【厳選】今週公開オススメ映画!『ブラック・ウィドウ』『東京リベンジャーズ』だけじゃない…!
【厳選】今週公開オススメ映画!『ブラック・ウィドウ』『東京リベンジャーズ』だけじゃない…!
『シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち』
差別&偏見と真摯に対峙しつつ日々を愉しむゲイ水球チームの面々の「人」としての誇りフランスに実在する芸の水球チーム「シャイニー・シュリンプス」をモデルにした作品。実際にチームに所属していたマキシム・ゴヴァールがセドリック・ル・ギャロとともに共同監督しています。
LGBTQ+による世界最大のスポーツと文化の祭典「ゲイ・ゲーム」なるものがあるとは恥ずかしながら知りませんでしたが、本作はゲイ・ゲーム出場を目指すチームの奮闘ならぬ日常を描いたもの。
何せこのチームの面々、競技そのものよりも歌って踊ってのパーティのほうが好きといった平和主義者すぎて、闘争心らしきものは皆無に等しい?
そこにゲイ差別発言をとがめられ、いやいやチームのコーチをすることになった元オリンピックの銀メダリストのマチアス(ニコラ・ゴブ)を主体に映画は進行していきますが、なかなか彼らに心を開くことが出来ずにいるのを隠さないあたり、本作の覚悟の証しとも取れます。
一見派手派手しくイチャイチャと日々を愉しんでいるチームの面々ではありますが、時折向けられる周囲からの冷たい視線や差別の言動などを本作はきちっと描いており、それは時に見ている側が辛くなるほど。
しかしながら、そんな実情を受け止めながら、その上で前向きに明るく振るまい続ける彼らの姿にこそ、本作のメッセージが込められているように思えてなりません。
劇中、ナチスがユダヤ人やロマだけでなくゲイも虐殺し、さらにはゲイに関する追悼の碑が建てられたのは戦後50年近く経ってからだったという事実もさりげなく明かされますが、彼らはそこへ赴くよりは試合のほうがマシだと言わんばかりの態度をとるあたりも、過去の辛さよりも未来の楽しみを選びたいという意思が見受けられるのです。
ラストの見せ方も「こう来たか!」という鮮やかさで、シビアな現実も未来の希望も同時に描出し得ているあたり、さすがは『Mr.レディMrマダム』(78)を生んだ国だなとも唸らされました。
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。