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“キング・オブ・ホラー”ジョージ・A・ロメロ監督、幻の3作品がついに劇場公開!


ロメロ映画の原点が見える『ザ・クレイジーズ』と『マーティン』

まず『ザ・クレイジーズ』(73)は、アメリカ軍用機の墜落によって人々を発狂化させる細菌兵器が田舎町に漏れ広まったことから始まるパニック映画です。



発狂した人々が襲いかかる地獄絵図はまさに『ゾンビ』に先駆けたものであり、また白い防護服を着た男たちが権力の悪しき象徴としても映えわたっていた異色作。



日本では細菌パニック映画『カサンドラ・クロス』(76)が大ヒットしていたのを受けて、1979年2月16日のフジテレビ系列「ゴールデン洋画劇場」(当時は金曜日の放送でしたね)の枠で「第2のカサンドラクロス事件!?細菌兵器に襲われた街」のタイトルでTV放映されて(実際は本作のほうが『カサンドラ・クロス』より早かったのですが)映画ファンの間で大きな話題となりました。

またその直後の1979年3月10日に『ゾンビ』が日本公開されてヒットしたことから、やがて本作は『ゾンビ』のジョージ・A・ロメロ監督の旧作であると認知されるようになり、1980年代の未公開ビデオ・ブームに乗せて『ザ・クレイジーズ 細菌兵器の恐怖』としてソフト化され、ホラー・マニアの必須アイテムと化していきます。

2010年には『クレイジーズ』の邦題でリメイク版が日本公開され、それに先駆けて2010年1月16日から2月12日まで本作もようやく劇場公開されました。



一方、『マーティン/呪われた吸血少年』(77)は日本では1980年代にビデオ発売され、以後は特別上映などの機会もありましたが正式な劇場公開はこれまで成されてなかったので、今回は貴重な体験となります。

主人公は、人間の血を求めることでいつまでも若くいられる、自称84歳の少年マーティン(ジョン・アンプラス)。

これに彼が人を襲わないよう監視するいとこの老人(『アミューズメント・パーク』のリンカーン・マーゼル)やその娘クリスティーナ(クリスティーン・フォレスト)、マーティンが心寄せる年上の夫人などさまざまな人々が入り乱れながら、マーティンの非情な青春にスポットを当てていきます。



そう、この作品、見方によっては青春映画と捉えることが大いに可能で、実際本当に彼は吸血鬼なのか?それは彼の妄想なのではないか?などと見る側にいろいろな感想を抱かせる作りにもなっているのです。

ロメロ監督自身、「もっとも愛着のある作品」と語っているのは、そういった青春映画的な要素にも大きな一因がある気がしてなりません。

またこの作品に関わったスタッフ&キャストの多くは次作『ゾンビ』以降のロメロ作品に関わり続けていることからも、どこかしら記念碑的な趣も備えているのです。

ホラー映画の巨匠ジョージ・A・ロメロの世界をさらに深いものへと導く今回の3作品の上映、見逃すにはあまりにも押しすぎます。是非とも映画館で!

(文:増當竜也)

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