2021年08月25日

『サマーフィルムにのって』に隠された"現代の映画の在り方"に対するメッセージとは?

『サマーフィルムにのって』に隠された"現代の映画の在り方"に対するメッセージとは?



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『サマーフィルムにのって』が、映画ファンの間で絶大な支持を得ている。

とある高校の映画部を舞台に、さまざまなドラマが展開される本作品。主演の女子高生・ハダシに元乃木坂46の伊藤万理華、ハダシに惚れ込むちょっと謎な男子高校生・凛太郎に映画『猿楽町で会いましょう』の金子大地。映画部でもないのにハダシが熱を入れる時代劇映画の制作に参加する幼馴染2人、ビート板に2019年にデビューしたばかりの新星 河合優実、ブルーハワイにミスiD2016ファイナリストで数多くのマイナー映画に出演してきた祷キララ。本作品が知るキッカケとなる「次世代俳優」たちが多く登場している。



監督・脚本には映画『青葉家のテーブル』が記憶にも新しい松本壮史、脚本には脚本劇団「ロロ」主宰の三浦直之。伊藤万理華が主演したドラマ『ガールはフレンド』を手掛けた松本と伊藤の再タッグ作品でもある。

いかにもキラキラとした恋愛映画に夢中になる映画部の中で、時代劇映画を撮りたいのに理想とする主役がなかなか見つからず、ひとりくすぶるハダシ。そんな中、同じく時代劇ファンである凛太郎と奇跡的な出会いを果たし、半ば強制的に主役に任命。幼馴染であるビート板やブルーハワイ、同級生のダディボーイや駒田、増山、小栗と個性豊かな仲間を集め、文化祭でのゲリラ上映を目指し、時代劇映画の制作に奮闘する。そんな中で生まれる恋心や嫉妬心に気付いてしまうハダシ。そう、凛太郎に恋をしているのだ。しかし、凛太郎は実は未来からやってきたタイムトラベラーだという秘密が…凛太郎はなぜ未来から過去にやってきたのか?それにはとある深い理由があったーー



この映画、ただの超爽快青春ムービーというわけではない。意外な形で「現代の映画の在り方」について考えさせられる物語なのである。

※以下、ストーリーのネタバレを含みます

昨今、若者の映画離れは本当なのか?

Instagramストーリーズ・リールやTikTokをはじめとした短尺動画の定着、YouTubeは倍速再生で見るのが当たり前。スマホ世代は映画館で集中して映画が見られない、鑑賞中にSNSが気になってスマホを見てしまうなど、映画好きからすると信じられないニュースが飛び交っている。今年、ファスト映画が炎上したのもこれらの要因が絡み合っているのだろう。



凛太郎がタイムトラベラーということが判明した後の衝撃的な一言。
「将来、今ある映画というものは存在していない。映像は5秒がスタンダード。1分もあれば長編と言われてしまうのが未来。」

そんな未来、現実の世界でも映画の世界でも起こってほしくない。短尺動画を否定するわけではないが、たったの5秒で一体なにが伝わるというのだろうか?

ハダシ”監督”のいちファンである凛太郎は、本来あるべき姿としての映画の存続と、ハダシ監督の作品を世に残すべく、過去の世界に潜り込んだのであった。



どのような結末になったのかは、ぜひご自身の目で確かめていただきたい。もちろん、映画館で。

(文:桐本 絵梨花)

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