吉高由里子の魅力:『最愛』でのヴィジュアル最強説をここに宣言する


世間に名を知らしめた激震の映画初主演作『蛇にピアス』


第130回芥川龍之介賞受賞作品で、金原ひとみのデビュー作でもある『蛇にピアス』。2008年に映画化された。


(C)2008「蛇にピアス」フィルムパートナーズ

キャッチコピーは「19歳、痛みだけがリアルなら 痛みすら、私の一部になればいい。」。
R-15指定作品だが、R-18指定でもいいのでは?と思うほどの性描写と画面を直視できないほど痛々しい場面が多い。

ほぼ無音なバックミュージックとともに、渋谷のスクランブル交差点をグルグルする映像。ふと、黒人が目の前に現れ、どこかに導いていく。完全視聴者主観のアングルに、まるで主人公は自分なのではないかと錯覚させられる。
連れて行かれた先は地下のクラブ。にも関わらず、引き続きほぼ無音。赤髪モヒカン、顔面ピアスだらけと誰が見てもイカツすぎる男・アマ(高良健吾)が話しかけてきてもその声はルイ(吉高由里子)には届かない。「音声バグってる?」と思わされたところで、ルイが耳につけていたイヤホンを外す。その瞬間、爆音がなだれ込んでくる。

監督・蜷川幸雄独特の世界観に虜になってしまうこの冒頭、完全にやられた。

その後、ルイはアマと付き合い、同棲を開始。アマのスプリット・タン(蛇のように舌に二股の切れ目を入れること)に惹かれ、身体改造に興味を持ち始め、アマ行きつけの身体改造のお店に通い始める。

そこのオーナーがシバさん(ARATA)。当時はARATAとして活動していたのでそう表記するが、今は井浦新として活動している。そう、『最愛』で共演しているあの2人。今観返してみると井浦新の外見がかけ離れすぎていて「すごい」としか言えない。

…話が逸れてしまったが、シバさんはアマと同等、いや、それ以上のイカツさな上に、異常なほどのサディスト。
シバさんはルイのマゾヒストをひと目で見抜き、ルイもそれに服従し、アマには内緒で肉体関係を持つようになる。

アマは、ルイにこそ従順だが、好きだからこそルイに近付く男に対して止まらない苛立ちを覚えてしまう。挙句の果て、なんと、男一人殺してしまうのだ。

このシーンを観てからはもう、震えが止まらなかった。ルイとシバさんの関係がアマにバレて、シバさんがアマに殺される未来しか見えないーーそう思っていたが、結末は異なる衝撃的なものだった。

それは、ご自身の目で確かめてほしい。

本作が映画初主演作品となった吉高由里子。19歳のからっぽなギャル・ルイとしての体当たりの演技は必見だ。

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