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2021年08月20日

「IP~サイバー捜査班」第6話レビュー:“デジタル密室殺人事件”の意外な真犯人とは?吉本新喜劇の女優二人にも注目(※ストーリーネタバレあり)

「IP~サイバー捜査班」第6話レビュー:“デジタル密室殺人事件”の意外な真犯人とは?吉本新喜劇の女優二人にも注目(※ストーリーネタバレあり)


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佐々木蔵之介主演、京都を舞台としたミステリー「IP~サイバー捜査班」が2021年7月1日より放映スタートした。共演に福原遥、間宮祥太朗ほか。

佐々木演じる安洛一誠(やすみや・いっせい)は、「サイバー総合事犯係」の主任で、サイバー犯罪に関する知識と捜査スキルはピカイチ、超がつくほどのデジタル人間。そんな安洛が自分の父親ではないかと考えている古宮山絆を福原遥、裏で安洛について調べる密命を担う多和田昭平を間宮祥太朗が演じる。サイバー犯罪と、その裏にある人間ドラマを絡めたミステリー。

本記事では、その第6話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。

「IP~サイバー捜査班」第6話レビュー

 
“IoT”が導入され、居住者のスマホなしでは入れないデジタルなマンション。ここで起こった密室殺人事件に挑むお総事係。

絆と多和田が調査してわかったのは、被害者の里美と同じフロアに住むママ友たちの対立。女性たちのドロドロしたバトルありきの殺人なのか?と、ちょっと不吉な予感がしてくる。

安洛が発見したママ友たちのSNSで「犯人はあの人」といわれていたのは、三好祐美子。彼女は里美を殺したいほど憎んでいたのを認める。なぜなら、2年近くも里美を中心としたママ友たちからいじめにあっていたから。里美と祐美子の息子たちが中学受験した際、祐美子の息子・櫂人だけが有名校に合格。しかも、櫂人がその中学ではなく地元の公立を選んだことで恨みが残ったらしい。

祐美子が殺した線も考えるお総事係。しかし、立証するものは何もない。そんな中で安洛が突破口を開いた。

この2年間、ママ友たちのSNSで教育関連の書き込みが急激に増加。さらに、マンションで教育上の揉めごとが多発。これらが偶然じゃないとしたら…と頭をめぐらす安洛。すると、多和田が「俺のスマホも、おすすめ記事が教育関連のものばかりになっている」と口にする。多和田は少し前にマンション内にある共用の充電器でスマホを充電したばかりだった。

ここでぴんと来た安洛。居住者たちのスマホを調べると、案の定大半がウイルスに感染していた。公共の場にある充電器などにマルウェアを仕込む“ジュースジャッキング攻撃”が仕掛けられていたのだ。居住者の元に教育関連のニュースを頻繁に届けて、教育の揉めごとが起きやすいよう仕向けられていた様子。ジュースジャッキングという言葉を筆者はここで初めて知ったが、かなり悪質なサイバー攻撃の一種。街中のお店にある充電スタンドを使ったら感染…なんてことも実際にありえるわけでなんとも怖い。

ジュースジャッキングの犯人が事件のカギを握ると考える安洛。そして、さらなる捜査で里美が事件当日に実家を訪れて「離婚するかも」と母親に告げていたのが判明。ここから安洛は答えを導き出した。

里美を殺したのは、里美の夫で漫画家の峯靖久だった。

靖久は担当編集の女性との不倫現場を見られために妻を殺害。ママ友たちのしがらみで起きた事件かと思っていたので、見ていたこちらとしてはかなり予想外の真犯人。とはいえ、浮気がバレての殺人。さらにバレないように死体を移動させるなど身勝手かつ悪質な犯罪。同情の余地はないと感じた。

そして、ジュースジャッキングの犯人も意外な人物。祐美子の息子・櫂人だった。

動機は母親を守るため。ママ友たちがいじめどころではなくなるよう、ジュースジャッキングで教育問題へ関心を向けさせた。さらに靖久のデバイスで盗み見した不倫相手とのやりとりを里美のスマホへ送ったのだった。

不倫による夫婦関係のもつれ、ママ友間のいじめ、母と息子の苦悩…など、思っていた以上に多くの人間たちの複雑な感情が交錯したこの第6話。ただ、最後、祐美子と櫂人のわかりあう姿が救いだった。親子の橋渡しをしたのはほかでもない安洛。彼は櫂人が出版社へ持ち込んだ漫画の原稿を絆の元へ届ける。「お母さんに見せてあげたら」と絆が櫂人に返した原稿には祐美子の姿が描かれていた。「ずっと謝らないと…って思っていた。俺のせいで仲間はずれにされて…」と泣き出す櫂人。言い表せない母への思いを彼は漫画にしていたのだった。

今回、吉本新喜劇で活躍する女優、島田珠代と末成映薫の二人がゲストで登場。ともに舞台でおなじみのはじけっぷりはさすがに封印していたが、熱演の奥にもどこかコミカルさを漂わせていた彼女たち。シリアスなミステリーを緩和する程よいスパイスになっていたように思う。特に島田珠代は、いじめに荷担するママ友を表情豊かに好演。ふてぶてしさとおかしさが絶妙に入り混じる演技に思わず引き込まれてしまった。

この6話で、結局安洛は優しい男なのだ…とわかった。櫂人の原稿を手に入れるため、自転車で出版社に赴いていた彼。事件の効率的な解決だけを優先するなら、わざわざそんなことまで決してやらないだろう。絆と出会って頑な心がほぐれたのかもしれないが、徐々に人間らしい一面が出てきた安洛。今後もさまざまな顔を見せてくれたら…と期待している。

「IP~サイバー捜査班」第6話ストーリー

有名漫画家・峯靖久(和田聰宏)の妻・里美(中村彩実)が自宅マンションで首をつって死んでいるのが見つかった。現場は“IoT”が導入された超高級マンションだったため、安洛一誠(佐々木蔵之介)ら京都府警サイバー総合事犯係に出場要請が入り、古宮山絆(福原遥)と多和田昭平(間宮祥太朗)が臨場したのだが、おかしなことに里美のスマートフォンがどこにも見当たらない。

実は、そのマンションはエントランスやエレベーターから玄関まで居住者のスマホがカギ替わりとなるシステムが採用されており、自殺するにしてもスマホがなければ部屋に入ることすらできないのだ。何者かが自殺に見せかけて里美を殺害し、スマホを持ち去ったのだろうか…。

しかし、安洛が調べたところ、正午に里美が帰宅して以降、夫が帰宅し遺体を発見する夜10時まで玄関の開錠記録はなく、ベランダ側からの侵入者もありえないことが判明。防犯カメラにも誰ひとり映っておらず、現場が密室であることを図らずもマンションのIoTシステムが証明していた。まさに “デジタル密室”…犯行は不可能に思われた。

そのころ、安洛はマンションの“裏ママ友会”のSNSの存在を探り当てる。里美のママ友・神山美樹(島田珠代)らは、同じフロアに暮らすシングルマザー・三好祐美子(酒井若菜)が犯人に違いないと書き込んでいたが…はたしてママ友たちの間に何があったのか…!? はたして、サイバー総合事犯係は”消えたスマホ”の謎を解き、“デジタル密室殺人”の真相にたどり着くことができるのか!?

(文・田下愛)

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