『Our Friend/アワー・フレンド』レビュー:愛情とか友情といった言葉はもはや不要!夫婦とその友人それぞれの“想い”の映画
『Our Friend/アワー・フレンド』レビュー:愛情とか友情といった言葉はもはや不要!夫婦とその友人それぞれの“想い”の映画
■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT
余命宣告を受けた妻とその夫の実話の映画化……と聞いただけで、いわゆる難病映画かと思ってしまった方、ちょっと待ってください。
実はこの夫婦に献身的な夫の友人が関わってくることで、本作は従来の難病映画とは一線も二線も画した、いや、もはや全く別物といってもよいヒューマンドラマが形成されていくのです。
何よりもケイシー・アフレック&ダコタ・ジョンソンという、このふたりの名前がクレジットされている映画ならとりあえず見て損はない!と確信させられる実力派が選んだ本作なので、間違いがあるはずもありません。
さらに今回は友人に扮するジェイソン・シーゲルが実に良い味わいを醸し出しています。
どちらかといえばオバカ・コメディの人といった印象が、今回で一気に払拭されました。
また本作は時系列を錯綜させながらドラマが進むことで、あたかも神が作った人生の日記をアトランダムにページを開いて読んでいるような感覚にさせられます。
これは即ち、人の死をクライマックスに据えて安易な感動を誘うことを拒絶しつつ、人間には後悔も失敗も過ちも含めたさまざまな過去を背負いながら生きていることを示唆しながら、同時にそれこそが人生であるとでもいった前向きな姿勢を提示しているようにも思えてなりません。
夫婦の絆と友人同士の絆、前者は愛情で後者は友情、そう捉えることは実に簡単なのですが、最後まで見続けていくとそういった言葉の区分けすらもはや不要に思えてくるほどの関係性から、それこそがこれからの人間関係をより深く優しいものへと導いてくれるのではないか。
愛情だろうが友情だろうが、異性だろうが同性だろうが、世代の差があろうがなかろうが、人が人を想う行為そのものの気高さに何の差別も区別もないことを巧みに描出してくれる、まさに“人間”ドラマの秀作です。
(文:増當竜也)
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