「青天を衝け」明治政府編、感想・解説集|第29話から〜<ネタバレあり>
第30話「渋沢栄一の父」感想・解説集
第30話のあらすじ
大阪の造幣局に出張した栄一(吉沢 亮)は、五代友厚(ディーン・フジオカ)と出会う。栄一は、これまでの恨み言をぶつけるが、カンパニーを立ち上げて日本の商業を魂から作り変えたいという五代の話に共感する。一方、新政府の首脳会議では、突然、西郷隆盛(博多華丸)が“まだ戦がたらん”と声を上げる。井上 馨(福士誠治)は、“廃藩置県を断行せよ”との意思表示と理解し、栄一たちに極秘の任務を託す。残された時間はわずか4日…。そして、冬のある日、帰宅した栄一のもとに、父・市郎右衛門(小林 薫)の危篤の知らせが届く…。第30話の感想
涙なしには観られなかった第30話。いつか両親との別れのシーンが描かれるだろうと予想はしていたけれど、いざ目の当たりにしてしまうと、なんとも言えず寂しい。自身が危篤状態になっても、「栄一が帰ってきたら、家の者だと思って軽々しく扱わないよう、丁重に」と伝えておく抜かりなさが、なんとも栄一の父らしい。
田舎で生まれ、百姓として生きてきた自分の息子が、まさか天子様の元で働く身分になろうとは。気づいたら栄一は、みるみるうちに力をつけ、役職も上がり、おいそれと軽口を叩けない存在になっていった。そんな息子の姿を見て、複雑な思いもきっとあっただろう。しかし「お前を誇りに思ってる」と口にした瞬間の父の気持ちには、一切曇りはなかったはずだ。
「なんと美しい生き方だ!」
栄一は、自身の父の生き方をそう称した。視聴者全員が、同じように思ったことだろう。
片や、栄一の不貞の証拠(靴下の繕い跡を見ただけで、お千代はそう断定はしなかったかもしれないが)を見てしまったお千代。この頃のお偉いさんは、たとえ愛する妻や子どもがいようとも、本妻とは別の女性を囲うものなのだろうか。それが男の甲斐性と言われた時代なのだろうか。
史実を見る限り、栄一は女性問題には大層だらしなかったようである。このまま、ある程度史実に沿って今後の物語が進むのだとしたら……。考えるだに、見守るのが怖くなってしまう。
少々困った面もある栄一だが、仕事の面では大いなる業績を残し続けている。
明治4年7月14日の廃藩置県に合わせ、藩札がなくなってもいいように、市井の人々への補償金はいくら必要なのかを藩ごとに洗い出したという。三日三晩寝ずの仕事だったようだ。新しい日本をつくるため、人々の暮らしをより良くするため、どれだけ栄一が奔走したかを忘れてはいけない。
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