるろうにになる原点ともなっています。

もちろん原作の漫画でも縁の心情はよく描かれています。しかし、どちらかというと何を奥に秘めているかわからない、不気味な敵という印象のほうが強く、ごひいきは主人公の剣心側になっていました。



それが、今回の実写版では縁の心の機微も一つひとつ丁寧に描かれており、縁にとっての救いをもたらす表現に焦点が当たっているのです。その描写の積み重ねがあるからこそ、終盤で薫から渡されたあるものを受け取った縁の姿は、胸に迫るものがあります。

剣心といい、縁といい、切ない。



まさか実写版で敵役に大きく感情移入するとは思いませんでした。原作に思い入れのある方も一度ご覧になって、映画ならではの演出もお楽しみください!

(文:ささのは)

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(C)和月伸宏/集英社 (C)2020映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会

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