「IP~サイバー捜査班」第7話レビュー:前代未聞のミステリー?“デジタル終活”に隠された殺人の行方(※ストーリーネタバレあり)
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佐々木蔵之介主演、京都を舞台としたミステリー「IP~サイバー捜査班」が2021年7月1日より放映スタートした。共演に福原遥、間宮祥太朗ほか。
佐々木演じる安洛一誠(やすみや・いっせい)は、「サイバー総合事犯係」の主任で、サイバー犯罪に関する知識と捜査スキルはピカイチ、超がつくほどのデジタル人間。そんな安洛が自分の父親ではないかと考えている古宮山絆を福原遥、裏で安洛について調べる密命を担う多和田昭平を間宮祥太朗が演じる。サイバー犯罪と、その裏にある人間ドラマを絡めたミステリー。
本記事では、その第7話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
「IP~サイバー捜査班」第7話レビュー
「現場に何もない!」という前代未聞のミステリーが開幕。
被害者・影森の部屋にはパソコンもスマホも何もない。しかも、生前、削除代行業者にネット上にある自分の情報を消してくれと依頼していた。“デジタル終活”をしていたのでは…と推測する安洛。
“デジタル終活”という言葉、筆者はここで初めてきちんと耳にした。遺族に見られたくないパソコンやスマホのデータを生前のうちに消去しておこうということで、近年広がっている考え方らしい。確かにデジタル機器が普及したこの21世紀。データも遺品と考えるのはわかるし、死ぬ前に整理したほうがよい情報も当然あるだろう。
ただ、今回はこの“デジタル終活”が事件のハードルに。パソコンで解析できる情報がない以上、お総事係は手も足も出ない。しかし、安洛はさすがだった。影森のスマホの機器やアカウントを特定し、GPSデータを入手。被害者の1年分の膨大な行動履歴を元に捜査することになる。
捜査に乗り出す絆たち。すると、次々いろいろなことがわかってきた。亡くなった影森は不良で詐欺罪での逮捕歴あり。両親はすでに亡くなり、妹にも見放されていた。そして、ここのところあちこちで借金を重ねていた。
そして、影森の行動履歴を調べていた安洛はあることに気づく。怠惰な生活をしていた影森が3ヶ月前に就職。その後は家と職場を往復する日々になっていたのだ。さらに、ちょうどその3ヶ月前の5月6日、彼が大阪で働く妹・瞳と会おうとしていた形跡があった。
絆と多和田が瞳をたずねると、彼女は「4年前に逮捕されてから、一度も兄とは会っていない」と面会を否定。ただ、瞳の友人たちにも話を聞いたところ、彼女は3ヶ月前に結婚が決まったという。素行の悪い兄が結婚の邪魔になるために殺したのでは…という線も考えるお総事係。
そんな中で突破口を開いたのは、川瀬が見つけてきた影森のパソコン。データを復元すると、詐欺事件の仲間だった酒井の名前や8年前の何らかの出来事を検索していたのが判明。さらに、解剖医の夏海によって影森が肺がんだったという情報がもたらされる。そして、影森が借金をしてまで削除しようとしたものの正体も明らかに。ようやく安洛の中で答えがつながった。
事件の犯人は、瞳の友人・山崎麗奈だった。
8年前、ある高校で盗撮アプリが出回り、女性たちを盗撮した動画がネットに投稿。瞳もその被害者だった。投稿者は酒井。そして、当時、瞳のスマホにアプリを入れたのが、酒井と交際していた麗奈だった。
病気のことを瞳に伝えようとした影森は、瞳の結婚を知って邪魔にならないよう自身の存在を消そうと決意。しかし、その過程で瞳の盗撮動画を発見。消そうと躍起になり、酒井や麗奈にも働きかけた。影森の自宅アパートを訪れた麗奈は、「警察に行こう」と懇願する影森を思わず突き飛ばして命を奪ってしまったのだった。
兄の真意を知って戸惑いを隠せない瞳。そんな彼女に安洛はとあるニュース記事を見せる。そこには川辺ではしゃぐ幼少時代の影森と瞳が映っていた。生前の影森は、兄妹で遊んだ川辺に来てこの写真を見ていたのだと伝える安洛。瞳は「ありがとう、おにいちゃん」とつぶやき、婚約者に兄のことを話すと心を決めていくのだった。
今回、係長・平塚は有休をとって不在。その代わりかどうかはわからないが、川瀬と岡林が奮闘した。京都中のリサイクルショップに照会をかけて影森のパソコンを手に入れる荒業をやってのけた川瀬。そして、岡林はデータ消去済みだったそのパソコンを見事復元。安洛や川瀬に比べてあまり前に出ないけれど、実は彼もパソコンスキルは相当に高いよう。初回からキャラはしっかり立っていたこの二人。ここに来て活躍を見せてくれたのは嬉しかった。
また、ひとつ「あれ?」と思ったのが、夏海がお総事係をたずねてくる場面。絆にお土産のお菓子を渡した彼女に既視感を覚えた。そう、解剖を担当した医師が差し入れを持ってやってくる…といえば、今秋劇場作が公開されるあのドラマ。やはり京都府警を舞台にしたもうひとつの木曜ミステリーである。そういえば、あのドラマの主人公も安洛同様よく自転車に乗っている。京都は警察の捜査員たちが自転車でめぐりたくなる土地なのか。そして、医者が買いたくなる魅力的なお菓子にあふれた街なのだろうか。彼らはもしかしたらどこかですれ違っているかも…とついつい思いを馳せてしまった。
ドラマは次回ついに“最終章”に突入。いつの間にか憎まれ口をたたく間柄になっている安洛と絆だが、これから先、例の親子か否か問題にも決着がつくかもしれない。そうなったとき、ここまで築いてきた関係がどうなるかが心配なところ。二人の明るい未来を心から願っている。
「IP~サイバー捜査班」第7話ストーリー
町工場で働く若い男・影森裕介(柾木玲弥)が、自宅アパートで遺体となって見つかった。“古巣”である鑑識の応援のため臨場していた京都府警・サイバー総合事犯係の川瀬七波(堀内敬子)は、部屋の中を見て動揺! 主任の安洛一誠(佐々木蔵之介)に連絡する。
――というのも、おかしなことに影森の部屋にはパソコンやスマートフォン、財布や身分証までありとあらゆるものがなかったのだ。しかも、被害者は生前、借金をしてまで“削除代行業者”にインターネット上にある自分の情報をすべて消してほしいと依頼していたことが判明。それを聞いた安洛は、彼が自らの意志で“デジタル終活”をしていたのではと考える。
まもなく、殺された影森は高校時代から恐喝や窃盗を繰り返し、4年前、詐欺事件で実刑判決を受けていた事実が浮上する。彼にだまされて詐欺の片棒を担がされたという元仲間・酒井大悟(武田航平)は、影森は根っからの悪人だと証言。
そんな中、安洛は手を尽くして、すでに処分されていた影森のスマートフォンのGPSデータを入手。分析したところ、繁華街で飲み歩くような派手な生活を送っていた影森が、3カ月前を境に町工場に就職し、自宅と工場を往復するだけの真面目な生活に切り替えていたことがわかる。
さらに、安洛は影森が3カ月前に一度、大阪のビジネス街に足を運んでいた事実を発見。古宮山絆(福原遥)と多和田昭平(間宮祥太朗)は、大阪で働く影森の妹・瞳(松井愛莉)に会いに行くが、彼女は4年前を最後に影森とは会っていないと言い、「あの人を兄だと思ったことはない」とまで言い放つ。
スマホもパソコンもない状況は、サイバー総合事犯係にとってはまさに“最大の難事件”! 被害者が生きていた唯一の証であるGPS記録から、安洛は何を読み取り、どう真実をひも解いていくのか!?
(文・田下愛)
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