2021年10月20日

ドラマ「僕の姉ちゃん」監督・脚本家・プロデューサーが作品やキャストの魅力を語る「黒木華さんなしには実現しなかった」

ドラマ「僕の姉ちゃん」監督・脚本家・プロデューサーが作品やキャストの魅力を語る「黒木華さんなしには実現しなかった」

<「僕の姉ちゃん」特集企画>

益田ミリの同名コミックを原作としたドラマ「僕の姉ちゃん」がAmazon PrimeVideoで先行配信中。姉弟のほっこりとした二人暮らし生活を描いた作品で、2022年にテレビ東京での放送も予定されている。


個性的で毒舌な姉・白井ちはる役に黒木華、社会人1年目の素朴な弟・順平を杉野遥亮が演じる。恋愛や仕事に効くちはるの名言が散りばめられた本作は、何周でも観たくなる魅力を秘めている。それは、キャスト陣の力に加え、裏で支える製作陣の力あってこそだろう。

「僕の姉ちゃん」のメガホンをとった監督の吉田善子、脚本家の清水匡と高田亮、そしてテレビ東京・プロデューサーの江川智に集まってもらい、本作の企画の始まりから、制作過程の裏話を語ってもらった。

「僕の姉ちゃん」の魅力を引き立たせるアイデアを詰め込んだ脚本

——ドラマ「僕の姉ちゃん」どのように企画され、実現したのでしょうか?

江川智プロデューサー(以下、江川):2020年春放送のミニ枠のドラマ「きょうの猫村さん」(テレビ東京)が話題になっていたことから、「ミニ枠で何か面白いドラマを作れないかな」と考え始めたのが最初のきっかけです。以前から好きだった益田ミリさんの作品で「僕の姉ちゃん」は一幕ものだし行けるんじゃないかと思ったのですが、社内で話してみたら「30分連ドラ枠の方が成立しやすいんじゃないか」という話になって。それから「この原作をどうやって30分ドラマに組み立てるのか?」と考え始めたんです。


吉田監督はCMの演出が本業ですが、十数年前に知り合ってからいつかドラマをお願いしたいとずっと思っていました。今回がドラマ初監督ということもあるので、監督がとにかくやりやすい座組みを考えて、別の吉田さんとの企画も一緒に開発してきた高田さんと清水さんにお声がけしました。お二人には制作過程のだいぶ早い段階から入ってもらって「僕の姉ちゃん」を30分ドラマにするためのアイデアをディスカッションしました。

——30分ドラマにするために出てきたのは、どんなアイデアだったんですか?

江川:家の中で交わされるちはると順平の軽妙なやりとりが原作の魅力ですけれど、家の外を描かないことには長尺・連続ドラマになりません。ちはると順平がそれぞれ働く会社先の構想を練ったり、ちはるが外で一人の時間を過ごす描写を検討したりしましたよね。

脚本家・高田亮さん(以下、高田):最初にドラマ化のお話を聞いた時に、僕は「短いものなら漫画そのものが面白いから、いじらなくてもいいんじゃないかな」と思ったんです。でも連続ドラマにしていくんだったら、ちはるが帰宅するやいなや「あーむかつく!」って愚痴をこぼしはじめる、順平がそれを頷きながら聞く、っていう空気感を際立たせたい。そのためにも、外での描写は「家の中を引き立てるための装置」として入れるのがいいんじゃないかと提案しました。


江川:家の中で、ちはると順平が向き合っているシーンが最も見せたいところですからね。「濃淡」で言ったら、家の中のシーンが「濃」の部分。外のシーンはなんとなく市川準監督の映画の雰囲気をイメージして、ドラマを描きすぎず、風景のように描いていくというようなことも高田さん、清水さんとは話していました。

お二人と監督と一緒にプロトタイプとして2話分の脚本が出来た段階で、黒木さんの事務所や原作の益田さんにも見てもらい、イメージのすり合わせができました。特に黒木さんに早い段階で「やりたい」と言ってもらえたことで本格的に話が進んでいきましたね。

「僕の姉ちゃん」が1話だけ観ても全部観ても面白い理由

江川:脚本は1話を高田さん・清水さんが共同、2話以降を清水さん、6・7話を高田さん、8話を吉田さんが書いています。まずは、各話に共通する雛形を作ることから始めましたね。

脚本家・清水さん(以下、清水):
そこは主に僕、監督、江川さんで話し合っていきました。ちはる・順平の家の中でのやりとりから始まって、会社とか外の描写があって、また夜に二人で話す。翌日、ちはると話をした順平にとって外の世界が昨日までとちょっと違って見えるという定番の流れがあったほうが観る人もわかりやすいんじゃないかという話になりました。ちはるが一人で自分の時間を楽しむ描写も入れようというアイデアもその頃出ましたね。


江川:ちはる・順平の家の中でのやりとりがある。その後、それぞれ出先で起こったことを帰宅してから報告する。そこで順平がちはるにやいのやいの言われる。ちはるに言われた言葉に影響されて外の世界が違って見える順平、っていう定番の流れがあったほうが、観る人もわかりやすいんじゃないかと思いました。

また、恋愛・仕事の配分をどうするかも考えましたね。5〜6話で、ちはると順平それぞれの”恋愛の曲がり角”が出てきます。二人それぞれの紆余曲折が描かれるんですが、そこから物語のトーンを少し変えてます。7話は仕事の話がメインで、監督が脚本も手がけた8話は、順平から見た「ちはるの人物像」を総括する内容になっている。恋愛と仕事、どっちかに偏らないように、バランスについても深く話し合いました。


——吉田監督は上がってきた脚本をご覧になって、どんな感想を?

吉田善子監督(以下、吉田):率直に、すごく面白いなと思いました。もともと原作も好きで読んでいたんですが、脚本として形を変えてもやっぱり面白い。どうしても個性的なちはるの発言に注目してしまいますけれど、その合間に順平のドラマが少し入ってくるバランスも絶妙だなと思いました。

満場一致の人気エピソードは「ボウリング場でのハイタッチ」

——原作には数々のエピソードがありますが、ドラマにする話はどうやって選んだのでしょうか?

吉田:それぞれが「この話が好き!」と思えるエピソードを持ち寄って決めましたね。

清水:そこから、先ほど江川さんがおっしゃった全体の構造に合うエピソードを選び、当てはめていく作業をしました。「みんな、この話好きだよね!」と確認し合いながら。

吉田:話の特徴からカテゴリーを決めて、エピソードを種類ごとに分けたりもしました。「恋愛指南」とか「自慢」とか。

清水:「仕事」とか、「毒舌」とか(笑)。


——皆さんの中で人気ナンバーワンのエピソードは?

吉田:ちはるが気になっている人とボウリング場でハイタッチする話は、満場一致で大人気でした。「手の平が合わない人と、他の部分合わせられると思う?」というちはるの言葉が絶妙で、好きです。

どんな姿も想像できる黒木華と、生理的に人を惹きつける部分がある杉野遥亮

——黒木華さん、杉野遥亮さんそれぞれをキャスティングされた経緯について聞かせてください。

江川:ちはる役については、最初から黒木華さんにお願いするつもりで進めていました。

——その理由は?

江川:キュートで、独特の存在感がありますよね。特定のキャラクターでイメージが固定化されていないのも決め手でした。かわいい感じもきれいな感じもだらしない感じも、どんな黒木華さんの姿も想像できる。そして、どんな言動にも一本の芯がスッと通っている様子がちはるに合うんじゃないかなと思いました。


吉田:黒木さんはいい意味で特別な感じがしないですよね。友人のなかに一人はいそうな平凡さを持ち合わせているのも、ちはる役としてはぴったりだな、と。かつ毒舌でも偉そうにならずに、面白さを備えつつ、説得力も持つ人だろうと思いました。実際にお会いしても、すごく面白い人でしたね。

——仮に、黒木華さん側からNGが出てしまったら、このドラマは……。

江川:実現してなかったと思います。黒木さんがちはる役に決まってから、本格的にドラマ化の話が進みはじめましたから。

——順平を演じた杉野遥亮さんの魅力は?

江川:真っ直ぐで素直さがあって、魅力的な人ですよね。そしてまた、弟役が似合うんですよ。格好いいのに素朴さも持ち合わせているのは、彼の強い魅力ですよね。

吉田:杉野さんが演技をされていると、その様子に自然と注目しちゃうんです。黒木さんとはまた別の、生理的に人を惹きつける部分がある人だな、と思いながら撮影していました。不思議な魅力を持ち合わせている人ですね。


脚本家・監督が選ぶ「僕の姉ちゃん」イチオシ回

江川:最後に僕からもひとつ。お三方がそれぞれ思う、本作の見どころ、気に入っているエピソードを聞いてみたかったんです。

高田:5話の「浮気ライン」が好きです。壁に陽が当たってるカットがなんとも言えず好きで。清水くんが書いた回なんですが、原作の面白さと清水くんオリジナルの部分が混じり合って、それを吉田監督が演出するとこんな味わいになるんだ!って新鮮でした。

清水:僕は9話「ハイヒールを履く」のラストシーンです。順平が「いただきます!」って言って、ちはるが「どうぞー!」って返して終わる。ああいう何でもないシーンをずっと書きたいなと思ってたんです。これまでのちはると順平のやりとりが積み重なっての、あのラスト。ぜひ観てほしいです。

吉田:8話「尽くさない女」は、順平の上司・東海林(平岩紙)とちはるが、一度も顔を合わせたことがないにもかかわらず、順平を介して女性として通じ合うものを感じる話。それを描きたくて書いた脚本なので、ぜひ観て共感してもらえたらうれしいですね。

(文・北村有)

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