『レミニセンス』の4つの魅力:『TENET テネット』でモヤっとした人こそ見てほしい


2. 二人の女:レベッカ・ファーガソンとタンディ・ニュートン

そんなヒュー・ジャックマン演じるニックを囲む二人の女性を演じるのがレベッカ・ファーガソンとタンディ・ニュートン。



『ドクター・スリープ』『DUNE/デューン砂の惑星』そして『ミッション:インポッシブル』の5作目『ローグ・ネイーション』6作目『フォールアウト』に続いて最新2部作の7&8など話題作への出演が続くレベッカ・ファーガソン。
『グレイテスト・ショーマン』にも出演している彼女が演じるメイはまさにハードボイルド小説のファムファタルといった存在で探偵のニックと観客を見事に惑わします。

果たしてメイは悪女なのか聖女なのか?レベッカ・ファーガソンの少し浮世離れした雰囲気が見事にマッチしています。

ファムファタルのメイに翻弄されるニックを時にやさしく、時に厳しく支えるのが相棒のワッツ。

演じるのは大小さまざまな映画で活躍する英国出身のタンディ・ニュートン。



『レミニセンス』のクリエイターコンビ、ジョナサン・ノーランとリサ・ジョイが手掛けたドラマ「ウエストワールド」でエミー賞を受賞しています。

タンディ・ニュートンは元軍人で射撃の達人でありながら、辛い過去を抱え酒に逃げるというワッツを繊細な演技で演じぬき、最後は物語のカギを握る存在になっていきます。

ヒュー・ジャックマン演じるニックに全く別の角度から影響を与える二人の女性の演技の比較も楽しいところです。

3. 「ウエストワールド」のリサ・ジョイとジョナサン・ノーランが手掛けた初の映画

公私にわたってパートナーであるリサ・ジョイとジョナサン・ノーラン。二人最初に手掛けたドラマが「ウエストワールド」。

映画化もされたマイケル・クライトンの同題小説をもとにしたドラマシリーズで、は現在シーズン3まで放映されていてシーズン4も政策に入っています。

ニール・マーシャルやヴィンチェンゾ・ナタリといった曲者監督が揃い、出演者もアンソニー・ホプキンスやエド・ハリスといった重鎮が揃い、日本から真田広之や菊地凛子も出演しています。

そんなリサ・ジョイとジョナサン・ノーランのコンビが初めて手掛けた映画がこの『レミニセンス』。

リサ・ジョイは本作が長編監督デビューとなるのですが、演出家としての経験がしっかりとあるので、安定感のある物語を紡ぎだしました。

ジョナサン・ノーランの原案を巧みにセンチメンタルな男の物語に作り上げていて、楽しませてくれます。



記憶に潜入する“レミニセンス”の装置(記憶潜入ポッドと記憶再現装置)以外(これもクラシックなデザインなのですが)は意図的に選ばれたアンティークと言ってもいい道具選びとなっていて、一見するとハードボイルド映画を見ている気分になっているのですが、ちゃんと決着がSFである意味がある作りになっていて見事にまとめ上げたなと素直に感じます。

4. 水の描写を存分に堪能できる大画面、ハイクオリティ劇場向け作品

ここまで話すと、『レミニセンス』はどちらかというとパーソナルなサイズ感の物語の映画ですが、実はIMAX®などのハイクオリティで大きな画面に適した映画になっています。

というのも『レミニセンス』の物語が戦争と海面上昇で荒廃した近未来が舞台になっていているのです。

この荒廃した都市部と迫りくる海、そして周辺に漂う水の描写はできるだけクオリティの高い映像が堪能できる映画館で見てもらいたいと思います。

水のCG描写は非常にハイレベルなものを求められていて、簡易に作れないことで知られていますが、『レミニセンス』では見事な質感を再現しています。



これについては山崎貴監督や石川慶監督も絶賛しており、映像美も売りになっています。

どのくらいの機会があるかわかりませんが、もし可能であればIMAXシアターでの鑑賞をお薦めします。

『レミニセンス』は張り巡らされた謎に、存在感のあるアイテムの数々、そして映像美と一回で把握するのは大変なほどの情報量のある映画です。

いわゆる“スルメ映画”の新たな一本と言っていいでしょう。


新型コロナウィルスの影響でハリウッド大作の公開がまた不透明になりつつありますが、とりあえず『レミニセンス』は大過なく日本でも劇場公開されますので、ぜひ、映画館でご堪能ください。

ちなみにあの『千と千尋の神隠し』オマージュのシーンもあるので、お楽しみに。

IMAX® is a registered trademark of IMAX Corporation.

(文:村松健太郎)

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