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2021年11月12日

松下洸平、最愛的な魅力:ピュアさに引き込まれる

松下洸平、最愛的な魅力:ピュアさに引き込まれる

 

最愛の女に殺された男。愛の正体が明かされていく「向こうの果て」


「WOWOWオリジナルドラマ 向こうの果て」OFFICIAL BOOK (TVガイドMOOK 71号) ムックより

地上波放送ではないものの、松下洸平が気になる方にはぜひ観ていただきたいのがWOWOWオリジナルドラマ「向こうの果て」だ。

ある男が殺された。殺されたのは小説家の君塚公平(松下洸平)、殺したのは幼なじみの池松律子(松本まりか)、放火殺人だったという。二人の過去に何があったのか。事件の担当検事は律子と関わった男たちに話を聞いていくが、全員が言う律子の印象は、すべてバラバラだった。

松下演じる君塚公平は、物語が始まった時点で殺されているものの、重要な役どころとして劇中にたびたび登場する。奇しくもこのお話でも、松下は主人公が幼い頃に心のよりどころとなっていた存在だった。それがどうして、殺されることになってしまったのか。そもそも犯人は本当に律子なのか。

昭和を舞台にした物語のため、君塚のいでたちも当時の髪型・ファッションだし、部屋のインテリアもそうだ。でもそれが妙に似合っていて、そういった意味でも楽しめそる作品だと思う。夜の店で働く律子を迎えに行き、罵声を浴びせられ殴る蹴るの暴行を受ける君塚は、無言でされるがままだ。どう見ても律子がひどいように見えるが、なぜ二人は一緒にいたのだろう。

ネタバレになってしまうので多くは言えないが、予想のできないラストだった。君塚の愛の形に、驚く人もいるかもしれないし、涙する人もいるかもしれない。行為自体は正しいのかわからないが、君塚の持っていた願いには、心打たれるはずだ。君塚が律子のことを心から愛していたのだということが、確かに伝わった。

ちなみにこちらは東京を舞台にしているものの二人の地元は青森なので、津軽弁を話す彼も堪能できる。

→向こうの果て(WOWOWオンデマンド)配信ページへ 

不遇なのにいい人すぎて泣いた「知ってるワイフ」


「知ってるワイフ」より ©フジテレビジョン

ドラマ「知ってるワイフ」の津山主任役も記憶に新しい。主人公・元春(大倉忠義)が「結婚生活、こんなはずじゃなかった!あの頃に戻って人生をやり直したい!」と不思議な力で過去を変えてしまう話。松下演じる津山は、もともと既婚・双子の父だったのに、元春によって変えられた現在では独身になった。さらに同じ部署で働く、もともとは元春の妻だったが変えられた現在では独身の澪(みお)を好きになり、まっすぐにアプローチする。

ここからがひどい。元春(別の相手と既婚)が気になる澪は、彼への思いを断ち切るために津山の告白を受け入れ、付き合う。だが、結局澪が気になる元春はそんな権利もないのに二人の仲を邪魔しようとするし、元春が妻と別れたと知った澪にふられてしまう。いや、だったら最初から付き合うなよ……。

それなのに「これで気まずくなるなんて嫌だよ」と優しく澪に伝え、友達の元春(妻と別れて行き場をなくし、居候している)の前では泣くという、健気すぎる人なのだ。どう見ても津山のほうが誠実でいい人なのだが……。ちなみに部屋もおしゃれで素敵である。あといつもセットしてるのに家にいるときサラサラにおろしていたのもよかった。男性は何かと髪をセットしがちだが、おろしてる状態のほうが断然いいと思うのは私だけだろうか。

優しすぎる津山も、さすがに澪と元春がキスしているのを見たときは怒るのだが、その後元春が仕事で窮地に立たされたときは裏で動いてくれたのだ。いい人オブいい人で泣ける。この人には絶対に幸せになってほしいと、心から思った。

もっと一途な松下洸平が観たい。でもこのイメージを裏切る彼もまた観たい

さまざまな作品で、まっすぐな愛を貫く姿が印象的な松下洸平。俳優さんの魅力について触れる際さまざまな役柄を演じることを挙げる場合も多いが、彼の場合はあまりにこのまっすぐな役が似合っているので、このテーマで語らせていただいた。ただ共通点はあるものの、それぞれが別の良さを持っているからこそ彼の演技に惹きつけられるのだと思う。

一途に誰かや何かを愛し、信じる彼がもっと観たい。だが一方で、そんなイメージをはるか遠くに押しやるような、例えば女を平気で騙したり、ザ・悪! みたいな役柄を演じたりする松下洸平も観てみたい気持ちもある(悪役といえば、MIU404第2話では悪役といえば悪役だったのだが、気の毒に感じる部分もあり、すごく悪い感じではなかった)。

いずれにしても、新しい松下洸平を観るたび、もっと好きになってしまう気がする。

(文:ぐみ)

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