【厳選】今週公開オススメ映画!『竜とそばかすの姫』だけじゃない…!
【厳選】今週公開オススメ映画!『竜とそばかすの姫』だけじゃない…!
『共謀家族』
1000の作品を見てきた映画マニアとその家族が挑む決死の完全犯罪!こちらも中国映画で、興収21週トップ3入りを果たした大ヒット作ですが、舞台はタイ北部の中華系移民街で、タイに帰依しない一般層と帰依した富裕層の家族双方の闘いを描いたサスペンス映画です。
主人公は、今までに1000本の作品を見たと豪語する映画マニアのリー(シャオ・ヤン)。
正直、映画マニアの中には「いやいや1000本なんて少ないでしょ」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、それでも彼が説く「映画を1000本も見れば、世界にわからないことなどない」には大いに共感できることでしょう。
そして本作は、彼の長女ピンピン(オードリー・ホイ)が警察署長ラーウェン(ジョアン・チェン)の愚劣極まるバカ息子に薬を盛られてレイプ&脅迫された果てに誤って死なせてしまったことから、リーが家族全体で罪を隠蔽すべく画策していきます。
しかし盲愛する息子が行方不明になったことにおののく一方で「1000の事件を研究してきた」と自負する冷徹な鬼でもあるラーウェンは、またたくまにリー家族に疑念の目を向け、取り調べを開始。
本作は前半で事件のあらましとリーの行動を、中盤からリーVSラーウェンの丁々発止の戦いへと移行していきますが、時間が経てば経つほどにそのサスペンスがスリリングな情感を伴っていき、ついにはクライマックスの土砂降りの名シーンへと行き着きます。
リーが愛してやまない『ショーシャンクの空に』(95)や韓国映画『悪魔は誰だ』(14)などのエッセンスを活かした犯罪計画、かたや我が子可愛さのあまり非道へ走る署長からは日本映画『人間の証明』(77)ヒロイン(岡田茉莉子)とも共通するおぞましさと哀しみの双方が醸し出されていました(『人間の証明』も中国で大ヒットしています)。
実は本作、現在日本でも公開中の『唐人街探偵 東京 MISSION』と実は無縁ではなく、サム・クワー監督は『唐人街探偵』シリーズにずっと参加しており、シリーズ監督のチェン・スーチェンから本作の脚本を渡された事から企画が始動している由。リー役のシャオ・ヤンもシリーズに出演しており、次女役のチャン・シーランは『TOKYO MISSION』で長澤まさみの少女時代を演じています。
また『ラストエンペラー』(88)『サルート・オブ・ザ・ジャガー』(89)などでおなじみの名優ジョアン・チェンですが(こんなにおっかない役を演じるなんて!)、今回家族の長女ピンピンを演じているオードリー・ホイは、何と彼女の次女なのでした!
なお、本作は中国での大ヒット受けて、現在『誤殺2(原題)』が発表され、2022年公開予定。主演のシャオ・ヤンほかジャニス・マン、チョン・ブイの名前が挙がっていますが、内容に関してはまだ不明とのこと。
またインド・マラヤーラム語映画『DRISHYAM』(13)のヒンディー語版リメイク『ビジョン』(15/Netflixで鑑賞可)のこれまたリメイクであるという本作、なぜ舞台を中国国内ではなくタイ北部に据えているのか、中国の現状を鑑みていくといくつか興味深い事象にも気づかされるでしょうが、それはまた別のお話として、ここでは映画マニアだからこそ考え抜いた家族救済ミッションおよび被害者と加害者双方の家族の悲劇に心を寄せてみてください。
●2021年7月16日より新宿バルト9ほか全国公開
配給:インターフィルム&アークフィルムズ
監督:サム・クァー
出演:シャオ・ヤン、ジョアン・チェン、タン・ジュオ
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。