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<新作レビュー>『幕が下りたら会いましょう』、松井玲奈が等身大の孤独と不安を体現



■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT

松井玲奈といえば、SKE48(&乃木坂46)時代からアイドルとしての可愛らしさはもちろんのこと独自の聡明さや、鉄道や漫画など結構各方面でのオタクであるところも面白い存在だなと注目していました。

そんな彼女が遠藤憲一と映画W主演(&映画初出演)した『gift』(14)を見たとき、彼女は結構映画に愛される存在になるのではないかと、より好感を抱くようになり、その後も彼女の名前をクレジットで見かける度にその作品を見るように努めています。

最近では『ゾッキ』(21)の幽霊のような女が印象的で、全身白塗り姿を大いに愉しんで演じている風情が好ましく伝わってきたものでした。



さて、松井玲奈の単独初主演映画(意外に彼女、W主演名目の映画は結構ありますが、単独主演は今までなかったんですね)となる本作ですが、鳴かず飛ばずの小劇団を主宰し続ける立場と、腹違いの妹の死に対する忸怩たる想いの両面を自然体で無理なく演じているのが見て取れます。

劇の中盤、深夜の稽古場で独り動きの確認をしつつ、ふと何か視線を感じたかのように振り返る姿も、何がどうというわけではなく印象的(またこのシーンがその後の展開にも巧みに繋がっているようにも映えています)。



なかなかに屈託のない笑顔を見せることが少なく、終始何かに不安を抱いているような、過去を悔やみ続ける自分自身を好きになれずにいるような、そんな風情のヒロインではありますが、松井玲奈がそんな彼女を演じることでギスギス一辺倒のテイストではなく、どこかしら映画的な寂しくもほっとけない風を吹かせてくれているのも、この女優ならではの素敵な資質のようにも思えてなりません。



また本作は彼女以外のキャストたち、特に女性陣がそれぞれさりげなくも印象深く(松井玲奈と日高七海のやり取りの数々は秀逸)、これは女優出身で本作が長篇商業映画第1作となる前田聖来ならではのキャメラアイの賜物のようにも捉えられ、今後の期待度も大いに増幅させられました。

なお、松井玲奈主演の次回公開予定の映画は『よだかの片想い』で、島本理生の同名小説の映画化。安川有香監督に加えて城定秀夫脚本という才人揃いの作品だけに、またまた期待が募るのでした。

(文:増當竜也)

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