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『孤狼の血 LEVEL2』レビュー:松坂桃李&鈴木亮平のカメレオン俳優としての魅力が最大限に活かされた快作!



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■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」

2021年8月20日から公開される『孤狼の血LEVEL2』は、2019年に公開されて話題を集めた柚月裕子原作の映画『孤狼の血』のその後をオリジナルストーリーで描いた実録ヴァイオレンス作品です。

監督は前作と同じ白石和彌。

主演は前作の役所広司から松坂桃李にバトンタッチ。

これにより、前作とはまた一味も二味も違った壮絶なる抗争劇の幕が切って落とされます!

先輩刑事の遺志を受け継いだ
若手刑事の過酷な日常

前作『孤狼の血』は、広島県の架空の都市・呉原市の暴力団抗争を違法行為も辞さない強引さで抑え込んでいたマル暴ダーティ刑事・大上章吾(役所広司)の壮絶な生きざまを描いたものでした。

そして今回は大上の死から3年後の平成3年の呉原市を舞台に、彼の遺志を受け継いで県内の暴力団情勢を小康状態に保ち続けるべく腐心し続ける若手刑事・日岡秀一(松坂桃李)の過酷な職務を描いていきます。



前作では裏取引を以って悪を抑え込んでいく大上と、そんな彼に反発する新米刑事・日岡との葛藤が描かれていました。

しかし今回、日岡もまた大上に倣った方法論を採りながら暴力団組織を制御しています。

大上と同じやり方でしか今は悪を抑えて平和を保つことができないという結論に達したかのように見える日岡ではありますが、まだどこか青いところもあり、地獄と対峙し続けた果てに堕ちて朽ちていった大上の域にまでは至っていない優しさももどかしさもあるような……。

もっとも時は既に平成3年、暴力団そのもののありようも徐々に変貌し、抗争のリスクよりも上手いしのぎへスライドしようとしている節も感じられ、その伝では警察とヤクザ組織の裏取引がもたらす秩序の維持は、大上の時代よりも若干成しやすくなっていたのかもしれません。



ところが、そこにひとりの最恐最悪のモンスター・上林(鈴木亮平)が刑務所からシャバに舞い戻ってきたことから、呉原市どころか広島県内の秩序は急転直下で一大混沌へと崩れ始めていき、やがて日岡も絶体絶命の危機に陥っていくのです!
(いや、こんな壮絶悪役キャラ、昭和の東映ヤクザ映画でも見たことない!?)

暴力の連鎖の中から
垣間見える青春群像劇

前作は佐藤純彌監督『実録 私設銀座警察』(73)や深作欣二監督『県警対組織暴力』(75)など1970年代東映実録ヴァイオレンス映画の復権をめざす姿勢が意欲的に見られましたが、今回はさらにどこかしら青春群像劇的な要素が暴力の連鎖の中から垣間見える節も見受けられます。

日岡と何やら関係がありそうなスナックの若きママ・真緒(西野七瀬)の弟・幸太(村上虹郎)が上林の組織にスパイとして潜入することから始まる青春ヤクザ映画的な情緒などは、その最たるものでしょう。



このあたりは中島貞夫監督の『893愚連隊』(66)や『鉄砲玉の美学』(73)『総長の首』(79)などを彷彿させるものもありますが、それ以上に白石監督の資質的なものも大いに影響しているのかもしれません。

しかも、それ以上に圧倒的なのは、上林の破壊者ぶり!



これはもう見てもらえれば一目瞭然のすさまじさで、そもそもカメレオン俳優として知られる鈴木亮平ではありますが、まさかここまでやるか!?のインパクトで、「だって、あなた、この前まで大河ドラマで立派な西郷どんやってたでしょう?」と突っ込み入れたくなるほどにキレちゃってます。

つまりは、イッちゃってます!

その鈴木亮平と松坂桃李は、かつて『ガッチャマン』(13)で5号と1号という、正義の味方の仲間同士の関係性でしたが、時を経てこうした極端な敵対関係に至るとは!

そして見るからにタフガイ・モンスターぶりを体現する鈴木亮平に対して、松坂桃李からはどこかしら線の細さが醸し出されていて、その不安感が映画のサスペンスを大いに盛り上げていきますが、本作最大の成功の要因は、こうした松坂桃李が体現する優しさや弱さ、そして背伸び感などをピュアに描出しているところにもあるように思えてなりません。

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(C)2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会